驚きはここから始まった!・・・あの先輩が結婚するらしい

社会人として就職してから数年が経過した頃。
当時お世話になっていた職場の先輩が結婚するらしいと同期の口から告げられたのは、
社員食堂の人気の日替わり定食の鶏肉の唐揚げを食べようとしていた時だった。
は?先輩が結婚だと・・・?
この先輩というのは、私が入社したての頃に社会人の極意を色々と教えてくれた人であり、
レモンサワーとフレンチブルドックとホラー映画が大好きな姉御肌な先輩だった。
書類の締め切りが迫って焦っていた私に、
「焦ったら間違えるから落ち着いて作業しなさい!
遅れることを先にメールしておけば相手も理解してくれるから!」
とアドバイスしてくれたり、仕事で失敗した時なんかは、
「ほら!飲みに行くよ!」
って肩を抱かれて居酒屋に連れてってくれる人だった。
先輩の心を射止めたのは誰だ?心が揺れる私と同期達

話を聞いて唐揚げを落とした私も、
結婚する事実を教えてくれた同期もここで一つの疑問が生まれた。
私の研修を担当してくれたあの時から現在に至るまで、
先輩にお付き合いしてる相手がいると知っている人間が一人もいなかったのだ。
報告を一番最初に受けた課長ですら驚いたらしい。
「会社の同期とか?」
「ほとんど女性と既婚者じゃなかった?」
「取引先の相手とか?」
「お見合い・・・とか?」
「いや、それなら合コンとか街コンとかの方が・・・」
私を含め、先輩にお世話になった人間が社員食堂で思いを巡らせていた。
先輩には飲みにも連れて行ってもらったし、
休日にも一緒に遊びにいったりもするくらい仲が良いのに。
誰一人として先輩が結婚する相手の予想が出来なかったのだ。
誰か知ってる人は?

頭を抱えていると後ろから声をかけられた。
「何してんの?」
後ろから声をかけてくれたのは、先輩の同期である人事の方だった。
私たちは「チャンスだ!」とその先輩を席に座らせて、今までの流れを説明した。
人事の先輩も「ああ・・・」って感じで聞いていた。
間違いない、この人は先輩の結婚相手を知っている。
知りたかった真実が知られる期待半分、
私たちにも教えてくれない相手とはどんな人なんだろうという不安半分だった。
すごくお世話になった先輩だ。
結婚願望どころか恋人がいることすら知らなかったのだ。
本当にその人の事が好きでゴールインできたなら私たちは祝福できるし、
何も言うことはない。
けど、もしそうではなければ?
仕事の熱意があった人なので、結婚を機に仕事を辞めてしまっていいのだろうか?
もし本人が結婚を望んでいなかったら?
私の気持ちを察した人事の先輩が、私に言ったことは中々に衝撃的な一言だった。
憧れの先輩が結婚相手に選んだ人は・・・?まさかのあの人

「大丈夫よ。全員会ったことある人だから」
その一言と共に、先輩は仕事に戻っていった。
し、知ってる人だと・・・!?
私たちは、先輩が研修についてくれていたという共通点だけで、
配属された部署はバラバラだった。
それでも全員が知っているとは一体・・・
ますます不安になったけど、
昼休みも終わりに近づいていたこともあり、
明日先輩の口から直接聞こうという事になり、お開きとなった。
誰も予想しなかった先輩のお相手とは!?

「私ごとですが、結婚することになりました」
ニコニコと報告する先輩。
周りの人達は祝福の言葉と共に拍手をしていた。
私は複雑な気持ちだったけど、先輩の笑顔を見てると本当に幸せそうなのが伝わってきたので、結婚する事には全然苦ではなさそうだったので安心した。
そこで私が、
「おめでとうございます先輩!あの、お相手はどんな方なんですか…?」
と聞いてみた。
すると…
「あれ?言ってなかったっけ?」
ウチのコピー機の点検に来てくれてた人なんだけど…覚えてない?
な、なんですと!!?
私達は動揺を隠せなかった。
予想外の人物だった。
先輩の結婚相手は、取引先の相手でも合コンで知り合った人でもなく、1.2ヶ月に1回会社のコピー機の点検に来てくれる業者の方だった。
いや、そこですか先輩!?
先輩は照れながら、
「いや、だって言ったら気まずいじゃん?それに彼、普段は普通のサラリーマンなんだけど副業でこの仕事やってる人だからさ?」
何でも、普通のサラリーマンなのだが、貯蓄を少しでも増やすために、数年前からコピー機の点検のアルバイトをしているのだとか。
会社は副業禁止なので、こっそりやっているらしく、先輩も相手の会社に悟られないように付き合っていたんだとか。
モヤモヤはすっきりしたけれども、まさかの相手に驚きを隠せない私達。
そんな私達を見た先輩が、
「まぁ、あれだよ!いいなと思ったら自分の立場関係なくグッといきな!」
と親指を立てて、いつものように笑うのだった。
YUKI 著









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