思い出は時に足枷のように。

「はじめに」
ご存じの方も多いと思いますが、世間では空前の”推し活”ブームです。
“推し”と呼ばれる存在を作ることが推奨され、いわゆるオタクと呼ばれる私にはぴったりの世界になりつつあるなと実感しています。
 
さて、推しのいるみなさんにお聞きしたいのですが、
”推しと付き合う”ということを考えたことはありますか?
夢のような話ですが、実は現実に起きてもおかしくない話です。
 
ばったり会う・何かのきっかけでつながりを持つ・無名の新人を応援していたら個別で仲良くなった、などなど。
キャラクターなどの2次元上の創作物でなく、生きている人間を推している場合、こういったことは起こりうるのです。
 
これは、私の人生の中に、
唯一無二の思い出として残り続けている、推しとの恋の話。
 
 
 
「恋に落ちるを実感した時間」
ある日SNSを徘徊していた時に、
偶然、タイムラインに表示された彼を見つけました。
 
もともと彼を友人がフォローしていたため、彼の存在は知っていました。
が、正直友人以外の人間に興味がなく、見て見ぬふり。
 
その日たまたま彼の写真付きの投稿を友人が回し、
否応なしに、必然的に、私の目に飛び込んできました。
 
目元だけを写す、情報量の少ない写真。
この写真。
 
この、たった一枚で、私は彼に一目惚れをしました。
 
 
「文字通り夢のような始まり」
それから怒涛のような展開でした。
 
まず即彼をフォローし、「初めまして、○○っていいます!めっちゃかっこいいですね!応援してます!」
と熱意強めの返信をし、投稿にはすべていいねをクリック。もちろん投稿された写真はすべて保存。
時々彼がひとりで行う配信ライブには、始終居座りコメントを送りまくる。
友人にびっくりされるほど、私は”推し活”を元気に行っていました。
 
数ヶ月経ったある日、彼から突然DMが送られてきました。
 
「○○のことずっとかわいいと思ってた。好き。よかったら付き合わない?」
 
持っていたケータイを放り投げそうになるのを抑えて、わたしは返事を送りました。
 
「私でよければよろしくお願いします!」
 
 
「突然の別れ」
付き合ってから二人で遊びに出かけたり、お泊りをしたり、
寝落ち通話もたくさんしました。
 
そんな、とてもおだやかな日々を過ごしていたのですが、
ある日突然、彼の心が自分から離れていく直感がしました。
 
なにか決め手のようなものがあったわけではありません。
それでもなんとなく、直感で『別れを切り出されるかもしれない』そう思いました。
 
元々神経が過敏で人の感情や周囲の状況に気づきやすい性格と、
加えて恋愛時において妙に冴えわたる女の勘というものが相まったのもあるかもしれません。
 
はじめの小さなざわめきは、
日に日に見過ごすことのできないほどに大きくなっていきました。
 
直感から数日後、彼から「別れてほしい」
 
そう、切り出されました。
 
「ほかに好きな人ができたんだ」
一番聞きたくない言葉とともに。
 
 
 
「彼が私に残したもの」
当たり前に受け入れられるわけもなく、「いやだ」と駄々をこねました。
でも、無駄でした。
 
なので私なりの抵抗で、「わかったよ。でも友達でいてほしい」と、精一杯、強がりました。
彼は承諾してくれましたが、その後彼は別の人と付き合いました。
 
そして、私に”一番の友達”として恋愛相談を投げかけてきました。
 
「告白してきたのはそっちなのに!なんでこんなの聞かなきゃなんないのよ・・・」
友達でいてほしい。そう願ったのは自分ですが、
このような怨念に近いような気持ちも渦巻き、結局別れて数日後にSNSをすべてブロックしました。
 
何が悪かったのか
何が原因だったのか
どうしたらもっと長く続けることができたのか
 
別れて、縁を切って、10年近く経った今でも考えます。
 
そして、彼と別れてから新しい恋愛に進もうとしたとしても
「きっといずれ嫌われてしまう。そうなったときに傷つくのは自分」
そういう思いが私の中でうまれるようになりました。
 
とても幸せな時間だったことは確かです。
ですが、火遊びのような恋愛はよく考えて飛び込んだほうがいいかもしれません。
 
彼との経験が私にとっての糧になる日は、まだ先のようです。
 

に498著

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回は、推しと付き合った彼女の出会いと別れについて書いていただきました。

    ある日SNSを見ていた時に出会った彼。今まで興味がなかったのに、たまたま友人から流れてきた彼の写真に一目惚れ!
    速攻フォローし、投稿にはすべていいねを押し、配信ライブではコメントを送りまくるなど、元気に推し活を続けていました。
    すると突然彼から付き合いたいとのDMが届き、2人は付き合い始めます。
    穏やかな日常を過ごしていた彼女でしたが、ある日彼の心が離れていくような直感がありました。
    そしての直感は当たり、好きな人ができたという理由で彼から別れを告げられることに。
    友達として付き合うという形に収まった彼女でしたが、彼から“一番の友達”としての恋愛相談を投げかけられ、怨念のような気持ちが渦巻き彼をすべてブロック。
    彼との出来事が今でも足枷となっています。

    推しから告白され有頂天になる様子、彼に振り回されるように終わってしまった恋愛の様子が鮮明に描かれています。
    自分に非がなく、自分に何かすることができたのか?と思う恋愛ほど後々まで引きずること、同じような経験のある読者は強く共感するでしょう。
    一人の女性の心情の移り変わりが、非常によく表現された作品です。

    検収者 kitsuneko22

    ⑤kitsuneko22-10

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