初恋の彼のその後

初めて人を好きになった私


高校に入るまで人を好きになったことはなかった。特に人間が嫌いとかそうゆうことではないが、興味がなかったのかもしれない。

彼が同じクラスになるまでは。

夏休みが始まるまえのテストの時私は一生懸命勉強したのにも関わらず当日具合が悪くてなにも解答ができずに落ち込んでいた。周りの友達はやり切った顔で夏休みが来るのを楽しそうに話していた。私は追試を受けなくてはならず、イライラが募っていた。そんなときほとんど話したことがない彼が話しかけてきた。

「Mさん、俺も追試受けるんだけどわからないところ教えてよ。何にも勉強してないからわからないんだ。」

「え?私?いいけど。Yくん成績いいんじゃないの?私に聞いても教えるの下手だよ?だって必死に勉強したのに追試だよ泣きたいわ」

「一生懸命授業聞いてたの知ってるよ。でも、具合悪かったんでしょ? 頼むわ俺、最近ほかのことで頭いっぱいで勉強してないもん。」

そんな会話をしたのだけ覚えてる。放課後残って一緒に勉強するが、結局、反対に私が教えてもらう立場になった。彼の教え方はとても優しく上手で声を聴いているとウットリするようになりやがて私は彼を好きになった。 単純だ。

なぜ私と一緒に勉強をしたのか後で聞いたら、本当に勉強がわからなかったという。あんなに教えてくれたのに。いまだに疑問だ。まあ、私が人を好きになれたんだからいいけど。


初めて人に興味を持った瞬間だったと思う。恋ってこんなもんなんだ。ああ、恋って素敵。こんなに幸せになれるんだ。今までもったいないことしたな。

そしてその時自分が声フェチだと気付いた。耳に残るこの余韻はたまらなく好き。    くすぐったい。

彼のしぐさ、話し方、笑い声、友達といるときは周りが明るくなる。毎日学校に行くのが楽しくて仕方がなかった。おそらくその時の私の目はハートだったと思う。

一緒に何かをしたいけど、それ以来大した話もしないまま年が変わり1月になった。バレンタインデーが近づいてきて女の子たちは誰に渡すのかでクラス中盛り上がっていた。私も彼に渡したかったが、勇気がなく、どうしようか悩んでいた。後ろの席に彼がいるのに。   友達からはプリントを配るときに渡すように言われ、素直にそれに従った。


「これ、食べて。」それだけ言うのが精一杯だった。 彼はきょとんとして周りの友達からかわれていた。私は顔を真っ赤にして下を向いていた。初めてのバレンタイン。胸がドキドキしてくちから心臓が飛び出そうだった。みんなに心臓の音が聞こえていたんではないかと思うぐらい。

その時は何もなく終わり、3月、卒業式を迎える。私の恋もこれまでか。と感慨深く浸っていると、友達が彼に電話をして、どう思っているかを問いただす。

「Yくんさ、Mのことどう思っているの?バレンタインのこと覚えているよね?気持ちわかっているのに何も返事ないのはかわいそうでしょ?返事してあげて!」

おせっかいとはこのことである。私はその後のことは何にも考えてないし、むしろ何にも無いほうがいい。どう接したらいいかわからないんだよ。付き合ったら、どうしたらいいの?

すると彼はこう答えた。

「俺、Mちゃん好きだったんだよ、一緒に勉強した時から。だけど俺に興味ないんだと思ってた。」

へ? ほんとに嘘みたいなこと言うわこの人。マジなの?

「じゃあ、付き合ってくれるの?どうしたらいいの?私、Yくんのこと、好きだよ?」  何言ってんだ、私は。

「俺も好きだよ。付き合ってください。仲良くしてね。えへへ」

めでたくお付き合いを始めたんです。そして次の年のバレンタインは手作りのチョコとファーストキスをプレゼントしました。手をつなぐだけでカワイイお付き合いでした。そして二年間付き合いましたが、その後、大学のサークルや勉強が忙しくなり自然とはなれていきました。


大学を卒業して社会人になり、私は結婚し、子供が二人いて忙しく毎日を送っていました。 高校の同窓会が10年ぶりにあったとき、彼は来なかった。ちょっとさみしかった。何をしているんだろう。元気なのかな?友達も彼がどこにいるのか知らない様子だった。


ある日Facebookで彼を見つけた時、なつかしさに連絡を取ろうとしましたが、彼が男の人と笑って幸せそうな顔でハグしている写真が載っていた。俺の恋人と書いていたのを目にしたとき、ああ、そうだったんだね知らなかった。でも、お幸せに、とそっとパソコンを閉じた。元気そうでよかった。

u459著

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回の作品は、学生時代の初恋についてのお話を書いていただきました。

    夏休み前の大きなテストで、著者は体調不良のせいで点数が伸びず、追試を受けなければならなくなっていました。
    そんな時に話しかけてくれた彼。同じく追試を受けなければならず、勉強を教えてほしいと著者に言ってきたのです。
    一緒に勉強をするも、著者が教えられる立場に。彼の教え方は上手で、優しくうっとりとする彼の声に恋心を抱きました。
    バレンタインデーになり、心臓が飛び出そうなほどドキドキしながらもプレゼントを渡すことに成功。
    3月になり何事もなく恋は終わったのかと思っていると、友人が彼に電話をして気持ちを問いただしたのです。
    すると実は彼も好きだと思っていたことを知り、付き合うことになった2人。2年間付き合っていましたが、お互いに大学生活が忙しくなり自然消滅。
    同窓会に彼は顔を出さず著者は寂しく思いましたが、faceBookで新たな恋愛を楽しむ彼を知り、お互いの幸せに向けて歩んでいきました。

    学生時代の甘酸っぱい恋愛の様子が目に浮かんでくるような作品です。
    初めての恋で頭がいっぱいになってしまう一人の女子高生の心情が、まるで文章からあふれ出してくるような感覚にさせてくれます。
    表現力豊かで素晴らしい作品です。

    検収者 kitsuneko22

    ㉞kitsuneko22

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