昨今、他人の個人情報は至るところから入手することが出来る。
専門の業者だけでなく、一般人の私たちにもそれは可能だ。
特にSNSを利用していると、
自身が気を付けていても情報は周りからでも
簡単に漏れてしまう。
だからこそ、本当に隠したいことは誰にも言ってはいけないのだ。
初めは危険と気付かない
今年28歳になる私は、
大学を卒業してからアパレル業と接客業を経て、
現在は不動産会社の事務として働いている。
特に拘っていたわけではないけれど、
休みは土日ではなく、平日であることが普通の業界で、
今は火曜日と水曜日が休みだ。
就職したての頃は、友人と休みが合わず、良く思っていなかったものの、
慣れてくると平日休みは快適だった。
買い物は週末ほど混んでいないし、
映画館は両隣を空けて座ることだってできる。
旅行も断然平日の方が安くてお得だ。
でもそのせいか、彼氏が出来ても予定が合わずなかなか長続きしなかった。
ここ最近はフリーなので、
そろそろ恋がしたいなと思っていたところだった。
仕事帰りに同僚といつもの店で飲んだ後、
明日は休みなので今夜は2軒目へと場所を移した。
最近新しく出来たバーで、来てみたかったお店だ。
平日の月曜日ということもあり、店内は空いていた。
しばらく飲んでいると、男性一人が近づいて話しかけてきた。
どうやらフリーランスのカメラマンらしい。
先週から仕事で京都へ来ており、
偶然このお店を見つけ、入ってきたとのことだった。

気軽な出会い
カメラマンのAさんは東京に住んでいて、現在30歳の独身。
専門学校を出てからは独学でカメラを学んできたそうだ。
週末にかけて取材が入ることが多いようで、毎週出張にでているとのことだった。
カメラマンの知り合いが身近にいなかった私達は
珍しさから今までどんな写真を撮ってきたのか、
どこに行ったのかなど、たくさんの話を聞かせてもらっていた。
午前1時を回った頃、
そろそろ帰ろうかと席を立ち上がった私たちにAさんがこう尋ねた。
「水曜日もし時間があれば、手伝ってもらいたいことがある」
話を詳しく聞くと、今度友人たちと京都の清水寺あたりで撮影会をするのだという。
しかし、実は清水寺に行ったことがなく、事前に下見をしたいとのことだった。
同僚は彼氏との約束があるため無理だったが、
せっかく話を聞かせてもらったのに断ったら申し訳無いと思い、私一人で受けることにした。

最初で最後
出張で京都へきているAさんとは、最寄り駅で待ち合わせた。
京都の不動産会社に勤めている私からすると、京都市はもはや庭だ。
お店や場所の説明をしながら目的地へと歩く。
どんな情報を伝えても、笑顔で答えながら写真を撮り、
良いリアクションをしてくれるAさんに、私は好印象だった。
無事に下見を終え、解散の時。
もう会うことはないだろうと思いながら、A さんの後ろ姿を見送った。
明日からまた一週間が始まる。

変化の始まり
出勤早々、一緒に店へ行った同僚から京都散策はどうだったかと聞かれたが
特に何も報告することがなく、楽しい京都散策で終わったと告げた。
恋愛に発展しなかったのかと聞きたいようだったが、
私の顔をみて察したらしく、静かに自席に向かっていった。
何事もなく週初めの業務を終え、
自宅につくと、携帯にメールが一件届いていることに気付いた。
それはAさんからで、昨日のお礼と、
いつ撮影されたのかわからない“私の写真”だった。
驚いて写真をみていた私だが、
ずっと見ているとなんだか恥ずかしくなってしまった。
なぜなら、
自分の顔がただの笑顔ではなく、なんとなく“にやけていた”からだ。
その日を境に、Aさんとは毎日メールのやり取りが始まった。
出張が多いと聞いていた週末はほとんど連絡が取れなかったが、
1か月ほど経った頃には平日の夜だけでなく、
短いお昼休憩の間でさえも連絡を取り合うようになっていた。
連日続くやり取りに、
もしかするとこのままうまくいくのではないかと心の中で思い始めていた。
しかし、この日はお昼休憩になってもメールが来ない。
忙しいのだと思い、特に気にすることもなかったが、
その日以降、夜のメールもぱたりと来なくなった。
連絡が取れなくなってから、どうしたものかと考えたが、
メールと電話以外連絡を取るすべがない私は何もできなかった。
しかし同僚に相談すると、とんでもないことがわかったのであった。

気を付けなければいけない
同僚が見つけてきたのは、ある女性のインスタグラムのアカウントだった。
それは鍵がかかっておらず、フォローしなくても見られる有難いもので、
そこには普段の夕食の写真や小さな子どもの写真など、
何気ない日常の風景が投稿されていた。
これは一体何だろうと思っていると、同僚がある投稿を見せてきた。
それは、
“結婚5周年記念!主人と二人きりでディナー”という文言と、
Aさんとのツーショット写真、
二人の手を重ねた写真だった。
なんと、独身だと信じていたAさんは妻子のいる既婚者だったのだ。
すぐには言葉が出てこなかったが、
冷静になって考えると合点がいくことばかりである。
平日は電話ができるが、土日に電話で話したことは一度もない。
仕事が忙しいからだと思っていたが、
それは週末は家族との時間を優先して過ごしていたからではないかと。
そしていま、私と連絡を取り合っていたことが奥さんにばれて、
連絡ができなくなったのではないのかと…。
付き合っていたわけではないので、彼を責めるつもりはないけれど、
このままうまくいくのではないかと少しでも思った自分が恥ずかしい。
だから私はこの日を最後に、Aさんの連絡先を削除し、
もう二度と連絡をとらないと決めた。

