社会人になると出会いがない
誰しもが悩み苦しむところでしょう。
大きい会社であればそれなりに人がいるでしょうから同じ職場の人となにかしらがありそうですが個人経営のような小規模な会社ではそうもいきません。
かといってナンパする度胸もないし合コンに参加するようなツテもない。
でも女の子と話したい!
そんなどうしようもない欲求を持て余した男たちはどうしたらいいのか…
選ばれたのはキャバクラでした。
初めてのキャバクラと美咲さん

そんなこんなで赤ちょうちんの居酒屋で景気づけをし
いざキャバクラ。
新宿等の繁華街は恐かったのでとりあえず最寄りのキャバクラへ行くことに。
きらびやかな店内にドギマギしながらボーイさんへ話しやすい子を依頼し受け取ったおしぼりでテカった顔面をぬぐい,口臭ケアのためタブレットをがりがり噛んでいると
失礼しまーす
華やかなドレスを身にまとったちょっとぽっちゃりした女性がいました。
はじめまして~美咲で~す。
手放しで美人と言えるようなタイプではないですし思っていたより若くなさそうでしたがとにかく愛想がよさそうな美咲さん。
ボーイさんグッジョブ!
あからさまにしゃべりなれていない私のたどたどしい話を笑顔で受け止め時に同調し時にツッコミを入れてくれこんなに会話って盛り上がるものなのかと驚きっぱなしでした。
が、楽しい時間ほど早く過ぎていくものであっという間にお会計の時間。
お財布と相談するまでもなく店を出ないといけない状態だったのでなくなく席を立つと
連絡先交換聞いてもいいですか
好きだわ。そう思った瞬間でした。
マネーゲーム

すっかり美咲さんにメロメロになった私。
しかしあくまでも向こうはお仕事なので会いに行く=お店に通う=お金がかかるという地獄の方程式が立ちはだかります。
たまの贅沢で行ける程度の財力では歯が立たないのです。
それでもなんとか会って話がしたいために、小銭を数えて日々を過ごしながら美咲さんのシフトに合わせて通いましたがじり貧になるのが目に見えています。
なんとか通う回数を減らしつつ向こうの好感度を上げる方法はないか。
考えた結果思いついたのが
とにかく向こうの趣味に合わせよう作戦でした。
それからというものお店に行くのを匂わせつつ美咲さんの情報を聞き出し、グーグル先生を駆使して趣味がとにかく合う人間を装いました。
そのかいあってか徐々に営業連絡だけではなく日常会話的なやり取りも増え,お昼ご飯の報告と他愛のない話をしている時に美咲さんから最高のパスが
イルミネーションが見たい。
初の店外デート

ふってわいたデートにつなげられそうな話題に私は即座に食いつきそうになりました。
しかしうっきうきでお誘いしたところお仕事の延長線上でしたでは目も当てられません。
カモなのかそれとも少しは意識してくれているのか。
恥をしのんで同伴のお誘いなのか確認したところそれでもいいけど普通に遊びに行きたいとのこと。
ありがとう神様。
美咲さんから代々木公園けやき通りで開催されている「青の洞窟」というイルミネーションにしよう。
年末は忙しくなるだろうからとのことで12月の半ばで。
とのご指定をいただき人生で数えるほどしかおりたことのない原宿駅で待ち合わせ。
自分の場違い感と慣れないデートと言うイベントに緊張しながら待っているとクリーム色のロングコートを身にまとった美咲さんが合流してきました。
いままで華やかなドレス姿しか見たことがなかったので改めて、今日は美咲さんもプライベートなんだと実感。
また、お互いシラフで会うのも初めて。
なんだか変な感じとてれた様に笑う美咲さんは大変かわいらしかったです。
けやき通りを青に染めるイルミネーションを缶コーヒー片手に歩いたりベンチに座って眺めたりしていると本当に付き合っているような気がしてきます。
なんだかカップルみたいだねぇと笑う美咲さん。
いつまでもこうしていたいと思っていましたが夜も更けてくるとさすがに缶コーヒー1本では暖が足りません。
寒くなってきたしそろそろ飲みにでも行くかという話になりました。
いちおう渋谷、原宿界隈の飲み屋は調べてきましたがお互い落ち着かないということで新宿で飲むことに。
いつもはお客さんに負担になりすぎないようにと1杯のお酒を大事そうに飲んでいる美咲さんですが居酒屋で飲み放題を頼むとじゃんじゃんグラスを空けていきます。
私も負けじと飲み続けふたりとも最初の緊張感はどこへやら。
いつもよりくだけた感じで接してくれているのもあり
楽しい時間があっという間に過ぎました。
終電を調べる私をよそに美咲さんはいまだに飲み続けているので大丈夫なのか確認すると朝まで一緒にいたいととろんとした目で答えました。
…え?そんなことある?
人生初の出来事に動揺を隠せない私を見ながらにやにや笑う美咲さん。
場所決めていいよ
私を試すように、でもしっかり目を見ながら告げてきます。
私は覚悟を決めました。
美咲さんの告白とそれから

