いつも選ばれなかった私・・10歳差でも彼が私を選んだ理由

私は今年で40歳になるエリ。

世界的にも有名な大企業のマーケティング部でバリバリ働くキャリアウーマンだ。

小さい頃からお嫁さんになるのが夢で、手料理を振舞えば必ずみんなが「こんな料理を作ってもらえたら、もう外食する気にもならないよ」と言ってくれるくらい料理は得意。

同棲した彼もいた。家族ぐるみでお付き合いするくらい結婚秒読みの彼もいた。

それなのに私はいまだに結婚できず、先日40歳を迎えてしまったのだ。

最後にお付き合いしていたのは33歳の時だった。2歳年上の彼。お互い結婚を意識する歳。両親にも紹介して、彼の両親にも紹介してもらって、後は結婚の時期を決めるだけだったはずなのに・・。

ある日彼は「ごめん。価値観が違い過ぎると思う。俺ではエリを満足させられないし、俺がいなくても生きていけるだろう」と別れを切り出され、一緒に住んでいた家から出ていった。

いつも別れを決めるのは相手。

それもみんな同じ理由。「満足させてあげられないから」「エリは一人でも大丈夫だろう」

私は満足させてもらいたくて一緒にいるわけではない。欲しい物は自分で買える。満足できる収入もある。

一人でよければ誰とも付き合わないし、そんなことを言われたら普通に傷つく一人の人間だ。

周りはみんな結婚して、親になっていく。

私が思い描いていた未来をみんなは手に入れているのに、どうして私だけ手に入れられないんだろう。

目次

-社会人大学院へ-そこで出会った彼

ずっとマーケティング部で働いていた私には、起業したいという夢があった。その実現に向けて本格的に経営について学びたいと考えるようになっていた。

この頃は結婚よりも、起業に向けての意識が大きくなっていた。もちろん出会いの場には足を運んでいたが、新しい出会いに期待する気も失せていたのかもしれない。

それよりも、起業し成功した人と関わる時間を増やしていた。仕事柄、元々そうして成功している人やインフルエンサーと呼ばれる人たちと接触する機会は多かったので影響を受けたところはある。

その中の一人に

「本気で学びたいなら社会人大学院に行ったらいいよ。同じ志の人も多いし、絶対エリさんのプラスになるよ。」

と言われたのがきっかけで、社会人大学院で経営学を学ぼうと準備を始めた。。

目指したのは高校生の時、進学先はこの大学しかないと浪人してまで頑張り、でも結局行けなかった有名私立大学。私はそこの大学院一本で試験を受けた。

結果は見事合格!

ずっと憧れていた大学の大学院生として私は、昼は仕事・夜は大学院へ通う生活が始まった。

そこで出会ったのが同じ研究チームの10歳年下の”あきお”だった

大学院ではプレゼン大会が開催される。それまでチームで準備を進めながら、研究をするのだ。

優秀賞に選ばれれば、海外への留学費用を大学院側が出してくれる。そこを目指して私たちは一緒の時間を過ごすことになった。

-大学院生活-弟のような存在

大学院での学びは学生になることが18年ぶりだったこともあり、本当に楽しかった。

同じ研究チームのメンバーとわいわい学生気分を味わう。

仕事で疲れていても、大学院に通うことを面倒と思うことは一度もなかった。

大学院ではいろんな年代の人がいた。だから何歳かなんて誰も気にしないで接してくれる。

私は童顔なこともあり、よく実年齢より下に見られる。だからあきおも私の歳は知らないままだし、聞かれもしなかった。何より実年齢を知られるのが嫌だったから、その対応は嬉しかった。

メンバーの中でも私とあきおは一番気が合った。いつも一緒にいたから勘違いされることもあった。

「ふたりってナイスコンビだよね!息ピッタリだもんね。もしかして付き合ってる?」

なんてことも言われたりした。

そんな時は決まって、二人で肩を組んで

「うちら一心同体だから(笑)」

ってふざけたりしてた。この時はまだあきおのことを弟みたいに思ってたから、そんなことも簡単にできたし、意識することもなかった。きっとあきおも同じだったと思う。

-プレゼン大会-まさかの優秀賞!二人の関係に変化が

そうしてプレゼン大会に向け準備を進めている時に、世界中をパニックに陥れたあのウイルスが大流行してしまう。

連日のニュースではウイルスの話題ばかり。緊急事態宣言でリモートでの打ち合わせを余儀なくされた。

それでも私は前向きに研究に取り組んだ。自分のやりたいことをやれている充実感はウイルスにも侵されることはなかった。

そして迎えたプレゼン大会当日。

私たちはそれまでこの大会のために研究し準備してきた内容を充分にプレゼンすることができた。終わった後は本当に充実した気分だった。

順位発表は数日後、でも順位は関係なかった。やり切れたという満足感でいっぱいだった。

そんな達成感に浸っている私の所にあきおがやってきた。

「今ちょっといい?」

そんな風に改まって話してくることがなかったので、私は少し戸惑った。

『えっ?何?いいけど、今嫌な話は聞きたくないよ(笑)』

と返すと、ふっと笑いながらも真顔で

「俺ね、この研究でエリさんと一緒にいて、ずっと考えてたことがあるんだ。ほらエリさん起業したいって話してたじゃない?二人で共同経営者ってことでエリさんとやってみたいんだ。」

その突然の申し出に私は

はっ?共同経営者?まさに寝耳に水とはこのこと?いいや、青天の霹靂?どっちも意味は同じか・・。なんて今はそんなことを考えている場合じゃない!

