
【バイト先の先輩】
高校2年、17歳の夏、僕は母親の知人の紹介で居酒屋にバイトに行くことになりました。
バイト自体は中学を卒業したと同時に近くの鮮魚店で約1年お世話になっていましたが、当時付き合っていた彼女との時間を優先したいというなんとも自分勝手な理由でさっさと辞めてしまっていました。
ですがそんな彼女とも長くは続かず、他に好きな人ができてしまったので別れてほしいと言われ、あっけなく破局を迎えることになってしまったのです。
そのためまたバイト先を探していたところ、いい紹介話しが舞い込んでくる形となったのです。
家が母子家庭ということもあり、自分のこづかいくらいは自分で働いて稼ごうという思いが中学生の頃からあったのを今でも覚えています。
そして高校卒業後は自分はプロボクサーを目指して上京しようと考えていたので、高校3年間で少しでもお金を稼いで資金を貯めておこうと思ったのです。
もちろん母親が僕に車を買ってくれるような余裕はないので、自分の自動車学校代と車代も自分で稼ぐしかなかったということもあります。
今思えばそこの居酒屋もよく高校生を採用してくれたものだと思いますが、オーナー兼店長がまだ26歳だったということと、店自体がオープンしたばかりで人手が足りず猫の手も借りたいという状態だったことが幸いした結果だったのです。
バイト先には自分より年上の男女の先輩が数人いて、高校生の自分には毎日が刺激的でした。
年齢差で言うと3つ4つくらいしか変わらないのに、当時の僕は車に乗って出勤してくる先輩たちを見るとすごく大人びて見えていたのです。
そんな先輩たちの中に2つ年上の女の先輩がいて僕によく話しかけてくれていましたが、その先輩には彼氏がいて恋愛の対象とは自分でも見ていませんでした。
店が閉店したあとみんなでカラオケに行ったり別の居酒屋に飲みに行ったりしていたときもバイト先の先輩として見ていました。

【恋愛感情】
居酒屋のバイトにも慣れてきたある秋の日、その2つ年上の女の先輩から「一緒に買い物に付いてきてほしい」と言われ僕は特に何も考えずにその先輩の車で一緒に付いていくことになりました。
特別何かを買いたかったという感じでもなく、ぶらぶらとショッピングモールを見て回るだけでした。
そして帰りも僕の家まで送ってくれて「じゃあまたバイトでね」とだけ言い帰っていったのです。
それからもことあるごとにお誘いがあり、買い物にいったりご飯を食べに行ったりする日が続きましたが、その先輩には彼氏がいることはわかっていたので、仲の良い女の先輩として見るようにしていました。
でも僕の中ではその先輩の存在は日に日に大きくなっていって、確実に恋愛感情へと変わっていっているのが自分でもわかっていました。
その年のクリスマスイブの日にもご飯を食べに行こうと誘われたので彼氏は大丈夫なのかと聞いてみたところ、「彼氏とはすでに別れていて別の男性から言い寄られている」とその先輩は言いました。
その男性から「この後クリスマスを一緒に過ごしたい」と言われているらしく、それなら早くその男の人と合流した方がいいんじゃないかと尋ねたところ、このまま僕と一緒に居たいと彼女はつぶやいたのです。
その言葉を聞いて僕の気持ちはもう止められなくなっていました…。
【懐中時計】
それから何度もデートを重ね、先輩の誕生日が近づいてきたので思い切って泊りで一緒に遊びに行こうと誘ってみました。
その先輩は2つ返事でよろこんでくれたので僕は誕生日を祝う準備にとりかかったのです。
そして告白することを心に決めた瞬間でもありました…。
その頃には僕は無事免許も取れてバイトで貯めたお金で自分の車を持つことができました。
そしてこっそり車のトランクの中にたくさん花束を飾って「誕生日おめでとう!」のメッセージカードを添えて二人で遠出をすることにしました。
夜通し運転をしてなんとかテーマパークに到着したころに、助手席で眠っていた彼女が目を覚ましました。
僕は「トランクの中に荷物があるから取ってきてくれない?」と彼女をトランクへと誘導し、開けるなりたくさんの花束を見て彼女は驚いた様子でした。
