喫茶 縁(ゆかり)「前編」彼女いるのに隠してる「後編」 恋多き女の末路


喫茶 縁(ゆかり)

ここは喫茶縁(ゆかり)、大阪府郊外の昭和レトロな喫茶店です。マスターの面倒見の良さが人気で古くからの客も多く集います。なので”客同士が顔馴染”なんてとことも珍しくありません。もちろん私もその一人。彼氏を連れてきて、こっそりマスターに品定めをしてもらったこともあるほどです私のお気に入りは一番奥の席。いつもの席に座りホッとしているとマスターがこそっと声をかけてきました。

「あのあと、どうなった?」
気になるよね、あの二人のその後。
そんなわけで、マスターも気になった二人の恋物語を聞いてください。


『大切な親友:海

私は空(そら)、男女問わず友達が多くて、男友達にイケメンが揃っていると女友達に定評があります。その女友達の一人が海(うみ)。小柄で色白、グラマーな彼女はモテるタイプです。ただ、そのことに本人が気づいたのは1年前。5年越しの恋人と別れた途端、周囲がざわつき初めたことがきっかけでした。しかし彼女は言い寄る男性でなく、私の友達と付き合ったり別れたりを繰り返すのです。信用できるというのがその理由。気持ちはわかるけど、別れ方が悪いので後のフォローが大変、本当にいい加減にして欲しいと思ってしまいます。そんな彼女の前に現れたのが今回の「大地(だいち)」なのです。


出会い

その日の喫茶縁(ゆかり)に早めについた私は、いつもの席が空いてなくてちょっとがっかり。仕方なく、玄関側の2席を確保し、いつもどおりマスターや馴染客と話しながら海を待っていました。海はいつも約束時間より少し前にやってきます。そろそろと思い、店内からガラス窓の外を見てると、海がおどけるように手を振っているのが見えました。
海「この前はごめんなぁ」
私「何も知らんふりすんのも大変なんやから。ちゃんと自分で解決してから別れてや」
海「でもなぁ、直接ゆうより、手紙の方が言いやすいねんもん」
そんな言い訳を聞いている時、カランっとドアが開く音がしました。
見るとスーツ姿の男性が店内を見回し、奥の席の男性に片手を上げて合図をしています。これは、よくある待合せのシーン。しかし、その視線がごく自然にこちらに向いた瞬間、その人はこう言ったのです。
「あれ?空(そら)やんか、お前、こんなところで何してるん?」
これが大地(だいち)と海の出会いでした。
大地は私の地元の同級生で、今では企業に就職、営業職で活躍していると噂では聞いています。なんだか嫌な予感がします。


海への忠告

それから数ヶ月後、喫茶縁(ゆかり)でいつもの席に座っていると、なんと海と大地が一緒にお店に入ってきたのです。
私「あれ?どういうこと?」
大地「あれから時々、一緒に来てるねん」
これってどういうこと?私の思考はクルクルと回り始めました。
(彼女と別れたのかな)
そう、大地には長く交際中の年上の彼女がいるはずなのです。
彼の部屋には彼女の写真が飾ってあると、共通の友人からも聞いたことがあるので間違いありません。そんなことを考えてると、大地は仕事の連絡が入り先に帰っていきました。
大地を見送った後、海は私の隣に座りなおし、少しバツが悪いのか、何かを言って欲しそうにしています。

私「海、大地と付き合ってんの?」
海「うん、告白されてん」
私「大地、彼女おるで、それもずっと前から。仲間内で公認やで」
海「別れたってゆってたよ」
私「それ、絶対に嘘やわ。部屋に写真飾ってなかった?」
海「何もなかったよ」
私「私は忠告したで、それでもいいなら反対せーへん」

それでも彼女は大地を信じる言います。海の決めたことは全力で応援する、いつでも味方だからねと伝えて、その日はお開きになりました。そんな心配もよそに、その後は海から大地との惚気話を聞かされ、交際は順調のように思えました。海沿いの素敵なホテルで過ごしたことや、ドライブ。料理が得意な彼女は彼にとっても自慢だったようです。


