超内気な私

私は子供の頃からとても内向的だった。
友達と遊びたかったり、話に入りたかったりしても、全然声をかける事が出来ず、いつも同じようなタイプの子と静かに過ごすか、一人で過ごす事が多かった。
そこに保育園の時からずっと一緒だった男の子の健太君が居た。
健太君はいつも人気者で、正義感が強くて、明るい友達の多いタイプだった。
保育園の頃から健太君の事は気になっていた。当時はよくわかっていなかったが、小学生も高学年となってくればその気持ちが恋愛感情だと気付くものだ。
でも私の内向的な性格はそのままだった。授業中、答えがわかっていても挙手は出来ないし、遠足でグループ決めの時、仲良し同士で良いと先生に言われても、誰かを誘う事はなかなかできなかった。自分にも考えや気持ちはあるのに。
私は内向的な以外はとてもマメで丁寧だった。途中やり(中途半端)は嫌いで、最後まで何でもやり通したかった。
例えば理科の授業中にみんなで花壇へ行って、植物の勉強をする。色んな道具を使って観察をする。授業終了の鐘が鳴ると、真っ先に教室へ帰り、放課の時間を謳歌する同級生もいたが、私は最後まできちんとノートにまとめて片付けをしないと気が済まないタイプだった。
一見真面目で良い事に見えるが、見方によっては融通が利かないように見えていてもおかしくない。真面目過ぎて友達が少ないのではないかと思ったこともある。
1学年2クラスしかなかったので、健太君とは1年おきくらいに同じクラスになった。
その後同じ中学へ通って、高校も地元の高校同士で同じだった。
健太君は相変わらず人気者で、モテていたし、彼女が居るのではないかという噂も頻繁に聞いた。本当かどうかわからない話を信じ、聞く度にグッと胸が締め付けられる。
別々の進路へ

高校を卒業すると、とうとう別々の進路となってしまい、想いを伝えられないまま別れてしまった。健太君は私のことなどすぐ忘れてしまうだろう。少ししたら名前すら憶えていないかもしれない。そんなことを考えながら、卒業したのだ。
数年して、私は社会人になった。実家と同じ町だが通勤の為駅の近くへ引っ越しをして、毎朝満員電車に乗って、いつもと同じ会社へ出勤した。内向的な性格はそのままだし、満員電車が好きな人はそんなに居ないだろうが、いつも誰かの視線を感じているようで特に苦手だ。
そんなある日、帰宅すると違和感を覚えた。
どこからともなく視線を感じる。振り返ると、特に何も見当たらなかった。
しかし、そんな違和感が頻度を増していき、何かがわからないまま過ぎていった。
不安と恐怖の日々

それから半年くらい経っただろうか。
ポストに何かが入っている。手紙のようだ。
開封して読んでみると、【今日は〇〇だね】とその日私の服装の特徴が書いてあった。ある日は【今日はいつもより遅いね。】送り主の名前はない。
ゾっとした。
これはもしや、、。
でも身に覚えがない。だって私は自分からはもちろん男性から声をかけられたことなんてない。
でもその手紙や違和感はどんどんエスカレートしていった。
家に帰るのも怖い。すぐそこに誰かが居るとしか思えない。家の中に入っていたって安心できない。
あまりに怖くなったので、警察に相談をすることにした。
『相手に心辺りがないのですが、ストーカー被害にあっているかもしれません。。』
それで、最近の出来事を話した。
しかし、視線を感じたり、時々手紙が入っている程度で、直接何かをされているわけではなかったからか、あまり対処に応じてくれる感じではなかった。
それからさらに時が経ち、今度は家をノックするようになってきた。もちろん開けないが、のぞき窓から覗くといつももう居ないのだ。
どうしよう。警察に相談してダメなら誰に相談したらよいのだろう。。両親に迷惑かけるわけにはいかないし、、実家に帰って実家を知られたらそれも怖いし・・。
ついに近づいてくる

そんな事を考えていたら、またいつものように手紙が入っていた。【何曜日の〇時に■■で待っています】と。その日着るという服装の特徴まで書いてあった。
そんな一方的な。。。!
そこで、顔も知らない為、少しでも突き止めようと、その日、遠くから眺める事にした。
待ち合わせの時間にそこに居たのは、、
よく電車で見かける人だった。しかし、知らない人だ。30代くらいだろうか。別に見た目は普通で、ストーカーをしそうな人には見えない。だから余計に怖い。
私はその足で帰った。
しかし、帰っても怖い。無視をしたわけだから、何をされるかわからない。すると、その次の日の夜、自宅のドアをどんどんと叩く音がする。全然鳴り止まない。怖くて怯えているとピタっと止まった。すごく気になった。でも今出ていくとどうなる事か。。
それから1時間程経った。『こんばんは!』という声と共にインタホーンが鳴った。
覗き窓から覗いてみる。『ん・・?・・・!!!』
そこに居たのは

出てみると、まさかの健太君だった。
一瞬何が起こったかわからなかった。最後に会ってからどれくらい経っただろうか。
話を聞くと、私があの警察に相談に言った時、健太君が同じ警察署内に居たらしい。警察官として。
最初は私だと気が付かなかったようだが、警察署を出ようとしたとき私に気が付き、後から事情を同僚に聞いたのだそうだ。
そして、私を警戒させないように私とは接触せず、帰り道にわざわざ遠回りをして、うちの前を通りながら帰っていたらしい。
そこで、今回ストーカーがうちの玄関を叩いている姿を目撃し、捕まえた、という内容だった。正義感の強い健太君らしい。
それと同時に、昔から誰より真面目で優しかったね、どんな時も丁寧で女の子らしくて、大人しかったけれどそこが好きだった。と。
嘘みたいだった。私の事を知ってくれているなんて。しかも好意的だったなんて。信じられなかった。
だけど彼は私の学生時代のほんの一コマを覚えており、話をしてくれた。そうなの、興味がなければ絶対に気が付かない事だ・・!
嬉しくて夢の様だった。そして安心して涙があふれた。
その日から、ストーカー被害にあう事はなくなり彼と幸せに暮らしています。
ooguti著









コメント
コメント一覧 (1件)
pr