世界は人に広げてもらうものにあらず!~自分と人を知る良い勉強になった件

実感できない「別れ」

大学3年生の時、私は飲食店でホールのアルバイトをしていました。そのお店は個室とカウンターのみでキッチンには「THE料理人」がいて生け簀があるような…少し高級な居酒屋さんでした。バイト歴3年目、ホールリーダーになったタイミングでキッチンのNo.2の人も新しく配属されモチベーションも高く、私は順調なアルバイト生活と充実したキャンパスライフを送っていました。

そんな時、付き合っていた恋人から突然「他に守ってあげたい子ができたんだ」と言われ、あっさり別れることになりました。高校の時から約5年間、付き合ったり別れたりもあったけれどその理由に「リアルな第三者」が出てきたのは初めてでした。心のどこかで好かれてることを疑わず別れる訳がないと軽んじていた私は…目の前で謝る恋人を責めることもできず、かといって「別れたくない」と縋りつく勇気もありませんでした。大学も別々でお互いサークルやバイトで忙しいながらも良きパートナーだと信じ込んでたのに。どこかで努力を怠って間違っちゃったのかなー…。しかし生真面目な私が考えたことは「明日はランチ&ディナーの通しバイトだ、早く眠らなきゃ」でした。

京都弁のNo.2料理人

ぐっすり眠れて元気にバイトスタート。別れたことなんてどこか他人事のように感じてしまい通常運転というよりフルスロットルでテンション高め。ランチ終わりで一旦お店を閉めての休憩時間には、バイト仲間にもペラペラペラペラ…おもしろおかしくフラれた話を喋っちゃっていました。そして、その日のバイトが終わったら行ける人だけで飲みに行こう!なんてワイワイ盛り上がっていました。

…「俺も参加してええ?」

「ん?」 あぁ、キッチンに新しく入ったNo.2の…。「あ、もちろんです!!この間の歓迎会では、あんまりお話できませんでしたし是非!!」元来優等生の私は模範解答をしながら心の中では(30歳ちかいオジサンかぁー…説教くさいこと言われたら嫌だなぁー…そもそもあのゆったりとした京都弁?ちょっと苦手なんだよなぁー…)なんて思いながらも飲み会の時間を心待ちに働きました。

合コン=勉強という正当性

「明菜ちゃんの別れに乾杯~♪」私も含めてみんなで盛大に飲み恋愛観バトルに(*´з`)

「別れて正解!」「相手を好きかどうか自分と向き合う時間が必要なのでは?」「出会いはまだ無限!」「明菜がシッカリ者すぎたんだよ」「続ける努力をすべきだった」「相手の心変わりは怒るべきだった」「明菜は一人で生きてけそうだもんな!」「俺からしたら十分に守ってあげたくなるタイプの女の子やけどなぁ~」

私も私で「合コン行きまくってやる宣言!」なんて調子に乗っていたらNo.2が突然「そしたら俺、セッティングしたろうか?」と口を挟んできました。酔っぱらってはいたものの、ほとんど合コン経験ゼロの私が突然、社会人の30歳と!?そんなに親しくもない相手が幹事の合コンなんて…と迷っていたら「学ぶ勇気も必要やで~自分の成長の機会と思って構えへんでいこうや」と、やんわり背中を押され気づいたらYESと応じていました。「是非!おねがいします!」(そう、正当性を与えられると弱いタイプなのです)

世界を広げてくれた彼

「俺のこと今は好きやなくてもええで。これから好きにさせたるわ。」そんな彼の甘く優しい言葉に流され、あっさり付き合うことになった私。彼は日本料理の前にはイタリアンで働いていたらしく、2人でいるときに良くパスタを作ってくれました。一人暮らしの彼の家に自分のものを置かせてもらったり、合鍵もらったり、彼の運転でドライブデートをしたり、ライブハウスに行ったり、お洒落なBarに行ったり、お互いの友達を紹介し合ったり…。一緒に過ごすうちに彼の存在は、どんんどん大きくなっていきました。

「こんな形で始まる恋愛もあるって言ったやろ?ずっと一緒にいような」「うん、ありがとうね」世界を広げてくれた彼には感謝の気持ちでいっぱいで、私は本気で彼とずっと一緒にいようと思っていました。

ある結婚式の朝

苦手だったはずの彼の京都弁を真似するようにすらなっていたある日、彼の家で目覚めると仕事は休みでゆっくりできるはずなのに彼が朝早く身支度をしています。どうしたのかと尋ねると「言い損ねててんけど、今日結婚式やねん」と満面の笑み。寝起きの私はボーッとしながら私へのサプライズ(^^)?だなんて能天気な頭で「誰の~?○○くん?△△くん?」紹介してもらった彼の友人の名前を挙げつつ、何度も彼の友人に会って紹介してもらっている自分にちょっと酔いながら起き上がった瞬間でした。

「いや、俺やねん。ほんまやねん。でも明菜とも付き合い続けるから安心してな。ほな、ゆっくりしててええから!」

一瞬の出来事でした。彼は聞いたことないくらいの早口で言ったあと、足早に部屋を出ていきました。シッカリ聞き取れてしまった私は漫画のように「…え?」と、声にだしました。

生真面目な優等生は正当性を探す

混乱する中、できる限り冷静に、ひとつひとつ事実を確認しました。彼の部屋の合鍵も持っていて今まさに彼の部屋にいるのに…私が浮気相手だったのでしょう。急いで荷物をまとめて「私は知らなかったんだもん…」と唱えながら効率よくテキパキと片付け、律義に片づけをして部屋を出て合鍵をポストに入れて一目散に実家に帰りました。

バイトはシフトが出ているぶんについて放り出すわけにはいかない、お嫁さんからしたら私が浮気相手だどうしよう、頭に浮かぶのはそういうことばかりでした。自分が間違っていないかどうかに精一杯で…相手への怒りはあったけれど爆発するほどではありませんでした。悲しさもあったけれど溢れるほどではありませんでした。

広がったはずの世界は一気に色あせて、目の前に出てきたのは「他に守ってあげたい子ができたんだ」という言葉でした。そっか、まずは…それを悲しむところから始めようかな。あぁ、やっと涙がこぼれてきた。これを受け止めて進んでいくのが私らしいやり方かな。そんな風に思って前を向きました。

 

yuki著

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