元恋人の結婚式

先日、私は結婚式に呼ばれました。新婦は元恋人、新郎は親友の結婚式です。
招待状が届いたことには少し驚きましたが、仕事の関係でしばらく地元の仲間や親友とも会っていなかったため、顔を出すいい機会だと思い出席に丸をしました。
当日、愛の誓いやら余興を見ていると私は祝福する反面、少し複雑な気分になったため披露宴が終わると適当な言い訳をつけて早めに切り上げさせてもらいました。
実家に帰る途中、親友には悪いと思いつつ彼女との思い出が走馬灯のように蘇ってきて、彼女のウェディングドレス姿が綺麗だったからか、さらに何とも言えない気持ちが増しました。
あのとき、ああしていればどうなっていただろうか?なんて考えてしまいまして、ため息しか出てこなかったのです。
出会い

彼女との出会いは私の勤めている会社に派遣として同じ部所に入ったことがきっかけでした。入社した当初から勤務態度も良く笑顔が似合う可愛らしい人でした。
彼女とは会話をしていくうちに新たな発見がありました。彼女には思いのほか茶目っ気があったり、右ほほだけにえくぼがあったり。知れば知るほど彼女に惹かれていく自分がいました。
ある日私は意を決して電話で遊びと称してデートに誘ってみました。
私「もしもし、○○さん?△△だけど。今週の日曜日空いている?もしよかったら水族館にでもいかない?」
彼女「いいですね!水族館!もちろん行きます!」
私「よかった!じゃあ駅前に9時ごろ集合で!」
彼女「わかりました~♪楽しみです!」
電話を終えたときは、嬉しすぎてにやにやとした表情が止められませんでした。
水族館にて

そしてついに日曜日がやってきました。
私は張り切って髪を整え、服装も一張羅のジャケットを羽織って万全の態勢でのぞみました。
そして待ち合わせの時間の5分前、彼女が到着しました。私服の彼女はいつもより心なしか可愛らしかったです。
彼女「早いですね!待ちましたか?」
私「いえいえ、今来たばかりだよ。じゃあ、行こうか!」
嘘です。本当は待ち遠しくて30分以上前には来ていました。
水族館に到着し、そして薄暗い館内へと足を踏み入れると空気は冷たくて独特の匂いが鼻につきました。私には少し苦手な匂いです。彼女はというとそんなことを気にも留めていない様子でパンフレットを嬉々として読んでいました。
「まず、どこに行きます?あ!あと30分でイルカのショーが始まりますよ!行きませんか?」
彼女がキラキラと目を輝かせるものだから服が汚れるのは嫌なんて言えるわけもなく…。
「ああ、いいよ。」
案の定、会場で早めに席を取った甲斐があってか最前列に座ることができてしまいました。ショーの内容は非常に楽しいものでした。それにはしゃぐ彼女もまた愛らしいものでした。飼育員さんが渡してくれたビニールの水よけもむなしく見事に濡れてしまったのです。
「△△さんびしょびしょじゃないですか!よかったら、これで拭いてください」
そういうと彼女が自分の鞄からタオルを取り出して私に渡してくれました。
「ありがとう、洗って返すよ。」
わしゃわしゃと拭いて髪型が崩れてしまったのですが、気遣ってもらえたという嬉しい気持ちの方が勝っていました。
彼女「では、次はアシカショー…」
私「いや、今、ここでクラゲのイベントやっているから、こっちいこうよ。」
そういってクラゲ水槽の方へと歩みを進めていきました。
クラゲ水槽のコーナーに着くと水クラゲの群れの水槽の前で私は立ち止まりました。
「○○さん、話があるんだけど、聞いてくれない?」
「はい、なんでしょうか?」
「○○さんのことが好きです。僕と付き合って下さい。」
彼女の目をちゃんと見て言いました。すると彼女はにっこり笑って、私も好きですと一言いってくれました。2人の交際は始まりました。
突然の辞令

付き合い始めて3カ月後、それは突然やってきました。
私に突然、今住んでいる町からかなり遠い場所への辞令が下りました。
彼女にそれを伝えると遠距離恋愛はできないとのこと。私たちはあっさりとこの関係に終止符を打ちました。
しかし、想いはなかなか断ち切ることはできませんでした。それは彼女も同じだったようです。
あの町を出る当日、空港へ向かうバスへ乗りました。バスが走りだす瞬間のことでした。バス停より少し離れた場所で逆方向に向かって走っている彼女の姿がありましたが、こちらを見た瞬間ふと目が合って、彼女は足を止めました。私はすぐに自分を見送りに来たのだと察しました。しかし、彼女はあきらめたように元来た道へと戻っていきました。
今思えばあの時、次のバス停ですぐ降りて彼女に会いに行けばよかったと、少し後悔してしまいます。
y108著









コメント
コメント一覧 (1件)
pr