幼馴染

私にはショウタという幼馴染が居る。
保育園も同じだし、家も自分の家から最初の交差点を曲がったところにあるし、親同士も仲が良く、子供の頃は兄弟のように毎日遊んでいた。
一緒に居るのが当たり前で、中学校や高校も同じ。登下校も一緒だった。
そんな私達が恋人関係になるのは全然不思議ではなかった。
中学校3年生くらいから付き合い始めた。
幼い時は意識していなかったけれど、思春期になり、お互い相手が居ないと、、という状態である事に気が付き、付き合い始めたのだった。
子供の頃からそんな感じで一緒に居たため、周りの人も当たり前、といった感じで思っていたと思う。
だから、不用意に女子はショウタに、男子は私に異性として近づく者はいなかった。
思春期

しかし、高校になると色んな地域から通う人が居るため、私達が幼馴染で付き合っていることを知らなかったりする。
ショウタはイケメンな方だった。
だから、高校では女の子たちがショウタのカッコよさを噂して寄ってくることもあった。
私はその時に人生で初めてやきもちを妬いた。
今まで異性でずっと一緒にいるのは自分位だったし、やきもちを妬く機会がなかった。
ショウタへの思いで初めて経験する気持ちだった。
この気持ちに対してどう対処してよいかわからず、そもそも最初はヤキモチだなんて思わず、ただイライラしてショウタに当たってしまった。
彼もまたこんな機会がなかったので、私がなぜ当たったのか検討もつかなかっただろう。
社会人

それから数年が経って、二人とも社会人になった。
さすがに職場は別々で、彼が居ない環境に足を踏み入れるというのが人生においてほぼ初めてで、経験したことのない不安で押しつぶされそうだった。
どんな時も一緒だったから、不安が倍増した。他の人には少々不安なんだろうというくらいで中々この気持ちは伝わらなかった。
でも、きっと私たちは結婚するだろう。だから大丈夫。そうタカをくくっていた。
そんな新社会人として過ごして3か月が経った。
よくやく職場の人や環境に慣れ始めてきた。
一方のショウタも同じころようやく職場に慣れたようだった。
私から見るショウタは、少し何だか知らない人のようで寂しい時があった。
社会人になったことで、初めて私といる時間が減り、彼の知らなかった部分が知らない間に成長したり色んな経験をして刺激があったのだろう。
だからショウタが変わってしまっていくのが、辛くなってきた。
しかし、思わぬ事態となった。
ショウタから、『お前変わったよな。』と言われて急にフラれてしまった。
もう付き合いも7年位経っていたのに。
当時は自分を見つめなおす余裕はなく、相手が変わっていく事に焦る毎日だったが、
変わっていたのはお互い様だったようだ。
私自身も少なからず新しい社会に刺激を受けて、自覚なく変化していたようだ。
あんなに毎日一緒だったのに、別れってくるんだ。
1人になって

フラれた後の事は何だか夢のようで現実に感じられなかった。
自分の家に帰って来たのに、自分の家じゃない。そんな感じだった。
中々失恋の痛みは消えない。
友人が誰かを紹介すると言ってくれてもそんな気になれない。
それと同時にショウタに腹も立っていた。
私の気持ちをきちんと聞かずに一方的にフルなんて。
子供の頃から一緒にいるんだから、腹割って、たとえ大喧嘩したってお互い本気でぶつかりあえばよかったじゃないか。
いや、でももう何を思っても遅いのか。
出会い

それから社会人生活を廃人のように過ごし、惰性で会社の歓送迎会とか、飲み会とかに参加した。
完全に暇つぶしだった。
そんな時、同じ会社の上司が浮かない私の様子を見かねて声をかけてきた。
別に今までこの上司をとやかく思ったことはない。
でも友達と話している感覚で気さくで話しやすかったショウタの事を完全に忘れて誰かと話し込んだのは久々だ。
そして数年後その上司と結婚し、子供が2人出来た。
結婚はすごく好きだってわけじゃ無いけれど何となく流れに任せてそうなった。
そんなころ風の噂でショウタも結婚したと聞いた。別れた時ほどではないがズーーンとした気持ちになった。
再認識

子供たちも10歳くらいになった。
夫婦関係は元々上司と部下だったからか、主従関係のようになっていて、毎日不満で爆発しそうだった。相手を好きで結婚したわけじゃなかったので、何かあるたびに相手に対する嫌な気持ちには拍車がかかった。
そんな頃ヒョンな事から再びショウタとメールでやり取りをするようになった。
ショウタには子供はいないらしい。
やり取りをしているうち、ショウタも奥さんとうまくいっていないようだった。
なので、週に1回か2週間に1回くらい、気晴らしで子供たちも連れてショウタと4人で買い物に行ったりした。
もう自覚していた。
自分にはやっぱりショウタなんだと。
でもショウタがどう思っているかわからない。
別れてから10年以上が経っていた。それでもまだ、別れてからの10年より、ショウタと一緒に過ごした時間の方が長かった。
ただの幼馴染だと思われているかもしれない。
しかも私には子供が居る。
その年の年末、うまくいっていなかった夫婦関係がとうとう破綻し、離婚した。
子どもたちを連れて家を出て実家へ戻った。
年が明けて、ショウタとまた買い物の約束をした。
子供も連れて4人で出かけた。
子供たちはショウタにとても懐いている。
その日の夜、4人で食事をしているとき私が少し席を外した。
ショウタが子供たちと何やら話しているのが見えた。
席に戻り、家に送ってもらうと、ショウタがなんとプロポーズしてくれた。
何でも、私の離婚より先に離婚をしており、さっき子供達には、『お母さんをお嫁さんにしていいかな?』と聞いていたそうだ。
何が起こったか一瞬わからなかったが、それとは裏腹に『やっと一緒になれる。。』
そんな思いだった。
それから入籍し、どこの家族よりも幸せに暮らしています。









コメント
コメント一覧 (1件)
pr