「はああ~~ぁぁ」
今日もいつものように居間からの雄叫びが聞こえてくる。
僕はその声に不快を否めないが毎日耳にするので慣れたものである。
その雄叫びの主は親父だ。
親父は合唱団に入っているので声量はでかい。
かれこれ40年も続けているのだ。
不快音

その声量にもかなりの年季が含まれている。
そんな親父と母が出会ったのは合唱団にて。
母も同様に今も親父と同じ合唱団に所属している。
もうすぐで70歳を迎えようとする親父は63歳ぐらいで会社を満期退職し隠居生活のようになった。
高校を卒業し大手製鉄会社一筋に勤めあげたところは尊敬している。
ころころ仕事を変えている自分としてはとても真似できた所業ではない。
しかし家にいる時の親父は家事なんてぼぼやらず新聞読んでるかテレビ見ているかパソコンいじっているかぐらいだ。
ほぼ一日中家にいる様な感じ。
そんなものなのだろうか
仕事から離れた男というのは。
今日も朝から親父の鬱陶しさを感じる。
親孝行

正直自分としてはこの歳になっても実家にいるというのは親に申し訳ない気持ちがある。
駄目息子でごめんねと。
それでも自分なりに家事でできる範囲はやることにしている。
母親も数年前から腰が曲がってきていて髪も白髪で覆われている。
見た目はもう婆さんそのものだ。
そんな母の姿を見て何にもしない自分を情けなく思い家の手伝いをかって出るようになった。
母の衰えを目の当たりにして子は変わったわけだ。
少しでもいいから母を楽させたいと思ったわけだ。
個人的には最大の親孝行とは孫の顔を見せることと思っているがそれは叶えられないかもしれない
隣の家に孫を連れてきた家族の楽しそうが声が耳に入ってくるだびに
母親に申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまう。
不甲斐なくてごめんねと。
寂しさは埋めてあげられない分せめて母親の負担になる家事ぐらいはするようにしている。
親父は何もしない

最近母も愚痴っぽくなってきた。
自分の思い通りにいかないとすぐ感情的になるようになってきた。
これが俗にいう更年期というやつなのだろうか。
僕は相手の感情とか察しやすい体質なので母の心中を察して行動にうつすようにしている。
そんな母も親父に対してはどこか諦めているところがある。
母に家事を任せっぱなしで親父は家のことは一切何もしない。
庭の草刈りでさえ腰が曲がった母がやっていたぐらいだ。
女は家庭を守り男は仕事で家に金を入れる。
昔からの風潮。
じゃあ仕事もしなくなった今どうするかというとただ自分が好きなように生活しているだけだ。
何もしていないに等しいと思う。
そんな親父を見ていて僕が歳をとった時ああはなりたくないなという良いお手本になっている。
動物の食事

クチャクチャクチャクチャと親父が食事をしている音が聞こえてくる。
僕は思う。
動物の食事と同じだなと。
「ハックション!!!」
親父の大音響のくしゃみが1階から聞こえてくる。
合唱団で鍛えあげられた喉は生活においてはただ不快なものでしかないのだ。
kfm12fm著







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