心ゆるせる友

私が25歳の頃のことだ。
当時私は都内でOLをしていた。
大学を卒業して3年ほどたち、周りにはぼちぼち結婚をしていく友達が出てきていた。
仕事が忙しく、職場以外に出会いのなかった私は、数年来彼氏のいない状態が続いていた。
私の部署には同期入社のチカがいた。
彼女は関西の出身だったが、転勤で関東に住んでいる両親のもとで暮らしていた。
そのため彼女には、学生時代の友達というものが近くにいなかった。
育った環境が全く違うため、初めはぶつかり合うこともあった私達だが、毎日一緒に働いて苦労を共にしているうちに、お互いの考えていることが理解できるようになり、いつの間にか親友になっていた。
私が仕事で悩んでいた時も、チカはさりげなく慰めてくれたり、私にとってはかけがえのない友だった。
入社してから数年が経ち。年齢的にもそろそろ周りが結婚し始める、いわゆる結婚適齢期になっていた。
仕事は忙しかったが、それ程仕事にこだわりを持っていなかった私たちは、周りの結婚ブームに乗れないのではないかという焦りがあった。
お見合いパーティー

当時、流行っていたのが“お見合いパーティー”だった。
今でいうなら婚活パーティーだろうか?
部署の先輩の何人かがそんなパーティーに参加していて、話は聞いたことがあった。
初めのうちは他人事だったが、結婚に対する焦りと、先輩がそれで結婚が決まったりしていたこともあり、一度参加してみようということになった。
バブルはすでに弾けていたが、当時はまだバブルの名残があり、結婚相手に「3高」を求める女子がまだまだいた。
「3高」とは、「高身長」「高学歴」「高収入」のことだ。
チカはとくに「3高」のうち「高学歴」志向が強かった。
チカの名誉のため言っておくと、それは別に高望みをしているとか、お高くとまっているという嫌みな感じではなく、彼女の父親やお兄さんが高学歴であったため、それが彼女には当たり前だっただけだ。
そこで私たちは、高学歴の男性が集まる婚活パーティーを選んで、参加してみた。
私は一度のパーティーで相手が見つかるとは思っていなかったし、それ程焦ってもいなかったのだが、チカは本気だった。
パーティーでは、私もチカもそれぞれ1人の男性から告白された。
正直私はタイプではなかったので断ったが、チカはその男性と、再開する約束をした。
その男性は、チカの家族と同じ、大阪大学の出身で、有名銀行に勤める銀行マンだった。
いわゆる「高学歴」「高収入」だった。
ただし、どう見ても「高身長」ではなかったが、チカはあまり外見を気にしないタイプのようだった。
チカはその人の第一印象について、「まあまあかな?」という程度だったのだが、彼の出身が関西だったこともあり話があったようだ。
何度かデートをするうちに、打ち解け、本気で付きあうようになっていた。
婚活成就

私は本心から彼女を応援した。
当時、彼女は私にとってかけがえのない友だった。
仕事の忙しさで精神的に弱っていた私を、彼女は本気で心配してくれて、励ましてくれていた。
そんな彼女の幸を、私は祈らずにはいられなかった。
彼女と彼の交際は順調に進み、1年ほどすると正式に結婚が決まった。
そして彼女は結婚を機に、会社を退職することになった。
お見合いパーティで出会った彼は、まさにチカの運命の人だったのだ。
彼女は幸せのオーラを放っていた。
そんな彼女を、私は心から彼女を祝福したし、彼女の幸せを心から祈った。
反面、結婚してしまうことで、彼女が遠くに行ってしまうのがさみしかった。
今まで、仕事がつらくてもお互いに励ましあっていた彼女がいなくなることは、仕事に対する不安につながった。
結局私は、チカが結婚退職をした後しばらくして会社を辞めることになった。
婚活パーティーだって幸せになれる

お互い会社を辞めたが、苦楽を共にしてきた私たちの友情は深かった。
その後も連絡は取りあい、結婚した彼女の家に泊まりに行くこともあった。
私が結婚して子供ができた時にも会いに来てくれた。
婚活パーティーで出会った男性と結婚したチカだったが、彼女の見る目は間違いがなかった。
チカ夫婦は、その後一人息子が生まれ、その子も今年大学を卒業するという。
私もその後であった男性と結婚したが、関東から遠くに住むことになり、子育てが忙しくなったため、チカとは年に1回の年賀状で挨拶をする程度の付き合いになってしまっていた。
しかしつい先日、Instagramでチカだと思われるアカウントを見つけた。
チカは昔からコンピューター系が苦手で、SNSを使うのを極度に嫌っていたのだが、つい最近Instagramのアカウントを作ったのだそうだ。
すぐにフォローリクエストをしたら、すぐにチカからメールが来た。
「始めたばかりで使い方がよくわからないから、明日職場の詳しい人に聞いてから承認するね!」
私は笑ってしまった。
「相変わらずだね!!幸せそうで良かった!」
opeku著









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