まさかの展開!後輩の思いやりで素敵な彼女と出会ってしまった

後輩からの誘い

 

それはある年の年末のこと。
私は後輩から忘年会参加の誘いを受けた。参加するメンバーを確認したところ平均年齢が私より少し若くて気が引けたが後輩からの強い誘いもあり出席することにした。

また、メンバーの中に以前から気になっていた後輩の部署の新人が入っていたのでこれを機に親交を深めたい、とちょっとした下心もあった。

暗雲

多少の面倒くささと期待を持ちながら忘年会当日を迎えた。

ところが朝メールを開くと何と、誘ってきた後輩が急病で忘年会に出席できなくなったと言う。正直言ってこれには困った。他の参加者とはほとんど面識がない。当日に後輩に仲立ちしてもらい、これを機に若者と親睦を深めていこうと考えていたからだ。こんなことになるなら参加したがっていた同期も後輩に言ってねじ込んでおくべきだった。後悔先立たず。こんな暗澹たる思いで1日の仕事を終えて時間通り忘年会の会場へ出向いた。

トラブル

しかし、私の心配は取り越し苦労に終わる。会が始まると後輩が手を回しておいたらしく何と気になる新人が他の参加者との間を取り持ってくれ自分が孤立しない様、色々と気を遣って話しかけてくれるのだ。

私の中で彼女への好感度が益々アップした。忘年会も盛り上がり楽しい。
しかしながら、宴もたけなわになってくると若者のノリにだんだんついていけなくなり、一息つこうと部屋の隅でタバコに火をつけた。ちょっとした開放感からタバコを指に挟んだまま伸びをした時、ジュっ、という音と共に何かが焦げる匂いがした。慌てて後ろを振り向くとハンガーから釣り下がっているコートに見事な焦げ穴が空いている。

焦った。やってしまった。動揺を隠しながら、盛り上がっている若者達に声をかける、「申し訳ない、このコートだれのですか。」すると空いてしまった穴を見ながら気になる新人が言う。「私のです。」私の中で更に動揺が広がる。

確か、先程彼女、タバコはあまり好きではないと言っていなかったか。頭が真っ白になった。その場は兎に角ひたすら謝り、弁償させてもらおうとした。しかし、「彼女はいいですよ、気にしないで下さい」と言うばかり。言葉と雰囲気は柔らかいが正に取りつく島もない状況だ。この件で、忘年会も白けてしまい、直ぐにお開きとなった。その日はこれ以上どうしようもなく、深い後悔と共に帰宅した。

事の真相

翌日、出社すると直ぐにコート代を入れた封筒を手に彼女の部署に出向き、改めてお詫びをした。そこでも彼女は「いいですよ、気にしないで下さい」と繰り返し、封筒も全く受け取ろうとしない。言葉の通り受け取っても良いのだろうか。困惑する。これ以上仕事の邪魔をするのもマズいので改めてお詫びをしてその場は引き上げた。

それでも、気になった私は本人からではなく第三者から確認すれば真意が聞き出せるかもしれないと思い、今回の誘ってくれた後輩から彼女へそれとなく様子を聞いてもらった。すると、人が大勢いるあの場でタバコを吸った事については怒っていたが穴を空けてしまったことについては不注意による事故なのでそれほど気にしていないと言っている、とのこと。むしろ、あまりの動揺ぶりと気の遣いにかえって恐縮してしまっていると言う。後輩は彼女が気にしないと言うのであればあまり気にしすぎないほうが良いと言う。更に、そもそも今回の忘年会で私に声をかけたのは彼女からのリクエストがあったからだと言う。ここで私は気づいた。何かがおかしい。なぜ彼女が私のことを知っているのだ。はじめから経緯を後輩に確認した方が良さそうだ。すると、どうやらこの後輩、日頃から私のことを彼女とよく話しており、彼女が私に興味をもち機会があったら直接話がしてみたい、と言う事になっていた様である。特に私のおやじギャク好きが彼女のツボにはまったらしい。忘年会は私が彼女の思っていた通りの人柄でおやじギャクも想像以上に冴えていたので、穴あき事件はあったものの非常に楽しかったと言っていると言う。だからこそ、あまりにも気を遣わせてしまい申し訳ないと思っているのだと言う。なるほど、やっと事情を理解した。

出会い方は様々

しかしながら、コートに穴をあけた事実は変わらない。また、私の申し訳ない気持ちも変わらない。そこで代わりのコートを一緒に買いに行くことをお願いしてみることにした。すると代替品を私が買う事には依然難色を示しているが買い物に行く事自体は了解して貰えた。

こうして迎えた買い物の当日、お詫びの気持ちで臨んだ今日だが彼女と過ごす時間はやはり楽しい。あっという間に1日が過ぎた。
帰り際、彼女に言われた。また今度買い物に付き合って下さい。勿論だ。こちらからお願いしたいくらいだ。

T107著

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