助けてくれた彼は、わたしとは別世界の人

道端で

「もう!!!ほんっと最悪!!!」

サワコは電動自転車を引きながら、自分にふりかかった出来事を思い返して泣きたくなった。

 

突然タイヤがパンクし、修理に持っていこうとした途中で、中のチューブが出てしまい、まったく動かなくなってしまったのだ。

 

とくかく、自転車屋まで運ばないと・・・!!

 

 

重たい車体をゼーゼー言いながら引いて歩くサワコを横目に、助けるでもなく好奇の目を向けてくる通行人にチラっと目をやり「世の中、結局こんなもんだよな・・・」とがっかりしていると、後ろから声がした。

 

「大丈夫ですか?」

 

声のするほうを見ると、外国人風の、爽やかな男性だった。

 

 

 

「あ・・・はい。あはは・・・」

 

「ボクの家、そこなんですよ。台車があるので、よかったら運ぶの手伝いましょうか?」

 

「え?!?!」藁にもすがる思いだったサワコは、感激で泣きそうになった。

 

 

世の中、捨てたものじゃない!!!

 

「すみません!お願いしてもいいですか?!」

 

 

男性はふっと笑い、「ちょっと待っててください」

そういうと、サッと走っていき、数分待つと、台車を持ってきてくれた。

 

二人で自転車の後輪を台車に乗せ、ビニールのロープで固定し目的の自転車屋まで運ぶことにした。

 

 

世の中、こんなに親切な人もいるんだな・・・

 

 

感激しながら、改めて男性の顔をみると、端正な顔立ち、しっかり軸の通ってそうな目を見て、サワコはドキッとした。

 

 

「ありがとうございました。本当に助かりました」

「いえいえ!」

「あの・・・よかったらお礼に、飲み物でも・・・」

「ははっ!本当に大丈夫ですよ。気をつけて帰ってくださいね」

 

自転車屋までたどり着き、なんとか修理の手続きを済ませると、男性は台車を押して出口へと向かった。

 

なにか・・・なにか言わないと!!

 

「あの!!」

 

「はい?」

 

思わず呼び止めてしまったが、なにも思い浮かばないサワコは「あー」とか「そのー」と繰り返すばかり。

不思議そうな顔で男性はサワコをみつける。

 

 

・・・ええい!!!!!

 

 

「お名前!!なんておっしゃるんですか?」

「え?」

「あ!いや、改めて、お礼をさせてもらいたいと思って!!!」

 

男性は少し驚いた顔をしたが、すぐに口元が上がった。

「カズキです。ホンダ カズキ」

 

カズキは「じゃ。」と今度こそ帰ってしまった。

 

自分が名乗っていないことに、サワコは後で気がついた。

 

 

パン屋さんで

 

フリーランスで仕事をしているサワコには、自分で時間をコントロールすることができる。

この日は自転車で近くのパン屋へサンドイッチを買いに行った。

「う〜〜〜ん!今日はなににしようかなぁ!!」

ショーケースに並んだ色とりどりのサンドイッチにウキウキしていると、隣に人が立つ気配がした。

 

「あ、すみません」サワコが少しずれて相手の顔をみると固まった。

 

 

彼だ。

 

 

ホンダ カズキだ。

 

 

まさか、こんなところで会うなんて。

 

「あれ?この前の・・・・」

「あ!はい!サワダ サワコっていいます!すみません、この前はほんとに助かりました!!」

「サワダ サワコさん。覚えたよ」カズヤはいたずらっぽく笑った。

「あの・・・今からお昼ですか?」

「そう。この近くで美容院を経営してるんです」

「へぇ!美容師さんだったんですね!!」

「あなたは?」

「わたしはフリーランスで仕事してます」

「へぇ!かっこいい!」

2人はそれぞれ好きなサンドウィッチを選び、レジへ並んだ。

 

「あの・・・ここのお会計、私に払わせてもらえませんか?約束通り、お礼をさせてください」

サワコが提案すると、カズヤは少し考えて

「じゃ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」

二人分のお会計を済ませ店をでると、外は気持ちのいい青空が広がっていた。

 

もっと、彼と話がしたいな・・・

 

そう思うも、サワコは言葉にすることができなかった。

 

釣り合わない2人

サワコはジーパンに地味な色のTシャツを着ている自分と、雑誌から抜けてきたような、オシャレでスタイルのいいカズヤを交互にみてため息をついた。

 

 

 

釣り合うわけないじゃん・・・。

 

 

自分が一緒にランチしようなんて誘っても迷惑に決まってる。断られるに決まってるし、そんな結果が見えてることに挑戦して、傷つきたくない。

 

そもそも、住む世界が違う。

 

 

 

「よかったら、近くにおいしいコーヒー屋があるんです。そこでコーヒーを買って、公園かどこかで一緒にこれ、食べませんか」パン屋の袋を軽く持ち上げ、カズヤは笑った。

 

 

・・・・え?!

 

驚いてカズヤの顔をみる。

予想外の提案に、サワコは言葉が出てこなかった。

 

「こうやってまた会えたのも何かの縁だと思って・・・もちろん!迷惑だったら、断ってくれてかまいません!!」

 

サワコのリアクションが否定的に捉えられたのか、カズヤは焦った顔をしていた。

 

「・・・・・・でも、おれちょっとサワダさんと話がしてみたいなと思って」

 

カズヤからつぶやくように出た言葉は、サワコが言いたかったことだった。

 

 

 

うれしい・・・・!!!

 

「わたしも、もう少しお話しいてみたいと思ってたんです」

それを聞くと、カズヤの顔にだんだん笑みが浮かび上がってきた。

 

「じゃ!行きましょう!!コーヒー屋はここをもう少しまっすぐいったところです」

「はい!!」

 

2人は歩きながら、たくさん自分のことについて話した。

 

お互いをもっと、深く知るために・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

himiko著

 

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