引っ越していった仲良しの幼馴染。久々の再開がお別れの日に。

幼馴染

私には物心ついたころから仲のいい幼馴染がいました。

彼の名前は翼。

毎日鬼ごっこやかくれんぼをしたり、家にお邪魔してゲームをして遊んだり、私と翼君は何をするにも一緒。

幼稚園児だった頃翼君は、

「大きくなったら結婚するんだ!」

なんて、なんの恥ずかしげもなく周りに言うものだから、翼君のお母さんからは、

「未来のお嫁さんかー(笑)」

と冗談っぽく笑われたりしたものでした。

小学校に入っても私たちの仲は変わらず、学校に行くときも休み時間に遊ぶ時もずっと一緒でした。

しかし、そんな楽しい時も長くは続きませんでした。

小学校4年生の頃、翼君はお父さんの仕事の都合で転校することになったのです。

それを知った瞬間私はとてもショックで、一緒にいるのが当たり前だった日常が無くなってしまうことが信じられず、家でずっと泣いていました。

約束

引っ越しの前日、私は翼君に一つのキーホルダーをプレゼントしました。

それは鍵と錠がペアになったキーホルダー。

翼君に鍵のほうを、そして錠のほうを私が持つことになりました。

私と翼君は引っ越しの日、ある約束をしました。

「絶対に忘れない!また会おうね!」

同じ県内への引っ越しだったものの、小学生の私たちにとっては遠い距離。

(本当に会えるのかな……。)

会う約束はしたものの、もしかしたらもう会えないかもしれないと思って、その日は二人で大泣きしました。

約束が叶う日

ある年、翼君から一通の手紙が届きました。

「携帯電話を買ってもらったからアドレス交換したい!」

そこにはメールアドレス、電話番号も書かれていていました。

私もその頃携帯電話を買ってもらっていたので、記載されているアドレスを登録。

久しぶりだなーと思い早速メールすると、翼君もとても喜んでくれました。

「一週間後に近くに寄るから、会わない?」

そう彼からメールが来て、会うことになった私たち。

どんな服を着ていこうかな?なんて話せばいいのかな?

そんなワクワクと緊張で寝れない夜が続きました。

突然の別れ

それから4日後のことです。

勉強中の私の部屋に、母親が電話を持って慌てた様子で駆け込んできました。

「翼君が交通事故で亡くなったって……」

それは本当に突然の訃報でした。

信号無視の車に轢かれたそうです。

(ついこの前メールしたばっかりなのに……)

私はきっと何かの冗談だと、現実を受け止められずにいました。

しかし現実は残酷で、翼君と会う約束をした日、皮肉にも翼君の葬儀の日になってしまったのでした。

葬儀では彼の友人でしょうか、制服を着た子たちがたくさん参列し、翼君のお母さんは泣き崩れ、ずっと大人の方たちに体を支えられていました。

遺影には中学の卒業アルバムの写真が使われていました。

すっかり大きくなり大人っぽくなった彼。

それでも昔の無邪気そうな面影は残ったままでした。

葬儀が終わって数日経った頃、翼君のお母さんから電話がかかっていきました。

「翼はあなたと会うのを楽しみにしていたのよ。」

時折震える声で話してくれる翼君のお母さん。

昔一緒に遊んでいた懐かしい思い出を話してくれるたびに、私の目からも涙が止まらなくなってしまいました。

「また今度家に来て頂戴。渡したいものがあるから。」

最後に翼君のお母さんはそう言って電話を終わらせました。

そして後日、私は翼君の家に訪問しました。

「翼があなたからもらったキーホルダーあるでしょ?あれ、あなたに渡しておこうと思って。きっとあの子もそれを望んでいるだろうから。」

翼君のお母さんからキーホルダーの話をされて、少しびっくりした私。

なんでも翼君はお母さんに、キーホルダーをもらったことを自慢げに話していたらしく、いつも大切に鞄に付けていたと教えてくれました。

そして、私とメールをした日にも、鞄についたそのキーホルダーをいじりながら予定を話している姿が印象に残っていたそうです。

ずっと一緒

それから数日後、私はある夢を見ました。

それは高校生に成長した翼君が、私に話しかけてくる夢です。

一度も見たことのない海岸のようなところで彼と二人で歩いていました。

遺影で見た、成長して顔も体も大人っぽくなった彼。声変わりもしてすっかり太くなった声で私に語り掛ける彼。

「幸せになれよ!」

満面の笑みで彼がそう言ってくれた瞬間、はっと目が覚め、目からは自然と涙がこぼれていました。

そして、通学用の鞄に二つ付けたキーホルダーが、窓から入ってきた太陽の光でキラリと光っていました。

ふと、心に思うことがあります。

何故あのタイミングで翼君から会いたいと連絡があったのでしょう。

偶然なのでしょうか?

しかし、私にはもう会えなくなるからと、翼君が教えてくれたように思えてなりません。

今でも何故だか、近くで私のことを見てくれているような気がします。

 

tanuki著

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