優しい彼氏

私にはとあるマッチングアプリで知り合った、二つ年上のY太という彼氏がいました。
最初にコンタクトをとってきたのは彼のほう。
当たり障りのない会話から始まり、次第に趣味の話や仕事の話、家族や友人の話と話が広がり、とても楽しく盛り上がりました。
その日以降も何度か会話をしているうちに私たちは意気投合。
実際に会ってみることになったので、どんな人かなぁ?とワクワクしながら待ち合わせ場所に行くと、写真で見た通り人当たりの良さそうな男性がそこにいました。
「初めまして……なのかな?(笑)Y太です!よろしくね!」
彼がニコニコと笑う姿はとても魅力的で、私はすぐに彼に惹かれてしまいました。
私はその日、彼に手を引かれるままいろんな場所で遊びました。
近くのゲームセンターに行ったり、美味しいと噂のワッフルを買って一緒に食べたり、帰り際にはずっと欲しかった小物をプレゼントしてもらいました。
(なんて優しい人なんだろう、私にはもったいなすぎるんじゃない?)
帰りも最寄り駅まで送ってもらい、一人で家まで歩いている間そんなことを考えていました。
その日家に帰りつくとすぐ彼からメールが届きました。
「今日楽しかったね。また遊びに行こうね!」
今日二人で撮った写真と一緒に送られてきたそのメールを見て浮かれる私。
なんて良い人に出会ったんだろうと嬉しく思い、
「もちろん、また遊びに行こうねー♪」
と、私もすぐ返信しました。
それから毎週日曜日になると決まって彼と出かけるようになり、どちらが先に言ったわけでもなく、私たちは次第に付き合っている関係になっていったのでした。
束縛

しかし、優しくていい人だと思っていた彼はすぐに本性を現すことになります。
ちょうど仕事が繁忙期に入り、彼と遊ぶ回数が少し減ってきた頃のことです。
家に帰り疲れた体をベッドで休ませていた私はそのまま寝てしまい、彼からのメールに気づくのが遅れてしまったことがありました。
すると私が気付いたころには50件以上のメールが届いていたのです。
「ねえ、今何してる?」
「今どこいるの?」
「え、なんか怒ってるの?」
内容はほとんどそんな感じでした。
私は少しうわぁと引きながらも、彼に謝りのメールを入れました。
「ごめん!忙しくて疲れて寝ちゃってた!」
すると一分もしないうちに返事が返ってきました。
「そう?ま、ならいいんだけど。」
明らかに機嫌の良くなさそうな文。
彼とのメールのいざこざはその日はそれで終わりました。
しかし、次の日からも少し返事が遅れると同じように何通もメールを送ってくるようになり、次第に私は彼の束縛と、彼に浮気でも疑われてるんじゃないかという不安感で、体調も崩しがちになっていくのでした。
私はどんどんエスカレートしていく彼の束縛に悩み、昔からの親友に会って相談することにしました。
「それ絶対めんどくさいやつじゃん!すぐ別れた方がいいって!」
親友からはそうアドバイスを受けました。
(わかってる、わかってるけど……。)
彼と過ごした楽しい時を思い出し、今でも彼が好きな自分と、彼の束縛で壊れてしまいそうな自分とで葛藤しました。
彼の秘密

親友に相談に乗ってもらってる時でした。
私の携帯に着信が入ったのです。
彼からの着信を、私は無言でスッと親友に見せます。
一応、ありのままを言ってみようということになり電話に出る私。
「もしもし、今何してるの?」
少し不機嫌な彼の声。
「今友達と一緒にいるよ!」
私のその返事に、彼の機嫌はさらに悪くなっていきました。
「は?休みなら俺と一緒に遊ぼうよ。まさか男?」
「そんなわけないじゃん。昔からの親友の女の子だよ。」
電話越しに彼の声が漏れていたのか、親友も心配そうに私の様子をうかがっていました。
「これから家迎えに行くから、友達と別れて帰ってきてよ。」
彼はそう言ってブツリと電話を切りました。
私はここでゾッとしました。
私は彼に最寄り駅まで送ってもらったことは何度かありましたが、家を教えたことは一度もなかったのです。
「それ絶対帰っちゃダメ!今日は私の家に泊まりな!」
親友の助言に従い、その日私は親友の家に泊めてもらうことになりました。
次の日、朝人出も多くなった頃に恐る恐る帰宅した私。
するとちょうど外に出ていた大家さんが私に話しかけてきました。
「昨日あなたの家をずっとドンドンしてた男がいたから追い返してやったわよ!」
私は大家さんのその言葉で、優しかった彼氏にストーカーされていたことを確信したのでした。
別れ

私は必要最低限の荷物をまとめて両親に連絡。
すぐに引っ越すことにしました。
両親は遠方に住んでいましたが、事情を話すとすぐに駆け付けてくれました。
両親や大家さんたちのフォローもあり、引き払いの手続きはすんなり済み、引っ越し先が見つかるまで、親友が家を使ってもいいと言ってくれて私は助かりました。
彼のアドレスはもちろんブロックしましたが、もしかしたらまだどこかで見ているかもしれないと思うと、今でも怖くなることがあります。
優しかった彼氏があんなに豹変するなんて、人を見るいい勉強にはなりましたが、もう二度と同じ目にはあいたくないものです。
osako著









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