結婚を考えている彼と中々進展しない。そんな時に出会った人とは。。

新しい職場

私は二十歳の時、製造業の会社で働いていた。

町工場で、男性はみな職人気質で、気性も荒いし、言葉使いも荒い。女性は2人くらいしかいない。

建物も、昭和の雰囲気満載の、半分家、半分工場、と言った造りだった。

工場の中はうす暗く、太陽の光は射さない。油っぽい匂いが漂っていた。

私は検査員として入社した。以前事務職を少し経験したが合わず、トラウマとなっていたため、検査要員で探していたら自宅のすぐ近くだったので応募したのだ。

定時が5時までで、当時彼氏が居たので、彼氏が休みの日は急いで帰って、彼氏に会いに行った。

そんな感じで、入社してから1か月が経ったある日、事務員さんが突然連絡もなしに出勤してこないと聞いた。

とりあえず人が居ないから、と事務所に呼ばれて手伝ったのだが、しばらくしても元の事務員さんは来ることはなく、何と私はそのまま事務員となってしまった。

トラウマがあった私は毎日不安だった。

ここより前に事務員として働いていた事があり、先輩にわからない箇所を聞くと、2回目以降は『前も教えたでしょ』と言われてしまい、うまく教えてもらえず、仕事が覚えられなかった事がずっとトラウマだったので、結局その職場は3か月で辞めてしまった。

だから事務ではなく現場の仕事がいいと思っていたのだ。

しかも今回は、本来なら引き継ぎをしてくれるであろう先輩は突然来なくなったわけで、教えてくれそうな人が居ない。

私は『3か月持てばマシか。。』とひそかに心の中でつぶやいた。

それからの日々は、わけがわかない状態でどんどん進んでいった。

兄貴的存在

事務所には私の他に女性が1人と、男性が3人ほどいた。

その中の一人の先輩が同じ高校の出身だとわかった。私より8つ年上だ。名前はIさん。

見た目はチャラそうで、少し怖そうで、しゃべるのに勇気がいったが、話してみるとすごく優しかった。人生で出会った男性の中で、一番優しいと感じるほどだった。私は自分より上に兄弟がいないので、お兄ちゃんが欲しかった。Iさんはお兄ちゃんのようだった。

その頃私は、3年半付き合っていた彼氏と結婚するかどうかの瀬戸際に居た。なぜ瀬戸際だったのかと言うと、結婚の話はでたものの彼の結婚へ対する気持ちや考えが全然わからなかったからだ。

そんな事もIさんに相談したりしていた。Iさんも彼女が居るらしい。まだ付き合って5か月。

彼氏からはこれと言ったプロポーズがあったわけではなかったので、それを踏まえてIさんに相談すると、『俺ならどんなプロポーズにしようか、一週間は悩むけどなぁ。。』なんて言ってくれた。まだ結婚は考えていないようだったが、Iさんの彼女を羨ましく思った。

兄貴から恋愛感情へ

それから数か月が経って、その頃には彼氏とIさんの事あるごとに男気を比べてしまうようになっていた。そして次第に恋愛感情へと変わっていった。私には彼氏がいて、Iさんには彼女がいるのに。。。

クリスマスの季節になった。

街はクリスマスソングが流れ、キラキラとしている。

いつもなら彼氏に何をプレゼントしようか考えている時期だ。しかしその年はIさんの事で頭がいっぱいだった。

そしてIさんから告白されてしまった。とても嬉しかった。でも彼氏とまだ別れていない。

その頃にはもう彼氏と会いたい気持ちがほとんどなかった。もうこの気持ちは隠せないと思って、ついに彼氏に電話をかけて言った。

『好きな人が出来ちゃった』

彼氏は突然の事で、整理が出来ないからいったん電話を切りたいと言った。

しばらくするとまたかかってきて、同じ話をした。

彼『相手はどう言っているの?』

私『…告白された』

彼『断ってきなさい』

私『はい・・』

そんな会話をして、10分位で電話を切った。当時Iさんに対する気持ちは明らかだったが、別に彼氏を嫌いになったわけではない。別れたいって感じでもない。でもIさんが好き。

初めて付き合った彼氏だから、慣れているし私の事もわかってくれているけど、Iさんと付き合う事になったらうまくいくのだろうか。。やっぱり彼氏の方が良かったとなったらどうしよう。

初めての経験だったため、結論がぜんぜん出せなかった。

そしてIさんに返事をする日がやって来た。

『好きだけどお断りします。。』そう告げた。Iさんはとても残念そうだった。

私はそう告げた後、我慢が出来なくて、Iさんの前で涙があふれた。

そしてその場は別れた。

別れとはじまり

数日後、彼氏の家へ遊びに行った。彼氏は私に他に好きな人が出来たことで焦っていたのか私に近づいてきた。

するとついとっさに私は彼を突き飛ばしてしまい、泣きながら彼からグッと離れてしまった。彼を傷付けたに違いない。でもどうすることもできなくて、そのまま帰った。

それから彼は何事もなかったようにしてくれていたが、ついにその時がやってきてしまった。

その日彼からクリスマスの過ごし方についてメールが来ていた。

今まで彼からのメールはすぐに返していた事がほとんどだったのだが、どうやら私からの返事が遅くて不安だったらしい。『最近メールの返信が遅いね』と言われた。

わざとではなかった旨返すと、『もう無理です』と言われた。彼も精神的にいっぱいいっぱいだったのだろう。

3年半付き合って、結婚するかもしれなかった彼と、このメールを最後にあっけなく終わってしまった。

翌日私は彼に借りていたものを返しに行き、本当に終わってしまった。

年が明けて私はIさんと付き合う事になった。

 

kule著

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