私の名前は岬(みさき)。
今日は私の大好きな2人についてお話したいと思います。

ー2人の出逢いー
浩は公務員として
葵は銀行員として
大阪で働いていました。
時は昭和
2人がまだ出会っていなかった、ある日の朝
浩はいつもの電車に乗り遅れてしまい、あわてて次の電車に駆け込みます。
(ああ、今日は立ったままで出勤か。)
朝早いせいか、ラッシュほどではないけど
既に座席に空きはありません。
吊り革を掴みながら、少しだけ不満を感じていました。
すると、同じ駅で乗りこんだ女の人が本を読み始めたのです。
その女性が葵でした。
その当時はまだ、通勤時に本や新聞を読む人も多かったそうです。
(俺とは、えらい違いやな)
小さなことで不服に思う自分がとても小さく見えるのです。
本を読みながら、クスっと時々口元が緩む彼女に
浩は、憧れのようなものを感じていました。
本を読む姿がとても美しく、つい見とれてしまいます。
じっと見すぎたのか、彼女が視線に気がついたようです。
少し気まずいと思いつつ、それでもつい見てしまう。
一目惚れでした。
偶然にも葵は浩と同じ駅で降りました。
(これはチャンスだ!)
そう思った浩は、彼女の後を追いかけ、
勇気を振り絞って声をかけたのです。
「あの、この近くで働いてるのですか?」
初めて話かけるには、少し間抜けな質問です。
「そやけど、何ですか?」
彼女は至ってクールです。
どうしてもお話をしたいと思った浩は、仕事帰りに会う 約束をします。
今、これをすると怪しい人だと思われますよね。

ー2人の始まりー
その日の帰り、2人は駅の近くにある喫茶店で待ち合せをしました。
(まさか本当に来てくれるなんて‥。)
と浩は思ったそうです。
最初は緊張して、何を話していいのか戸惑いますが、
二人とも猫好きで、同じ歌手が好きだったことで意気投合します。
あとは自然は流れでいい感じで話ができたそうです。
そして、次のデートの約束まですることができました。
初めてのデートは動物園だったそうです。
その後の、何度か会ううち2人の関係は深くなり
ずっと一緒にいたい思うほどの付き合いに発展していきます。

ー2人の生活とすれ違いー
数ヶ月が過ぎて
2人は一緒に暮らすことになり、小さなアパートを借りたそうです。
初めの頃は
二人っきりの生活の何もかもが新鮮で、
ワクワクするような毎日でした。
しかし、全部がうまく行くわけではありませんでした。
家の用事や、料理、家事、洗濯 などは、
先に帰宅する葵がほとんどをすることになります。
その結果、彼女には自分の時間があまりなかったのです。
なのに生活費や家賃は折半。
不満がたまります。
浩は帰宅すると、
ご飯を食べ、お風呂に入り、テレビを見る、ほとんどが自分の時間なのです。
「私は無料のお手伝いさんではない」
彼女は怒り、別れを切り出し ます。

ー2人が出した答えー
そして
二人が出した結論は、別れではありませんでした。
・葵の家事担当は平日のみ
・家事は有料、
1ヶ月に30,000円を家事分担費として葵に支払うこと。
・土日は家事休業。
何かを任せたら1件につき1000円。
浩が葵に家事分担費を支払うことで仲直りしたのです。
そうです、2人はお金で解決したのです。
こうやって、2人はいろんな試練を乗り越え、自然に結婚を考えるようになります。
そして結婚式での葵は、この世の中の誰よりも綺麗だったと今でも浩は言うのです。

ーその2人とはー
そう、この2人は、私の祖父母です。
時々、昔のアルバムを見ながら、若い頃の話をしてくれるのですが、
私はこの通勤電車での出逢いの話が一番好きです。
この作文を書くために現在の家事分担費を聞いてみたら70,000円だそうです。
本当かな?
最近は何を思ったか、祖父は祖母にお料理を教えてもらうようになりました。
今でも2人は孫の私が羨ましがるほど仲良しです。
私もいつか素敵な人と出会えたらいいなぁ
661著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
今回の作品は、通勤電車で出会ったある男女の恋愛物語です。
浩と葵は昭和時代、大阪の通勤電車で出会います。浩は葵に一目惚れし、その日のうちに勇気を出して声をかけ食事に行くことになったのです。
2人は趣味の話で意気投合し、その後何度かデートに行くうちに仲が深まり同棲することになります。
始めの頃は楽しい同棲生活でしたが、次第に仕事や家事といった負担が葵に偏り始め、不満を感じた葵が別れを切り出します。
しかし2人が切り出した答えは別れではなくお金による解決でした。
これは著者岬の祖父母のお話で、今でも仲の良い二人の姿は岬の憧れです。
一目惚れから始まった関係が、困難を乗り越え今につながる物語です。
別れを示唆するほどの困難を話し合いとお金という形で解決した点が興味深く、お互いを尊重する心がつないだと言えます。
日頃からのコミュニケーションが関係悪化を防ぐことを再確認できる良い作品です。
検収者 kitsuneko22
⑪kitsuneko22-10