「ありがとう、うれしい!」と走って戻ってきた彼女に僕は「はい、プレゼント」と言い、彼女の手に懐中時計を渡しました。
そして懐中時計を開けた彼女は時計を見つめたまま黙ってうつむいたままでした。
そこには一言「俺と付き合ってくれるか」とメッセージを書いておいたのです。
何も言わない彼女を見て僕は「返事は?」と促し、僕の目を見つめて彼女は「私がノーって言うわけないでしょ」と微笑みました。
【悲しい別れじゃないよね】
それから僕たちはバイトの先輩後輩という関係から恋人となり愛を深めていきました。
しかし毎日が楽しく輝いていた日々も、僕がプロボクサーになるという夢を追いかけるためおわりを迎えることとなるのです。
彼女も僕が居酒屋のバイト時代からプロボクサーになるため上京することを知っていたので、その日が来ることを覚悟していたみたいでした。
お互いこのまま二人の距離が遠く離れたまま関係を維持することがむずかしいことはわかっていたのです。
そしてとうとう上京する日が来てしまいました。
僕たちはお互いが貸し借りし合ったCDを返し、二人それぞれが別々の道を歩むことになるけど幸せになろうと話しました。
そして「ありがとう」と言い車を走りだそうとした瞬間、僕は抑えていた感情をこらえきれなくなり、「悲しい別れじゃないよね」と泣きながら言っていました。
歩き出そうとしていた彼女も振り返り、「うん、悲しい別れじゃないよ。今まで本当にありがとう」と言い二人はそれぞれの道を歩き出しました。

【エピローグ】
もう25年も前のお話しですが、とても切ない気持ちになりました。
別れたあとすぐに一人暮らしが始まって、精神的にかなり辛かったのを今でも覚えています。
自分一人で乗り越えるしかなくて、テーブルと布団と一人暮らし用の小さな冷蔵庫しかない殺風景な部屋で毎晩寝るときに泣いていました。
でも彼女と出会って人を愛する大切さを教えてもらったような気がします。
そして心から感謝の気持ちでいっぱいです。
Yoaso54著











コメント
コメント一覧 (2件)
pr
YUW4_Tさん
新年おめでとうございます。
今年もどうぞ宜しくお願い致します。
YUW4_Tさんに置かれましては更なる飛躍の年となって頂きたいと思います。
それでは早速初めての記事を検収をさせて頂きます。
今回の作品は、高校2年の男子学生が居酒屋でアルバイトをしながら恋を支えに夢に向かって進む溌剌とした姿を描いて頂きました。
バイト先で2歳年上の彼女は先輩であり彼によく話しかけてくれる有り難い存在です。
そして彼の中では彼女の存在は日に日に大きくなって、恋愛感情をも抱くようになります。
2人は何時しかデートを重ねる関係となり、彼女の誕生日にサプライズで彼は告白します。
出会いから瞬く間に恋人となり愛を深めていきました。
しかし毎日が楽しく輝いていた日々も、彼がプロボクサーになるという夢を追いかけるためにおわりを迎える時が来ます。
彼が「ありがとう」と言った別れの瞬間抑えていた感情をこらえきれなくなり、「悲しい別れじゃないよね」と泣きながら彼女に叫びます。
彼女は振り返り、「うん、悲しい別れじゃないよ。今まで本当にありがとう」と言って二人はそれぞれの道を歩き出します。
心を打つ瑞々しい作品です。
彼女と出会って人を愛する大切さを教えてもらった彼の人としての成長を見ることが出来る内容です。
良い作品をありがとうございます。
それでは、各項目での確認作業をさせて頂きます。
1 読者が興味を引くタイトルを選びましょう
→「んっ?」と気にならせるタイトルがベストです。できる限り、結論を言ってしまうのはやめましょう。結論を知ったら、読者はタイトルだけで読むのをやめちゃうので、せっかく頑張って書いた本文が読まれなくなってしまいます。
2 タイトルに必ずキーワードを入れましょう
→キーワードを、左から16文字以内に必ず入れましょう’。
この時、できるだけ順番が前後しないように注意します。
今回のタイトルも工夫してみましょう!
