「好きになっちゃいけない人を好きになってしまった。」
皆さんは、こんな経験ありますか?
そんなフレーズをよく映画やドラマなんかで耳にした事がありましたが、まさか自分がその状況になってしまうとは、そしてそれがこんなに辛い事だったとは思いもしませんでした。
今回はそんな、少し危うげな恋のお話です。
好きじゃなかった

彼との出会いは、私が専門学生の時に働いていたアルバイト先でした。
そこの職場はスタッフ同士の仲がとても良く、仕事以外でも先輩後輩関係なく、よく遊びに行っていました。
彼は私のほんの少し後に入って来たスタッフなので、ほとんど同期の様な感じでしたが、彼の方が歳上だったので、敬語で話していました。(彼の事を、仮にAさんとします。)
手先が器用で、同じ時期に入って来た人達の中で誰よりも早く、メインの位置を任されるくらい、仕事のできる人でした。
すごいなぁという尊敬の気持ちはありましたが、その時は別に職場内に好きな人がいた事もあり、それだけの気持ちでした。(その好きな人を、仮にBさんとします。)
更にその時Aさんには彼女がいたので、恋愛対象にすら入っていませんでした。
気になる存在??

同期という事もあってか、Aさんと話す機会は結構ありました。
話をしていく内に、私達は趣味が似ているという事に気がつきました。
好きな音楽や観ているアニメなども大体同じで、その話でよく盛り上がりました。
そこに時々Bさんも混ざってきて、3人で話す事が多くなりました。
ある日、音楽好きが共通点だった私達は3人でカラオケに行く事になりました。
Aさんには申し訳ないですが、その時の私の頭の中はBさんの事でいっぱいでした。
初めて聞くBさんの歌声にドキドキしながらも、実は選曲や歌い方は完全にAさんの方が自分の好みで、やっぱり気が合うんだなぁと思っていました。ここまで趣味の合う人も今までいなかったので、恋まではいかなくとも、ほんの少し気になる存在だったのかもしれません。
この後も3人で話す事が多くなり、私は純粋に仲のいい先輩方とのこの関係性を楽しんでいました。
気持ちの変化

ある日、Bさんが職場内の人と付き合い始めた事を知りました。
私はかなりショックを受け、Bさんとはその日を境に前の様に仲良く話せなくなってしまいました。
私の気持ちを知っていた友達は、「男を忘れるには男だ、次に行こう!」と励ましてくれました。続けて、「Aさんはどうなの?仲良いじゃん。」とも聞かれました。
「Aさんは彼女いるし、論外でしょ。」と、私は言いました。
それからBさんとは自然と離れてしまいましたが、Aさんとは相変わらず他愛もない話をしていました。初めは、失恋の悲しさを埋めるようにAさんと話していましたが、友達のあの言葉を思い出して少し、意識してしまう様になっていました。
完全に好き

そこから自分の恋心に気づくまで、さほど時間はかかりませんでした。
Aさんといると一番落ち着いていられて、二人で笑って話している時間が私にとって、いつしかとても大切な時間になっていました。
しかし忘れてはならない事は、彼には彼女がいるという事です。
実は私達は帰る方向が同じだったので、よく一緒に話しながら帰っていました。
ある日の帰り道、Aさんは私に、「彼女と全然会えてなくて、上手くいってないんだよね。」と相談してきました。
私の気持ちを知っているのかどうかはわかりませんが、彼女の事をAさんから聞くのは初めてだったので、少しショックでした。上手くいっていないと言いつつも、彼女との仲を取り戻したい様な口振りだったので、そこでも更に落ち込みました。
私はこの恋心を大切にしたい気持ちと、決して叶う事のないであろう願望を捨ててしまいたい気持ちが入り乱れて、心がぐちゃぐちゃになっていました。
嬉しい事があれば舞い上がってしまい、でもその度彼にはこれ以上は踏み込めない事を、呪文の様に自分に言い聞かせていました。
全て終わらせる

