恋愛に対して冷めていた私が出会った年上の男性。誰かを尊敬するという感情。

男女間の友情は成立するのか

高校生の頃、私はたくさんの友人に恵まれて楽しい毎日を過ごしていました。

当時趣味とバイトに没頭していた私は周囲のカップルに対して「青春だなあ」と、微笑ましいような、少し羨ましいような気持ちを持っていました。
また残念ながら別れてしまった人たちの間に漂う険悪な雰囲気に「校内の人と付き合うものではないな」と思ったものです。

ある時同級生数人の間で『異性同士でずっと友達でいられることはできるのか』と言う話題で盛り上がりました。
私と数人は「できる」と即答しましたが、何人かは「無理だと思う」とも。
無理だと答えたのはほとんどが男子でした。初めて会った瞬間、またはその後の交流で異性として見てしまうことは当然あるとのことでした。
この話は数日間続けられました。今思えば余程暇だったのでしょう。もちろん正解などなく、そのうち飽きて終わってしまいました。

私には性別も年齢も関係なく、素晴らしい友人がたくさんいる。それでいいじゃないかと改めて思いました。

付き合うって何?

恋人同士ってなんだろう。毎日会ったり電話したりすること?ベタベタすること?
付き合うってなんなのかな・・・と友達カップルの姿を見ながらぼんやり考えていました。

そんな私にも彼氏と呼べる人ができ、少し大人になったような気がして舞い上がりました。
その人は年上の社会人で、私からすれば立派な大人です。振る舞いや言葉の選び方ひとつひとつに感動を覚えました。
どこかへ出かけたり、食事をしたり。楽しいことを共有するのが『付き合う』ということなのかな?と思っていました。

でもそれくらいのことなら友達同士でもできそうだな・・・と心の隅に冷めた感情もあったような気がします。

結局その人とは別れてしまいました。お付き合いも別れも初めての経験で、かなり落ち込みました。
そんな気持ちを紛らわそうと、更に趣味やバイトに打ち込む毎日。

そこからしばらくして趣味の知人の紹介で、ある人物と出会いました。

尊敬と憧れ

その人は自身の劇団を運営する役者さんで、次の公演で裏方をしてくれる人を探しているとのことでした。
生でお芝居を観てみたいと言う好奇心で、私を含む何人かで参加することにしました。

ひとつの芝居を細かく創り上げていく過程や、演者の皆さんの熱意に圧倒されました。
ゼロから積み上げていくってすごい。みんなカッコいい。
心を打たれた私は、リハーサルなど以外でも練習場へ顔を出しました。

小さな劇場でしたが、ほぼ満席で舞台が終わりました。
ここに参加できたことを本当に誇らしく思いました。

舞台が終わってからも彼らとの交流は続きました。
劇団の人たちは皆年上だったので、やはりここでも彼らの大人な言動にいちいち感動していました。

普段の彼らはどこにでもいるお兄さんやお姉さんという感じなのに、舞台に立てばまるで別人。
この人たちのような大人になりたいという気持ちにさせてくれた彼らに尊敬と憧れの気持ちを抱いていました。

学校とバイトの合間はほぼ彼らと過ごしていました。

そしてそのうちの一人の役者さんとお付き合いをするようになりました。

彼には本当に色んなことを教えてもらいました。考え方がまだ幼かった私に、とても丁寧に話をしたり聞いたりしてくれました。
そして以前から持っていた疑問『付き合うって何?』もぶつけてみました。

「一緒に過ごしたいとか、この人のために何かできればとか。相手に対する尊敬の気持ちとか存在を肯定するとか・・・そんな感じじゃない?うまく言えないけど」

あ、下心がない男の人っているんだ!とかなり驚きました。
彼とはただお互いの夢について話したり、雑談をしたり。それだけで満足でした。

また本気で役者を目指す彼に対する尊敬の気持ちは変わりませんでした。

遠くに行こうか

そんな私たちの交際を妬む人物が現れました。
今の時代なら犯罪スレスレのような行為を繰り返され、私たちはなかなか会うことができなくなりました。
私は人目を避けて、公衆電話から彼に時々電話をしました。

ある時彼が

「いっそ遠くへ行こうか」

と言いました。

地元からかなり離れた街で、同業の人から劇団設立の声がかかったと言うのです。
彼自身とても興味があり、是非やってみたいから一緒に行こう、と。

以前から両親と折り合いがつかなかった私は、早く家を出たいといつも思っていました。
彼について行くことを決めて、早速コソコソと少しずつバレないように荷造りを始めたのです。

彼に夢を実現させて欲しい、貧しい暮らしになってもそのお手伝いがしたいと本気で思っていました。

それからやっと直接会えたのは、約一年後。ある駅のホームでした。

久しぶり。元気そうでよかった。とお互い挨拶を交わしました。

「また会いたいね」

「うん・・・でも・・・無理じゃない?」

陰湿な嫌がらせに私たちはもう疲れており、連絡を取ることも諦めていました。

「元気でね」「うん、元気で」と彼は電車に乗り込みました。
電車が見えなくなるまで、私はホームで見送りました。その時の情景は今もはっきり覚えています。

その彼とは恋愛感情を超えた、友情に近い関係だったと思っています。

今でもドラマや舞台の出演者のテロップなどをつい目で追いかけてしまいます。

 

男女間に友情は成り立つか。
彼とはもう会えなくなってしまったけれども、私は成り立つと今でも思っています。

 

koinobori著

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