海の覚悟

ある日、私は珍しく海に呼び出されました。場所はもちろん喫茶縁(ゆかり)です。
いつもの席で彼女を持っていると、やはり待合せ場所の少し前に海はやってきました。

海「あんな、この前の話なんやけど」

前に話した”大地には彼女がいる”という言葉を覚えていたのです。
私「ごめんな、せっかく幸せいっぱいやのに。もう別れてたのかもしれへんね」
その後の交際が順調であることを知っていたので、ここは謝るべきだと思ったのです。
そしたら海は意外なことを語り始めました。
親友の空の言葉には真実味があり、常に心の隅に置いてあったこと。彼の言葉を鵜呑みにせず、注意深く観察していたこと。好きになってしまってたので後には引けなかったこと。精一杯つきあってきたのでもう悔いがないこと。次に大地に会ったら別れを告げるつもりでいること。空の忠告がなければ何も気づかなかったこと。たくさんの思いを彼女の言葉で話してくれました。ところどころで彼女の形跡を見つけたようで少しずつ覚悟をしていったようです。

そして、彼女は大地との関係に終止符をうちました。ちょっと失恋ムードを漂わせ、「自分には男を見る目がないのだ」と笑顔で語ります。そして、海は懲りずに私に言うのです。

「なぁ空、また誰か紹介してくへん?」

「気が向いたらね」と聞き流すように返事をし、私は帰る時間が気になるふりをして時計を見ました

喫茶縁(ゆかり)

マスター「なるほどね、大地はバレへんとでも思ったんかな?アホやね」
マスターが「で、今日は?」と、言った時、カランッと玄関の音が鳴りました。
「お待たせ!」待合せ時間の少し前に海が入ってきたのです。
そして新たな展開が始まるのでした。

haruka_moon著

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回は、喫茶店で始まる親友同士の恋愛の物語を書いていただきました。

    友人の多い空はイケメンの男友達が多く、美人でグラマーな女友達の海からいつも空の男友達と付き合っては別れを繰り返していました。
    大阪郊外のレトロな喫茶店でいつものように空と海が会話を楽しんでいると、空の友達の大地が喫茶店に現れ、それが海と大地の出会いとなります。
    数か月後、空はいつものように喫茶店にいると、海と大地が二人で喫茶店にやってきたのです。
    大地が帰り2人になると、海は付き合い始めたことを告げます。しかし大地に彼女がいることを知っている空は海に忠告したのです。
    最初は大地を信じると言っていた海でしたが、後日空を呼び、大地と別れる覚悟ができたと告げたのです。
    馴染みのマスターとそんな親友たちの恋愛話をしていた空。そして物語は新たな展開を迎えるのです。

    古いレトロな喫茶店で繰り広げられる人間模様が魅力的な作品です。
    ゆったりとした空間で大きく揺れ動く恋愛模様はとてもリアルで趣があり、そのギャップは読者を物語に惹きつけます。
    今後の展開が気になる面白い作品です。

    検収者 kitsuneko22

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    後編
    今回の作品は、喫茶店で始まる親友同士の恋愛物語の後編です。

    友人の多い空は、「これが最後だから」と友人である海に男性を紹介してほしいと頼まれます。
    いつも振り方が悪く後のフォローが大変だと感じていた空は、馴染みのマスターの言葉もあり渋々ある男性を紹介します。
    空が紹介したのは星也という男性で、ガッチリな体型に知的な顔つき、人によっては冷たい印象を与える人でした。
    いつもの喫茶店で海と星也が初めて対面しマスターに注文をした時、チョコレートパフェを頼んだ星也の見た目とのギャップに一同驚き笑いが起きるほど場の空気は和やかになりました。
    意外にも海と星也の相性は良く、その後も順調に関係を続けていました。そして星也が東京に転勤が決まった後も、時々会いながら遠距離恋愛を楽しんでいたのです。
    2年後、2人から結婚式の招待状が送られてきた空。「今度は誰の番かな?」とマスターは空に微笑みかけるのでした。

    喫茶店で繰り広げられる友情と恋愛模様がとても面白い作品です。
    出会いと予想外の展開がコミカルに描写されていて、ゆったり流れる物語の中の良いアクセントになっています。
    物語の終わりは、また別の新たな出会いを期待させる内容で締めくくられていて、微笑ましい気分にさせてくれます。

    検収者 kitsuneko22

    ㉙kitsuneko22-10

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