完全にパニック状態のまま、なんて返したらいいのかわからなかった。

取り合えず、少し考える時間をもらい冷静になって自分がどうしたいのか考えることにした。

あきおも起業したいという目標があると話していた。私なんかよりももっと具体的でその目標実現のため動いていることも知っていた。

充分一人でもやっていける実力もあるのに、どうして私を共同経営者にと考えたのだろう・・。

私の中で答えを出せないまま、プレゼン大会の結果が発表された。

なんと結果は・・私たちのチームが優秀賞に選ばれたのだ。

本当は抱き合って喜びあいたいところだが、このご時世だ。肘タッチで喜び合った。

表彰式の帰り道。私はあきおと二人になった。まだちゃんと答えを出していなので、なんとなく気まずくなっている私にあきおが話しかけてきた。

「この前は突然あんなこと言ってごめんね。ちゃんとどうしてエリさんと一緒に起業したいと思ったのか伝えてなかったね。」

優しい口調で話し出した。

彼が私を選んだ理由

あきおはどうして私をビジネスパートナーに選んだのかを話してくれた。

いつでも笑顔で一生懸命なところ。誰よりも努力家なところ。10歳も年上なのにそれを全く感じさせないところ。みんなで集まると誰よりも動いて気を配ってくれるところ。そして何よりウイルスが流行してから思うように集まれなくなってみんなのモチベーションが下がった時でも1回も不平不満を言わないで、みんなに声をかけてどうすれば上手くいくか考えてたところ・・。

だけど本当は無理をしてしまうところも知ってる。泣きたくても我慢して笑ってるところも知ってる。

「そんな弱いところも強いところも全部がエリさんの魅力だと思ってる。」

あきおはそう言ってくれた。

年齢がバレていたことはちょっとショックだったが(笑)、嬉しくて涙が出た。

私は昔からよく頑張り屋さんと言われていた。だから可愛げがないとも言われていた。私から離れていった彼らも、自分がいなくても一人で生きていけるだろうと私に背を向けたのだ。

でもあきおはそこが私の魅力だと言ってくれた初めての人だった。

その言葉だけで充分だったが、さらにあきおは

「これから起業すれば、大変なことがいっぱい待ってる。辛いことの方が多いかもしれない。だけどエリさんと一緒なら、辛いことも楽しくなるんじゃないかって思える。

ずっと一人の力で目標を実現させていくものだと思ってた。でもエリさんと出会って一人より二人がいいと初めて思えた。

だからビジネスパートナーとしてだけじゃなく、人生のパートナーとしても一緒にいてほしい。」

何を言われているのか訳がわからなかった。完全にフリーズしている私にあきおは

「結婚してください」

そう言ってくれた。

今まで付き合っていた訳でもない私にあきおはプロポーズしたのだ。

「言っておかないと、エリさんのこと他の誰かに獲られたら困るからね」

笑顔でそう言うあきおに私は

「何言ってるの、私のこと欲しがる人なんて他にいないよ。10歳も年上でもう40だよ。子どもだって産めるかわかんないのに・・。」

そこまで言ってうつ向いた私のことを、あきおはそっと抱きしめて

「そのままのエリさんが俺には必要で、ずっと側にいてほしい唯一の人なんだ。」

正直不安もあった。10歳も年下の彼が、もっと若くて素敵な人とこの先出会ったら私を必要としなくなるのではと。

でも今まだって信じて傷ついてきた。また傷ついても立ち直ればいいだけだ。

私もあおきのことが好きだった。でも恋愛対象にしちゃいけない、弟だって思い込もうとしていただけ。

もう一度信じてみよう。この人と一緒に。

エピローグ

私たちは今、起業に向けての準備を着々と進めている。

正直たくさんの書類に囲まれて、思ってた以上に手続きが多いことにため息をつきながらも自然と笑顔になっている。

”辛いことも二人なら楽しく感じる”

本当にその通り。あきおと二人なら、何でも出来そうな気がしてくるのだ。

自分らしく、目指す道に努力し続ければ結果はついてくる。

私は起業と、そして結婚という目標を実現させることが出来た。

これからも新しい目標を見つけて、二人で歩んでいきたい。

munenori著

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