自分だけ知らずに舞い上がっていた先輩・・・。ちょっと気の毒な恋

職場で

ヒロシはリカと職場で出会って、部署は違っていたけど付き合っていた。

交際は順調だった。

ヒロシより5つ年下のリカは、愛嬌が良くおっとりしていて、癒し系で、かなりモテて既婚の先輩からもよく食事に誘われていた。

リカは誘いにのって食事に行っていた。何もないと彼女を信じていたから、ヒロシは容認していたし、あまり深く干渉し合わない仲だった。

職場の人達は二人が付き合っていることは知らない。

ヒロシとリカは仕事が終わると、いつも決まった場所で待ち合わせをして二人の時間を楽しんだ。

隣りの席の先輩

ヒロシの隣で仕事をしている先輩。

彼は既婚者で、子供もいる。細身な体型から強さは感じない、いつも落ち着いていて、性格は優しく、ヒロシからしてみると良き先輩で尊敬している。

そんな先輩が最近、様子が変だ。仕事中もソワソワしていて、しょっちゅうメールのやり取りをしている様子だ。なんだか嬉しそう。

ヒロシは気になって

「彼女ですか?」

といたずらっぽく言った。

「まさか!奥さんだよ!」

なんか怪しい・・・。

お誘い


ある日、先輩はもう我慢できないという表情で、

「気になる子がいてさ、一回でいいから飲みに誘いたいんだけど、二人で行くのはさすがにヤバいから、ヒロシも一緒に付き合ってくれない?」

ヒロシは快く承諾した。

そして待ち合わせの時がきて、遠くからその彼女が見えてきた。

なんと・・・ヒロシの彼女、リカだったのだ!

ヒロシとリカはお互いにびっくりして、顔を見合わせてしまった。

ヒロシはリカに先輩と飲みに行くと言ってこの日は会えないと言い、リカは予定が入っていると言っていたのだ。

先輩のお気に入りがリカとは・・・。まあ、いろいろ声をかけられてる彼女だからわかるんだけど。

そして3人で飲んで楽しい一時を過ごした。でも、ヒロシとリカの仲を知らないではしゃいでいる先輩を見ていると、なんだか滑稽だ。

先輩と別れてから、彼女は

「そういえば最近、よくメール来てたんだ、たわいもない話ばかりだったんだけど、そのうち会おうよってメールがくるようになって。でもまさかヒロシの隣りの席の先輩だなんて思わなかった。こんなこともあるんだね!」

本気になって・・・。

先輩が落ち着かなかったのは、リカとメールしていたんだ!やっと繋がった。

それから、先輩のメールのやりとりの回数が増えていった。相手はリカ。

リカにメールをしていることは分かっているけど、ヒロシも知らないふりして様子を見ていた。

ヒロシは、リカにどんな内容のメールか聞くようになり、先輩に悪いと思いながらも、楽しくなっていた。

先輩はリカのメールに、どこかに出かけるたびに写真を送ってきたり、こんな場所にリカと二人で行きたい、とか・・・。

そのうち、リカに好きだというメールがくるようになっていた。

それに関しては、リカはスルーしていた。今さらヒロシと付き合っているとも言えない。ヒロシも好きな先輩なだけに、ヒロシと付き合ってると言ったらキズつくだろう、と悩んだ。

そしてその後も先輩の誘いで何度か3人で飲みに行った。本当に楽しそうで、うまくいっているような気分になっていたのか。

その後の先輩のアタックはだんだんエスカレートしてきた。メールの内容も、まさかヒロシも知っているなんて知ったら、先輩は顔から火が出るほど恥ずかしい思いをするだろう。

もちろん、立場的に妻子持ちだから、ヒロシには本気になったとは言えないのだろう。

ヒロシは、先輩に他の女性とも飲みに行こうと話を振ってみたけど、興味を示さない。今はリカしか眼中にない。

先輩は二人で会いたいとリカにメールしているようだけど、さすがのリカも本気になった相手と二人で会ったら、OKしてるのと一緒だから合わない方がいい、ヒロシのよき先輩だから失礼な態度もとれない、と考えていた。

転勤になって

そうしているうちに、3ヶ月が経った。

先輩は転勤になった。ヒロシもリカもびっくりしたけど、丁度良いタイミングだったのかと思った。

メールで本当の事を言っても顔を合わせることがないから、気まずい雰囲気にはならないかな、と。先輩をキズつけてしまうことには変わりはないけど。

そう考えているうちに、ヒロシとリカが付き合っていることが少しずつ社内に広がっていった。と、いうことは先輩の耳にも入っているのか・・・。

こんな事実を知った時の先輩、自分だけ知らなかったと私たちを憎むのか、ただ恥ずかしい思いをさせてしまうのか・・・。

それよりも、もっと早く言ってくれよ!と言われたかもしれない。

その後の先輩の情報は誰からも聞けない・・・。

 

hyuuga著

 

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