いつの間にか人前に立つと緊張してしまい顔が赤くなる少年であった。
いわゆる赤面恐怖症で大勢の前でしゃべるとなると汗が噴き出て体が震え涙が出てきてしまうぐらいのひどさだった。

そんな状態であったので中学・高校は女子に対してまともにしゃべる事もできず、女の子から話しかけられたらその子が好きになり、また違う子に話しかけられたらその子が好きになりと勝手に好きになり何もせず妄想で終わっていってました。
人と付き合うという事がどういう事か全くわかっていませんでした。
いわゆるコミュ症でした。
高校を選択する時も親に勧められるまま、自分がやりたいわけでは無い調理の学校を選択しました。自分の意思(やりたいこと)がありませんでした。
私は高校卒業後、レストランに就職し調理師として働くためにまずはホールスタッフとして働き始めました。
見習いとしてサービスをする事から始めました。社会人1年目で働くことがどうゆう事かもわかってない中がむしゃらになって働きました。

そのころのレストランでは、披露宴を毎月のようにしており人手が足りてないので、そこでサービスするスタッフを確保するためにバイトが定期的に入ってきます。
レストランの経営者の好みなのか女子大生が在籍していました。
そして1年近く経ち仕事にも慣れてきて接客をしている為か、人前に出ても赤面になる事が少なくなっていました。
だからと言って気の利いた会話を女性と話せるわけでは無かったが、少なくとも仕事での会話はできる状態でありました。
そんな中、一緒に働いているバイトの子の友達が紹介で1人入ってきました。

短大生で性格は控えめで背が低くかわいらしく見えました。
最初は特に意識しているわけでは無かったが、お土産をくれたりしていました。
ある日、年上の同僚から「彼女が私の事を好きみたいだよ!」と本人を目の前にして茶化してきた。彼女はなんてことを言うんだこの人はという感じではあったが否定はしませんでした。
クリスマスで忙しい日々を終え、まとまった休暇がとれる年末になろうとしていました。
仕事を終え開放された気分でいると、彼女から「年末に遊びに行かない?」と誘われた。びっくりしたが自分は「いいよ」と承諾し遊びに行くことになりました。
女性と付き合ったこともない私は、自分から提案する事も出来ず彼女の提案で私の地元に行ってみる事になりました。
お互い興味は無かったが地元のモーターボート場で他愛もない話をしました。私は女性と付き合うなんて想像出来なかったので変な感じがしました。

特に告白することもなく、毎週合うようになりました。
彼女は良く喋り、思った事を言わないと気が済まない人でありました。
私は口下手でありリード出来るような気の使い方も出来なくても、彼女からどこ行こう何しようと提案してそれに対して同意するだけでした。レストランで注文する時でさえも彼女まかせでした。
その時の私は、恥ずかしいから店員さんを読んで注文することも出来ませんでした。変なプライドもあったので、そのプライドを守るのに必死でした。
そんなことがあるたびに彼女は「なんで店員さん呼べないの」と聞かれ、変なプライドがあるので理由ともとれない理由ばかりを言っていました。

仕事の休みは週1日だけという事で、1週間のうちで自由になる時間がありませんでした。付き合うのに毎週合うのがしんどくなってきました。
彼女の家まで1時間かかるのと寮から仕事に通っていた為、車を取りに自宅まで1時間掛けなければいけなかったからです。
そして「なんで?」と聞いてきて納得するまで繰り返される。今週は疲れているから会えないと言っても「なんで?」それが繰り返され私はうんざりしてきていました。
そのうち、もう嫌になって別れたいと話をするようになりました。

しかしここでも彼女は「なんで?」と繰り返し聞いてきました。
私は「なんで・なんで・なんでばっかり、いい加減にしてくれ」とキレて、そこで別れ話になるのですが、最後にはどうして喧嘩したんだろうねと言い合い仲直りする事を何度も繰り返すことが続いていました。
自分の思ってることをお互いが吐き出して言い合えた事が良かったんだと思います。
そんな関係が10年続きました。
お互い腐れ縁のような付き合いになっていましたが、私から「結婚してください」と告白し結婚することになりました。

今、人前で話す事・主張する事・意見する事に対して抵抗が無いどころか言わずにいれなくなったのは、彼女の「なんで?」のおかげだと思っています。
mowfal著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
mic0801さん
初めての投稿をして頂きまして有難う御座います。
それでは検収をさせて頂きます。
今回の作品は、高校を卒業するまでコミュ症と自覚していた彼が調理師として社会生活をしながら成長していく姿を記事にして頂きました。
赤面恐怖症で大勢の前でしゃべるとなると汗が噴き出て体が震え涙が出てきてしまうぐらいのひどさだった少年。
高校を卒業して調理師となった彼は職場で知り合った彼女から多くの恋愛を学んでいきます。
社会生活を誠実に営むなかで彼の臆する気持ちは改善されていきます。
少年から青年となっていく過程を見事に表現して頂きました。
彼女の彼に対する思いやりと愛する気持ちも上手く表されています。
とても良い作品です。
読者が読みたいと思う作品です。
作品作りにおいて文章を多く作成して行く中で更に読み易い記事になっていくでしょう。
でも、巧みに文章を作ることよりもこの様な読者に感動を与えられる気持ちを持ち続けて頂きたいと思います。
有難う御座います。
今回の検収はこれにて完了と致します。
次回も心のこもった作品を楽しみにお待ちしております。
井上保夫