40代女性の初恋と21歳の男の子

これは私がある会社で働いていた時に出会った男女の恋のお話です。

私が30代になったばかりの頃、チームメイトの40代女性がダイエットを始めました。

色白で肌もきめ細かく、清潔感のある優しい人でしたが
人生で一度も痩せたことがないそうで「いっちょ痩せてみるわ」と一念発起したそうです。

それから食事制限はもちろん、筋トレ、ヨガ、骨盤矯正など
あらゆるダイエットをストイックに続けて、1年ほどでマイナス20キロの減量に成功!

すっきり美しくなり、女優の檀れいさんの様な雰囲気ある美人さんになられたのです。

ある日、その先輩と一緒にお昼休憩を取る機会がありましたので、
興味津々で“一番効果的なダイエット”について聞いたところ
先輩は「それは恋である」と答えました。

おおお、恋…!

興奮を抑えながら相手が誰かと尋ねたところ
相手は骨盤矯正のために通っている整骨院で出会った21歳の青年とのことでした。

先輩はその青年のことを「かわいい男の子」だと言って
たくさんのエピソードを聞かせてくれました。

・予約の電話を入れたらいつも嬉しそうにしてくれる
・実際に接骨院に行ったら優しくしてくれる
・施術が終わって帰る時に手を振ってくれる

この辺で、聞いていた私は「あれこれ大丈夫かな」と思いました。
先輩は明らかに、人生で初めて痩せて、美しくなられて
中学生のように舞い上がっておられるぞと。


先輩はその時43歳。
恋に年齢は関係ないと言いますが、21歳の青年に恋愛感情を持ったとしても
それを他人に積極的に話すことはあまり無いように思います。

でも先輩は、実はずっと自分の体形にコンプレックスがあって、
今まで恋愛したいという気持ちが押し込められていたのかもしれません。
もしこれが初恋なら、誰かに言わずにはいられないでしょう。知らんけど。

そんなわけで余計なことは言わず「いい出会いが会ったんですね~、羨ましいです♪」とか
適当なことを言ってお昼休憩は終わりました。

それ以降、私は先輩に『ちょうど良い相づち女』として選ばれてしまったようで
毎日のように“かわいい男の子”と先輩のエピソードを聞かされることになりました。

その内容はいつも中学生レベルで、
予約の電話で少し雑談した、施術中に目が合った、
お互い接骨院の近くに住んでいて運命を感じた、etc.…
全部どうでもいいな、まあ先輩が楽しそうだからいいか。

しかしある日、先輩が思いつめた表情で打ち明けてくれました。
「来週の夜、彼がうちのアパートに来るんだよね」と。

エーいきなり?なんか途中の報告抜けてない?
多少パニックになりながら、どう返答するべきか悩みました。

そもそも私はこの二人を恋人関係とは思っておらず、
若い子を見てキャーキャー言ってる40代のお客さんと
女慣れした21歳の施術スタッフくらいに考えていました。

「先輩、それはいったどういう経緯で…」と恐る恐る尋ねたところ、
先輩が最近買い替えた食卓テーブルを自慢したところ
青年がそれをアパートまで見にくることになったそうです。

なるほど分からん。でも恋ってそういうものなのかも、知らんけど。

そこで私は己の相づち女のポジションに戻りまして
「わあ、そんなことあるんですね~、いいですね♪」と答えました。

その後、先輩はこちらが心配になるほど盛り上がって
若い青年のために味付けの濃いレシピを探して練習したり、
カーテンを新調したり、焼き肉の準備をしたり、
もちろん話題のテーブルも毎日磨いて、その日に備えておられました。

そうして約束の日の翌日を、守備はどうだったのか、
どのくらいまで立ち入って聞いていいのか
手探りのまま迎えたのですが、先輩は体調不良でお休みされていました。

先輩が次に出社したのは2日後、さばさばした様子で現れた彼女は
私にこう言いました。

「彼、来なかったんだよね」

なんと、青年はいつも通りのセールストークをしていただけで
もともと来るつもりなどなかったのです。

そんなバカな…。そんな勘違いすることあります?

青年の言い方が思わせぶりすぎたのか、それとも先輩の経験値が足りなさ過ぎたのか
ただ聞いていただけの私にとってもこの日のことは苦い思い出となりました。

その後、煮詰まった先輩は、仕事終わりの青年の後をつけて住まいを突き止め、
彼が35歳の女性と同棲していることを確認、
「35歳がいけるなら43歳の私でもいける」と暴走、
正真正銘のカップルである二人の住まいに突撃、
最終的に接骨院の院長から出禁を食らってご近所から多少ヒソヒソされたようです。

そんな不毛な時間が半年ほど過ぎた頃でしょうか、
先輩は憑き物が落ちたようにすっきりした顔で
お知り合いから紹介された自分より年上の男性と婚約されました。

先輩の美しさは本物で、青年のことを「43歳の若気の至りだった」と笑いとばす姿は
初恋を乗り越えて大人の女性になった魅力に満ち溢れていました。

y547著

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