道端での運命の出会い 出会った彼女は・・・

道端での出会い

「大丈夫ですか?」

女性に声をかけられ、リョウは恥ずかしくなった。

 

それもそうだ。重たい荷物を運んでいたらバランスを崩し、尻もちをついてしまったところをみられたのだから。

会社の備品を運ぶのなんて、手伝うんじゃなかった。

「あ!!はい!大丈夫です!!」恥ずかしさのあまり、つい声が大きくなってしまう。

「重そうな荷物ですね。気をつけてください、怪我をしたら大変」女性はクスリと笑いながら、起き上がるのに手をかしてくれた。

「じゃ、わたしはこれで。」彼女は駅のほうにスタスタと歩いていった。

再び

「先輩、昼は外に食いに行きません??」後輩のヨシダからそう誘われ、リョウも気分転換も兼ねて、外で食べることにした。

「なに食いたいんだ?」

「駅前に、うまいラーメン屋できたんすよ!そこ行きません?」

 

そういえば、今朝の彼女駅の方に歩いていったなぁ

 

ぼんやりしながら歩いていると、ふとカフェが目に止まった。

立て掛けてあるメニューを見ると、サンドイッチやコーヒー、ケーキなど至ってシンプルなメニューだがどれも美味しそうで、観葉植物が置かれているウッド調の店構えは、どこか人をほっとさせる魅力を出していた。

 

リョウはなんとなく、そのお店の雰囲気が気に入った。

 

「悪いヨシダ、おれちょっとここ気になるわ。お前どうする?」

ヨシダは怪訝な顔をしてメニューを眺め、「カフェって気分じゃないっすねぇ。おれはラーメン食べます!」「そうか悪いな、また後でな」

 

ヨシダと別れ、リョウは少し後悔した。

 

こんな雰囲気の店に、男一人でってのはどうなんだ。やっぱり、ラーメンにしておけばよかったか。

 

リョウは覚悟を決めたように一息つき、ドアノブに手をかける。

 

「いらっしゃいませ」

 

カウンターから声をかけてくる店員の顔をみて、リョウはハッとした。

 

 

 

 

 

 

 

彼女だ。

 

 

 

 

今朝の彼女がいる。

「あら?」彼女もリョウに気づいたらしく、「接客」とは違う笑顔をリョウに向ける。

 

「今朝はどうもありがとうございました」

「いえ、あれから大丈夫でしたか?」

「はい。なんだか恥ずかしいところ見られちゃって」

「あんな大荷物運んでたら、わたしも同じようになってたと思います」穏やかに笑う彼女をみて、リョウも同じように笑った。

 

 

 

 

なんか、安心するな。

 

 

 

 

女性の胸のあたりについているネームバッジをみると、「タカオカ」と書かれている。

 

 

タカオカさん・・・・か・・・・・・。

・・・・・・・って!!!!!なにチェックしてんだおれは!!!

 

心の中で頭をポカポカ叩きながら、リョウはホットコーヒーとサンドイッチを注文した。

 

その日からリョウは、ちょくちょくお店に顔を出すようになった。その頻度にあわせて、タカオカさんと話す機会も増えてきた。

 

彼女はこのお店の店長で、自分のお店をもつのが夢だったという。

 

見事に夢を掴んで生き生きと働いている彼女が眩しく、とても魅力的に見えた。

 

 

少女漫画のヒーロー

 

今日は、ちょっと名前を呼んでみようか。いや、ただの客に名前で話しかけられるなんて、気味悪がられるよな・・・・。

ぐるぐると考えを巡らせながらいつものように店に入ろうとすると、中から言い争っている声が聞こえる。

 

何事かと店内へ入ると、タカオカさんと1人の男が向かい合って口論していた。

「お客様がきたから、もう帰って」

「なんだと?!?!お前、そんな態度とっていいと思ってんのか?!?!」

男が怒鳴り声をあげる。

 

「おい!!お前、なにやってるんだ!」リョウはとっさに2人の間に割って入った。

 

タカオカさんと男は驚いた顔でリョウを見る。

 

「何だてめー。てめーにはカンケーねぇだろうが!!!」

「関係ある!!女性に対してこんなことしていいわけないだろ!!!」

 

「女性?!こいつが?!わっはっは!!!!」男が下品な笑い声を上げた。

 

 

「俺にはそんな感覚、微塵もわかねーわ!」

 

 

 

 

・・・・・・なんてやつだ!!こんな人間と同じ男なんて!!!

 

 

怒りがこみ上げ、リョウは男に殴りかかる。

 

「待って!!!」

スギヤマさんがリョウの腕を掴み、寸田のとろこで押さえた。

 

「なんでですか!!!こんなやつ、一発やらないと気が済みません!!!!」

 

 

「わたしの兄なんです!!!」

 

 

 

・・・・え?

 

 

「その人、わたしの兄なんです」

 

スギヤマさんが申し訳無さそうにつぶやいた。

 

「そういうことだ。おれはこいつの店の排水溝の修理に来たのに、偉そうな態度とられたから頭にきたんだ」

 

「気が短いのよ兄さんは。もっと心にゆとりをもったらどうなの」

 

2人の兄弟喧嘩を呆気にとられながら見守るリョウを尻目に、スギヤマさんのお兄さんは帰っていった。

 

「すみませんでした。変なことに首をツッコんでしまって」

「いえ、びっくりしてしまいますよね。わたしの兄だって知らない人ならなおさら」

 

 

カタオカさんが「お礼に」といって作ってくれたコーヒーを飲みながら、リョウは自分のとった行動を反芻しながら赤面した。

 

 

なんで俺、あんな少女漫画のヒーローみたいなことしちゃったんだ・・・。

 

 

 

恥ずかしさにうつむいると、カタオカさんがなにか言いたげに口を開いた。

 

「あの・・・・。」

「はい?」

 

「・・・お名前は?」

「え?」

 

「あっ!急にすみませんっ。これだけお店に来ていただいてるのでお名前お聞きしたいなとずっと思ってて・・・でもなかなかタイミングがつかめなくて・・・」

カタオカさんは頬を染めながら視線をおとした。

 

 

 

・・・ひょっとして?

 

期待に胸が高鳴る。

 

 

 

「・・・リョウです。カタヒラ リョウ」

 

「カタヒラさん。わたし、カタオカ アケミです」

 

ふたりは見つめ合い、ふっと笑った。

 

「これからカタオカさんのこと、もっと話してくれませんか?あ、お兄さんのことはもう知ってます」

ふふっと、カタオカさんが穏やかに笑う。

 

 

やっぱり、この人の笑顔は癒やされる。

 

 

「わたしも、カタヒラさんの話を聞きたいです。趣味はなんですか?」

 

 

2人は夢中で語り合った。

 

お客さんが注文で列を作っているのに気づかないほど・・・。

 

 

 

lessn著

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