キーワードが「彼女は先輩 告白 夢」なら、
例:「2歳年上の先輩だった彼女にサプライズの告白!僕は夢に向かって突き進む..」
ここからは記事の画像と導入文の要約を確認致します。
初めに、
・タイトル直下に1枚目の画像を挿入します。
このとき、以下のポイントを守った画像を入れましょう。
• 画像を見ただけで記事の内容が想像できるものを使いましょう。(例:スケートの記事→ス ケート靴や、スケートをしている人の画像など)
• 横長で!縦長はNGです
• 画質があまりにも荒いのはNGです
※画像はフリー素材を使うのですが、最後に使えるサイトのリンク集を載せておきました。
次に、
・どんな記事をこれから書くのか?
・どんな悩みをもった人に読んで欲しいか?
・この記事を読んだら読者にプラスとなるのか?
を書けばOKです。
要するに、この記事を読んだら何か得るものが有りそうな気がする!と思わせることです。
それにより、「あ、それなら読んでみるか」という気持ちにさせることができます。
3 上手な記事を書くためのたった6つのルール
(1)主観の文章でOKです
→主観、感情、自分が思った事、意見、自分理論などなどを、自己中心的に、遠慮せず、ぶっ ちゃけて正直にかくと面白い記事になります。 論文や研究レポートではなく、あくまで体験談なので、客観性はいりません!!個人の「生の」 リアルな意見を書きましょう!
(2)自分は何者なのか?を導入文にいれましょう
→自分が記事の内容について、どんな経験があるか?を導入文に入れると、この人の記事は信頼 できる!と思われるので記事が読まれやすくなります。読者は「あんた誰?」という状態では読ん でくれないので、「私ってこんな人だから、この記事かいてるんだよー」と、自己紹介を。
(3)本文には「◯◯によって私はこう変わった!!という自分の変化のストーリーを書けると面白くなります
(4)喜怒哀楽
→ストーリーを書くときに、自分の感情を積極的に表現していきましょう。
例:嬉しかった、うざかった、楽しかった、面白かった、最悪、怒った、むかついた、泣いた、 悔しかった
(5)五感
→ストーリーを書くときに、五感=目、鼻、耳、舌、感触(どんなものを見たか、どんな臭いが したか、どんな音が聞こえたか、どんな味がしたか、触った感触はどうか)を入れると臨場感が でて、読者があなたの体験をイメージしやすくなります。
(6)比喩
→芸人のように、比喩・たとえを使うと、言いたいことを的確に伝えることができます。
例:「当時の私はガラスのようなハートの持ち主だったので、とても傷つきやすかったのです」
例:「私の高校の先生は、まさに仏のような先生でした」
4 画像について
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記事のタイトル下の画像は必須です。また、各見出しごとに1つずつあるとベストです。
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特に1枚目(タイトル下)の画像はとても重要です。
1枚目の画像は必ず、ひとめみて記事の内容がわかるようなものを選びましょう。
以上を再確認して今後の記事作成の参考として下さい。
それではこれにて検収を完了とさせて頂きます。
次回の投稿記事も楽しみにお待ち致します。
また先日のお問い合わせに頂きました【納品する】ボタンは記事完成のメッセージを下さる時に一緒に押して頂けますとシステムがスムーズに進行致します。
どうぞ宜しくお願い致します。
井上保夫