二人でゴロゴロしながら他愛のない話をしていましたが私にはいま一つしっくりこない部分がありました。
あまりにも都合のよくとんとん拍子で話が進んでいることに違和感を覚えたのです。
美咲さんとはキャバクラでの出会いで日も浅いですしお酒も入ってはいましたが自分をしっかりと持った女性でノリでここまでするようには思えませんでした。
遠回しに聞いてみたところ困ったように笑いながらぽつぽつと訳を教えてくれました。
●本当は32歳でありキャバクラはもうやめようと思っていること
●お金持ちで40代の男性と5年ほど付き合っていること
●その人とは結婚も考えており幸せにはなれるだろうが何となく不安であること
●ここ最近で話していて楽しかったのでお試しでデートしてみたかったこと
今日は楽しかったし今後も付き合ってほしいんだけどどうかなと聞いてくる美咲さん。
私は迷いました。
提案自体はとてもうれしいですがお付き合いしている相手がハイスペックすぎて勝てる気がしなく,先々のことを考えたら浮気なんてせずそちらの方としっかり付き合ったほうがいいと思われたからです。
でも私も楽しかったし念願が叶うチャンス。
結果,保留を選んだ私にそうだよねと笑う美咲さん。
その後,お互い徐々に連絡のやり取りが減っていきそのまま自然消滅という形で別れることになりました。
たまにあの時何も考えずにぜひぜひと答えるべきではなかったのかと考えることもありますがこれでよかったのではないかとも思っています。
少なくとも美咲さんの幸せを願えるくらいにはいい思い出として残すことができたからです。
s593著










コメント
コメント一覧 (2件)
pr
今回は、キャバクラで出会った女性との恋愛の物語を書いていただきました。
社会人となり異性との出会いの場のなさを感じていた男性は、キャバクラに行き美咲という女性に出会います。
喋り慣れない男性をリードするように会話を広げ、楽しい時間を提供してくれる美咲に、男性はメロメロになっていました。
しかし向こうも仕事。通うとなるとお金がかかりすぎてしまうため、相手の趣味に合う人間を装う作戦で距離を縮めていきました。
するとその甲斐あってか、美咲の方からデートにつなげられる話題を振ってくれて、2人でイルミネーションデートに行くことになります。
店と客ではなく、お互い一人の男女として初めて会う2人の時間は本当に楽しくあっという間に過ぎていきました。
しかし、美咲が既に40代のお金持ちの男性と婚約関係にあることを知り、美咲の告白に迷いながらも返事は保留に。そしてそのまま関係は自然消滅してしまったのです。
今は彼女の幸せを祈る男性でした。
社会人の複雑な人間関係や恋愛の難しさについて考えさせられる内容です。
登場人物たちの寂しいや楽しいといった感情がとてもリアルに表現されていて、複雑な状況と混ざり合い物語に深みを与えています。
読者にとって感情移入のしやすい素晴らしい作品です。
検収者 kitsuneko22
㉛kitsuneko22-10