そんな気持ちの波に疲れてしまい、私はある事を決めました。
それは、気持ちを伝えて潔く振られ、自分のこの恋に終止符を打つ事です。
自分から離れる事はできないから、強制的に終わらせる事を選びました。
バイトの帰り、みんなと別れAさんと二人きりになった時に私は、「好きです。」とだけ伝えました。
少し間が空いて彼は、「ごめんね。ありがとう。」と言いました。
私は強がって、「わかってたんで、大丈夫です、すいません。」と言いました。
そしてお互い若干の気まづさを残しながら、帰宅しました。
彼と別れた後、泣きながら家までの道を歩きました。
本当は全然大丈夫じゃなくて、今までの色んな思い出が一気に頭の中を駆け巡り、楽しかった事を思い返すだけで大粒の涙が溢れてくるのです。
いくら“わかっていた事“だったとしても、覚悟なんて全くできていませんでした。
その後も彼とはバイト先で会うので、気まずくなりたくなくて、次会う時までには気持ちを切り替え、私達は前と同じ様にお互いに接しました。
彼の気持ち

少しずつ彼への気持ちを無くしていこうと思い始めていたある日、彼から「話がある。」と言われました。
今更何を話すのだろうと思っていましたが、夜ご飯を食べながら話を聞く事にしました。
「○○ちゃんといる方が楽しくいられる。彼女と別れたから、もしまだ気持ちが残っているなら、付き合って欲しい。」
彼は真っ直ぐこちらを見て言いました。
予想していなかった内容で、頭は混乱状態でしたが、彼への気持ちは完全に消えたわけではなかったので、私は彼の言葉に少し照れながらも、「よろしくお願いします。」と答えました。
その後彼とは、長い長いお付き合いを経て結婚しました。
決して綺麗な恋愛だったとは言えません。本当に好きな人と結ばれて幸せな気持ちの反面、当時彼と付き合っていた人への申し訳ない気持ちや、すぐ心変わりされてしまったらどうしようと、正直彼への不信感も初めはあり、気持ちがグラグラしていた時期がありました。
ですが色々考えて考えた末に、私は彼を信じていこうと決めました。
この様な恋は人生で一度も経験した事がありませんでしたし、こんなに辛い気持ちになり、罪悪感に苛まれるような事は、もう二度と経験してはいけないと心に誓いました。
しかし、どうにもならない彼との関係に苦しくて涙を流してしまう程、いつの間にか好きになってしまっていて、こんなに強い思いを持ったのはこの時が初めてでした。
二度としないと決めた、でもこの時感じたこの思いだけは、いつまでも大切にしていこうと思っています。
N481著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
今回は、「好きになってはいけない人を好きになってしまった」女性の恋愛のお話を書いていただきました。
専門学生時代にアルバイト先で出会ったAさんとBさん。
Aさんとは趣味が同じで話もよく合っていましたが、Aさんには彼女がいたので恋愛対象外。そして当時、女性はBさんのことが好きでした。
ある日、好きだったBさんが職場の人と付き合い始めたことを知り、女性はその日以降Bさんと話せなくなってしまいます。
そのショックを紛らわすようにAさんと話すようになっていた女性は、次第にAさんを意識し始めます。
しかしAさんには彼女がおり、彼を好きな気持ちと叶わないと分かっているから捨ててしまいたい気持ちで押しつぶされそうになります。
女性は自分の気持ちを伝えて彼から降られることで、この恋愛に終止符を打ちます。
しかしある日彼から呼ばれ、彼女と別れたので付き合ってほしいと告白され付き合うことになったのです。
好きな人と結ばれ嬉しい反面、彼の前の彼女への罪悪感と彼への不信感も抱いた時期もあり、このようなことは二度と経験しないよう誓うのでした。
既に相手にパートナーがいるのに好きになってしまう複雑な心情が、とてもリアルに表現されています。
純粋に相手を好きになるだけでは経験できない、辛くもどかしい気持ちが鮮明に伝わってきます。
表現力が豊かな素晴らしい作品に仕上がっています。
検収者 kitsuneko22
②kitsuneko22-10