選択の果て

彼はいつも完璧な人だ。
有名大学を卒業後、一流大学に就職をして仕事も順調。
スタイルもよくコミュニケーション能力も高い彼は目立つタイプで いつも男性や女性から一目置かれる存在なのだ。

そんな彼と私は婚約中で、結婚を控えてる。
友人からは、羨ましがられ、「いい人見つけたね!」「玉の輿だね!うらやましい」

と祝福を受けていた。

私は今、30歳。 去年は結婚ラッシュで友人の半分以上は結婚してしまった。

テーブルの上には、結婚式の招待状のデザイン案が広がっている。
「どれにしようかなぁ・・」

「はぁ・・。」

心はどこか重たい。

キラキラと輝く紹介状は、今の私には眩しかった。

本当にこのまま結婚しちゃっていいのかな・・。

彼は確かに素敵な人だった。
彼は古風な性格で結婚したら仕事をやめて、家庭に専念をしてほしい、と言われていた。 けれど、私にもやりたいことがあった。
元々、動物が好きで 動物に関わる仕事に携わりたい気持ちがあった。 彼は潔癖症なところがあり、動物に関わる仕事をしたいと話したときも大反対をうけてしまった。

私の心はモヤモヤしていた。このままこの選択をしていいのか。

でももう30だし、この結婚逃しちゃったら結婚できないかも。

周りからも評判の彼だし、きっといい結婚生活になるよね。

私は自分を何とか納得させようと必死だった。

日曜日、私はいつものように、お気に入りのカフェへ行った。
彼の仕事がある休日は、お気に入りのカフェ巡りが、私の楽しみだった。
テラス席に座りながらコーヒーを飲み、ゆったりと音楽を聞いていた。

「あれ~、久しぶり!」

目の前にいたのは、大学時代、仲良くしていた友人の麻子だった。

「あれ、麻子?久しぶり!元気してた?」

麻子との再会は、私にとって楽しい出来事だった。

カフェのテラスで並んで座りながら、大学時代の思い出や最近の生活について話し込んだ。

麻子は昔と変わらず、落ち着いた雰囲気で、どこか懐かしさを感じさせる。

麻子は、小さな会社で働いており、彼女なりに充実した毎日を送っているようだった。

「あ、そういえば!こないだ聞いたんだけど結婚するんだって?おめでとう!」
祝福の言葉に、私は無理やり笑顔を作った。

「あ、うん。ありがとう。でも、なんだか不安で…。」

麻子は私の不安な表情を見て、優しく言葉を選びながら話し始めた。
「大事なのは、自分が本当に幸せになれるかどうかだよ。誰かの期待に応えるためじゃなくて、自分自身のために選択することが大切だからね。」

麻子のこの言葉は、私の心に深く深く響いた。
「私、今、会社はやりたい仕事ではなくて大変なことも多いんだけどさ、 やっぱ服飾のほうもやりたくて、週末にバイトもしてるんだ。」
麻子は、自分の将来の夢、それに向かって今やっていることを嬉しそうに教えてくれた。 麻子との時間は、私にとって大切な息抜きとなり、自分自身を見つめ直す機会を与えてくれた。

「ありがとう。本当に久しぶりに、自分の心に正直になれた気がするよ。」

カフェを後にする時、私は心の中で決心した。この結婚が本当に自分の望むものか、もう一度じっくり考え直すことに。麻子との偶然の再会は、私にとって新たな道を考えるきっかけとなったのだった。

心の中で新たな決心を固めた私は、カフェからの帰り道、ずっと考え事をしていた。
自分自身の幸せとは何か、本当に求めているものは何かを真剣に考えていた。
今までずっと、他人の期待や社会の規範に縛られ、自分の本当の気持ちを見失っていのではないか。

家に着いた私は、彼と真剣に話し合うことに決めた。彼はいつも通り遅くまで仕事をしていたが、私の真剣な様子を見て、話を聞いてくれることになった。
「私、本当にこの結婚で幸せになれるのか・・この選択に不安を感じている」

彼は少し驚いた顔をした後、静かに話し始めた。
「君が本当に僕との結婚に不安を感じているなら、無理に進めるべきじゃない。僕たちはお互いにとって最良の選択をするべきだ。」

彼の言葉に私は涙が出そうになった。

長い話し合いの後、私たちは互いに時間を持ち、自分たちの将来についてじっくり考えることにした。

「すぐに答えはでない。ゆっくりと二人で納得できる結果をだそう」

彼は言ってくれた。

その夜、一人で長い時間を過ごし、私は自分自身の心と向き合った。
麻子の言葉が何度も頭をよぎる。

「自分が本当に幸せになれるかどうか。」

私の心の奥底には、いつも動物たちと関わり、彼らを通して多くの人々に喜びを届けたいという夢があった。
この夢を追いかける勇気を持つことが、私にとっての真の幸せにつながるのだと気づいた。 動物が苦手な彼は、納得はしてくれても、理解はするのは難しいだろう。
彼が犬や猫に囲まれて過ごすという未来を想像するのは無理があった。

翌日、私は彼と再び話し合い、自分の心の中にある夢と、それを叶えたいという強い気持ちを伝えた。

彼は「そっか、そんな強い気持ちを持っていたんだね。結婚はできても、そのうち 価値観がずれてきて、お互いが苦しくなってしまうね。」と言ってくれた。

彼はしばらく考え込んだあと

「お互い、別々の道をすすもう。」と言った。

「ごめんなさい・・。ありがとう。」

私たちの関係は終わりを告げた。

それは決して簡単な選択ではなかった。

それから数ヶ月後、週末に私は動物保護施設でボランティアとして働き始めた。

働きながら、動物福祉に関連する勉強も再開した。
そのなかで、同じ夢を持つ多くの仲間たちと出会うことができ、
新たなつながりが生まれた。

私の選択が正しかったのか、間違っていたのかは

どうかは分からない。

ただ、麻子との偶然の再会が私に本当の自分の幸せを大切にすることを教えてくれた。

私はいま、自分の道を進んでいて、日々充実感を感じ幸せに暮らしている。

m662著

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回の作品は、自分の幸せのための選択についての物語です。

    主人公の婚約者は完璧なエリートで、誰からも羨ましがられるほど評判の良い人物でした。
    しかし主人公は、彼と結婚することで諦めなければならない夢があること、そしてこれを逃したら結婚できないかもしれないという不安と日々葛藤していました。
    ある日、お気に入りのカフェで友人の麻子と出会います。そして麻子に悩みを打ち明けることで、自分自身を大切にする選択が大切だということに気付かされます。
    そして、主人公と彼は真剣な話し合いの末、別々の道を歩むことになったのです。
    主人公は自分の夢を叶えるための道に進み、そこで多くの仲間と出会い、新たな繋がりが生まれます。
    自分の選択が正解だったかは分かりませんが、主人公は日々充実感を感じ幸せに暮らしています。

    自分自身の幸せのために大きな決断を下す女性の姿が描かれています。
    他人の期待や社会の規範に囚われることなく自身の幸せを追求し決断する女性の姿は、読者に大きな勇気を与えます。
    自分自身の幸せを追求する重要性と、大きな決断をする勇気の必要性について考えさせられる素晴らしい作品です。

    検収者 kitsuneko22

    ⑨kitsuneko22-10

コメントする

目次