「結婚は1番好きな人とするより、2番目に好きな人とした方が幸せになれる」
そんな話を聞いたことはありませんか?
私は聞いたことがあります。
もちろん、1番好きな人と一緒になった方が良いと言う人もいるでしょう。
でもそれはどちらが”良い”か”悪い”かではなく、
どちらも正しいのです。
なぜなら、2番目に好きな人と結婚した私は、今幸せなのですから。
第一の出会い
高校3年生のとき、初めて同じクラスになったA君はとても真面目で優しくて、
決して目立つタイプではないけれど、友人にいつも囲まれている、
自分のことは後回しにしてでも周りを笑顔にさせるような人でした。
正直、クラスが一緒になるまで存在自体を知らなくて、
こんな菩薩みたいな人がいたんだと衝撃を受けたことを今でも覚えています。
そんなA君とは、席が近くなったことや、通学中に駅で会ったりするうちに会話が増え、
自然な流れで付き合いが始まりました。

明るい世界
同じクラスになるまで、なぜお互いのことを知らなかったんだと
自分を責めたくなる程に、A君とは話しがよく合いました。
食べ物の好みも、好きな映画や本の好みも同じで、
一緒にいるのが心地よく、もっと早く出会いたかったと思うくらいです。
喧嘩もほとんどしたことはありません。
私はA君ほどできた人間ではないので、小さなことですぐに機嫌を損ねたりするのですが、
A君は怒らず、ただただ私の機嫌が納まるのを待ってくれるので、
喧嘩に発展することがありませんでした。
連絡を取り合うタイミングも似ており、電話やメールが一緒になることもよくありました。
自分を飾らず、素の自分でいられ、リラックスして付き合える関係で、
高校卒業後、大学が離れても関係は続き
“きっと私たちは将来結婚する”
そう信じて疑わないくらいの絶対的な自信がありました。

突然の暗闇
大学2年生の夏休み、インドネシアへ約3週間の短期ボランティアにいくことになったA君。
真面目で優しく、周りを気遣うことができる彼にはぴったりな経験だと思い、
心から応援していました。
A君がボランティアに行っている間、
私は友人との遊びやバイトに明け暮れて時間を過ごしたのです。
彼が帰ってきたときに、離れていた間の楽しかったことをたくさん話せるように。
そして、彼の話しもたくさん聞けるように。
けれど、A君と二度と言葉を交わすことはありませんでした。
彼は日本に帰国し、空港から自宅へ帰る途中のタクシーで事故に遭い、
帰らぬ人となってしまったのです。

止まった時間
A君を失ってから、私は涙が枯れるくらい泣きました。
涙が出なくなっても 声が出なくなっても 心が疲れ果てても
泣き続けることしか出来ませんでした。
私がようやく普通の生活を送れるようになったのは大学3年生になってから。
大学2年生の後期はほとんど学校に行けていなかったものの、
友人たちのおかげで授業の出席点や試験をクリアすることができました。
友人たちには本当に心から感謝しています。
第二の出会い
大学を卒業した私は、地元の銀行に入行しました。
A君がいなくなってからは、一度も他の人とお付き合いしていませんでしたが
社会人3年目の春を迎えたころ、
別の部署から異動してきたBさんと親しくなりました。
Bさんは5歳上の先輩で、温和な性格がA君と少し似ていました。
好きな食べ物や、好みの映画や本はお互い違いましたが、
それを否定するのではなく、お互いの好きなものを互いに理解し、受け入れあう。
相手の好きなものも好きになれるよう努力できる、そんな関係です。
A君のことがずっと忘れられずにいた私ですが、
Bさんはそれを受け入れ、ずっと隣で寄り添ってくれました。
それが今の主人です。

動き出した時計
結婚して今年で10年目を迎えます。
娘にも恵まれ、とても幸せな毎日を送っています。
けれど、ふとした瞬間に考えることがあるのです。
それはとても大好きだったA君のこと。
今でも大好きなままです。
でもそれは、恋人としての1番でした。
結婚するまでの主人のことは、A君を忘れられないこともあり
1番ではありませんでした。
申し訳ない気持ちもありましたが、彼はそれを理解し一緒になってくれました。
しかし家族になった今、気持ちに変化があったのです。
恋人としての“好き”が、家族としての“好き”に変わったのです。
そしてもちろんそれは紛れもなく1番。
私は“1番好きな恋人”と結ばれることはなく、
“2番目に好きな恋人”と結婚しましたが、
今ではそれが家族としての1番に変わり、とても幸せに暮らしています。
Nwqduk著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
Necomakiさん
2記事目の投稿をして頂きまして有難う御座います。
それでは検収をさせて頂きます。
今回の作品は学生時代に愛した男性と結婚する事が出来なかった彼女!哀しみの歳月の後職場で出会った今の主人と結ばれたお話です。
読者には胸が熱くなった方が多くいらっしゃったでしょう。
学生時代に経験なさった恋人との別れは彼女に大きな変化を与えました。
しかし彼女は与える喜びを通して克服していきます。
新しい男性が社会人となった彼女に、幾らか物足りないのかも知れませんが喜びを見いだしたのです。
癒えることの無い想いは、彼女を成長させてくれました。
流れるような文章で読みやすく良い作品に成っています。
有難うございます。
それでは今回の検収はこれにて完了と致します。
次回の投稿記事も楽しみにお待ち致します。
井上保夫