元に戻る
それからの私は、Aさんと出会う前の生活に戻った。
変わったことと言えば、SNSの使い方だった。
Aさんの情報を簡単に手に入れられたあの日以降、
自分自身の情報が思わぬところから漏れないよう気を付けている。
この出会いは恋愛に発展しなかったけれど、
個人情報の管理を見直す、良い機会だったと思うようにしているし、
今後出会う人とはアナログな方法で
きちんとお互いのことを知っていきたいと、強く思うようになった。
Naosigha著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
Necomakiさん
5記事目の投稿をして頂きまして有難う御座います。
それでは検収をさせて頂きます。
今回の作品は事務職として勤めている彼女が友人と行った居酒屋で出会った男性との思わぬ展開を記事にして頂きました。
今年28歳になる彼女は、大学を卒業してから接客業を経て、現在は不動産会社の事務として働いている。
そんな彼女は仕事帰りに同僚といつもの店で楽しく過ごしていると見知らぬ男性に声を掛けられる。
しばらく飲んでいると、男性一人が近づいて話しかけられた。
軟派というより何となく一緒に楽しみたいと言う感じでしょうか!
彼はカメラマンを職業として東京に住んでいとのことです。
そして現在30歳の独身と言うことも彼女達には興味を引きます。
何度かお店で会うなかで、「京都の清水寺あたりで撮影会をする」ので彼女の地元を案内して欲しいとのこと。
そんな付き合いが続く中、何時も良いリアクションをしてくれる彼は彼女にとって好印象な存在となっていきます。
彼女は、もしかするとこのままうまくいくのではないかと心の中で思い始めてしまうのです。
そんなある日、同僚がとんでもない情報を見つけてきたのです。
なんと!ある女性のインスタグラムのアカウントに「結婚5周年のお祝い」として奥さんが写真を載せていたのです。
独身だと信じていた彼に妻子のいる既婚者だったことが分かってしまうのです。
それからの彼女は、彼と付き会う事も無く出会う前の生活に戻ってしまいます。
そんな彼女が、SNSなどの簡単に情報が拡散される事に改めて注意が必要だと自覚するのです。
情報社会での便利さと男女の出会いの危うさを面白く表現して頂いた作品になっています。
有難うございます。
今回はこれにて検収を完了と致します。
業務の注意点をご報告致します。
添付画像に付いて幾つか気になる画像が御座います。
画像はシステムを踏んで相手方の了解を得た形が最善と考えますのでご注意下さい。
以下マニュアルより抜粋:参考にして頂ければ幸いです。
画像の貼付方法:
2通り方法がありますが、原則1でお願いします。
1.フリー素材サイトから画像をダウンロードして、ワードにて記事に挿入する。 (画像のダウン ロード方法は各フリー素材サイトによって異なります)
2.掲載する場所に、【ここに画像】と記述し、 その下に画像のURLをコピー&ペーストで載せる (画像にカーソルを合わせて右クリック⇒「画像のURLをコピー」でコピー可能で す)
著作権について:
著作権に違反しないように、必ず商用利用可能なフリー素材を利用しましょう。
GoogleやYahoo!での画像検索や、goo画像や楽天画像、他のサイトの画像を無断で使用するのは 控えましょう。 著作権違反にひっかかる恐れがあります。
著作権違反を犯した場合の法令執行
違反した本人が今後の人生に多大な障害を被る事に成ります。故意による行為は業界より通告され違反実行者として名簿に記載されます。
1. 民事上の請求
上記のような権利侵害の事実があるときは、権利者は侵害をした者に対し、次のような請求をすることができます。
侵害行為の差止請求
損害賠償の請求
不当利得の返還請求
名誉回復などの措置の請求
こうした請求に当事者間で争いがある場合には、最終的には裁判所に訴えて判断してもらうことになります。
2. 罰則
著作権侵害は犯罪であり、被害者である著作権者が告訴することで侵害者を処罰することができます(親告罪。一部を除く)。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金、著作者人格権、実演家人格権の侵害などは、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金などが定めれれています。
また、法人などが著作権等(著作者人格権を除く)を侵害した場合は、3億円以下の罰金となります。
さらに、私的使用目的であっても、無断でアップロードされていることを知っていて、かつダウンロードする著作物等が有償で提供・提示されていることを知っていた場合、そのサイトから自動公衆送信でデジタル録音・録画を行うと、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金が科せられます。
なお、「懲役刑」と「罰金刑」は併科されることがあります。
以上抜粋項目による。
投稿記事に関してはクラウドワークスの運営規約に基づき私どもは投稿記事を検収させて頂きます。
画像などの添付に関してはクラウドワークスと会員様の契約に基づく行為にあたりますので、私どもは指摘は致しますが強要は致しません。
どうぞ契約等の内容をご理解頂き改善して頂けるものがご自身であるようなら速やかに訂正して頂くことが最善と考えます。
どうぞ宜しくお願い致します。
それでは次回の投稿記事も楽しみにお待ち致します。
井上保夫