恋は盲目

恋は盲目とはよく言ったもので
振り返ると、私もかなりの「見えていない」恋をしていました。
なぜ見えなくなってしまうのか・・・?
今になって思うのは「この人が居なくなったら私はもう彼氏なんてできない!」
と、私が恋愛や結婚に対して、人と比べたり年齢に追われたり、焦る気持ちが強いタイプの人間だったからです。

今日はそんな焦りの中、彼氏に対して違和感がありつつも
見ない振りして付き合い続けた恋のお話です。

紹介で出会った彼

背が高く、シュッとスマート。
仕事をする姿は頭の回転が速く、指示を待たずに自ら動く。
上の人から一番の信頼をおかれている。
そして、たまに出る方言がとても心地よく、彼自身もとても優しい方だったのでお付き合いをする事になりました。

彼はひとり暮らし、私は実家暮らしという事もあり、会うのはいつも彼の家。
もしくは彼の家付近の繁華街でした。
電車で2時間近い距離にも関わらず、私は会える嬉しさが勝ち
「少しでも私の家の近くに来て欲しい」とは、一度も思いませんでした。
週に2回は、せっせせっせと彼の家に「これが愛」と思い込むようにして通い続けていたのです。
「来るの大変だろうから、そっちで会おうか?」などという、私を気遣いがない事に気付かずに。

彼は自分に自信がない?


自信がない言動が多い人でした。
「俺なんていうピラミッドの底辺の人間は・・・」や「俺が、満足に暮らせるほど稼げるわけがない」
などと、周りの人達に卑下する姿も見られました。
当時の私はそれを「彼の謙遜」「彼は謙虚な人」と思い込むようにして
そんな事ないよと、励まし支える献身的な彼女がで居られる幸せを感じていました。
思い返すと、この自信の無さが他を攻撃する一つの原因だったのです。

お店の人に威圧的な態度をとる。

雑誌の恋愛アンケートで「お店の人にだけ、態度が上からになる異性は恋愛対象になりますか?」こんな質問が良くあります。
誌面でそのようなアンケートを見るたびに「ぜったいに、そんな彼氏は嫌!」と思っていましたし、飲み会の席で仲間内にそんな人がいたら「なんか嫌だな、その態度・・。」と見ていました。
彼と付き合い始めて二人で外食をした時です。
オーダーを取りに来てくれたお店の方に、彼はものすごく威圧的な態度で接しているではありませんか。
「あぁ、それで?聞こえないんだけど!え!?何?いや全然違うから!これって言ってんだろ!他の奴来させろよ!」

耳を疑いました。自分にはとても優しい彼なのに・・・。
せめて私は優しくしようと、店員さんに丁寧にお辞儀をしたのを覚えています。
アンケートの答えと、実際の恋愛は違うんだと、自分に言い聞かせて。

致命的だった瞬間

そんなこんなで、彼に対して違和感がありながらも目をつぶり
私たちの間で結婚の話が出てきました。
素直に嬉しかったのを覚えています。
そして結婚を挙げる会場を探す為に、各会場のブライダルフェアに参加し始めました。

恋は盲目。
彼に対する違和感に数年間目を瞑っていましたが、とうとう見えない振りができなくなったのもこのブライダルフェアでの事でした。

基本的に私に対して、声を荒げる事も放置する事もなく、とても優しい彼でしたが
そんな彼が、私たちを担当してくれるブライダルコーディネーターや会場の営業の方への態度は、隣にいるのも恥ずかしいくらいの威圧的な態度だったのです。

「見積額、こんな高くてどうするの?」
「え?!こんな内容しか出せないの?」
「フェアっていうから参加したのに、今日は来ただけ無駄だったわ」

などなど。
20代の若造が、年齢も経験も上のブライダル担当の方達に向かって威張り散らしているのです。なぜこのような態度になってしまうのだろう。どうして威張るんだろう。鼻で笑う理由は?出されたケーキも口に合わないと言って残すなんて・・・。

こんな調子で何件目かのフェアに参加した帰り道。私は、勇気を出して彼に聞きました。
「なんで?あんな態度取るの?」
「え!?そ、それは・・・・お前の為だよ。いい結婚式にしたいから・・・。」
私に対してはいつも優しい。けど私の質問に対して、鬼の形相になった瞬間を見逃しませんでした。

そして、この瞬間に彼の隣に立ち続ける事はできない・・・と気付いたのです。
今は優しい彼だけど、根本的に自信がないので、自分を大きく見せる為に威圧的な態度を取り、少しでも相手を負かしたい。敵と見なせば総攻撃。
結婚後の長い人生。いつ私がその対象になるだろうか・・・。

別れるまで

それから数週間。
私は悩んで、悩んで、彼に別れを告げました。
良いところもたくさん知っている好きだった人に別れを告げるのは辛いものです。

しかし「別れて欲しいなら俺の出す条件を飲め!!」そこには、飲食店の店員やブライダルフェアの担当の方達に対して取った時とは比べ物にならないほどの・・・彼がいました。

数年間、目を閉じて見えない振りをしていたせいで、結婚の話が出た後に破局。
彼にも申し訳なく思っています。

恋は盲目という言葉に甘えずに、あれ?と思った時に考えれば良かったと思います。
「彼しかない」なんて、思わずに。
もし若い子が、当時の私と同じような恋愛をしていたら、黙っていられず忠告してしまうと思います。世界にはたくさんのお相手がいるのだよと。

パ484著

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回の作品は、彼氏に違和感を抱きながら付き合い続けた女性のお話です。

    スマートで上の人からの信頼も厚く、とても優しい性格の彼とお付き合いをすることになった女性。
    自信がない言動の目立つ彼を「彼の謙遜」だと思い、隣で支えられることを幸せに感じていました。
    しかし、普段優しい彼が見せたお店の人への高圧的な態度に、女性はふと違和感を覚えます。
    そんな彼への違和感に目を瞑りながら迎えた結婚の話。
    そこで担当をしてくれたブライダルコーディネーターの方々へ高圧的な態度を取り続ける彼に、女性は限界を感じました。
    別れ話では、それまでお店の人へ向けたのとは比べ物にならない攻撃的な彼の姿がありました。

    自分へ向けた優しさと、外部に向けた攻撃的な彼の二面性が上手く表現されています。
    相手の欠点は受け入れられるものなのか、許してはいけないものなのかを考えさせられる良い内容の作品です。

    検収者 kitsuneko22

    ⑫kitsuneko22-10

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