この仕事をして半年程たった頃、後輩が出来た。仕事の出来ない後輩である。これは長く続かないかもしれない。私は仕事の成績が良く、入社半年で新人教育を任されるほどだった。後輩と初めて顔を合わせた日、直感でこの人と仲良くなる気がする。なぜかそう思った。まず座学研修。これは基礎を学ぶので全部署の新人が集まっている。ここには各部署の担当者が交代でサポートをしているが、私の後輩は寝ていた。(嘘でしょ。基礎覚えないでこれからの仕事どうするのよ・・・)心の中で不満が爆発しそうなところを抑えて、見回りついでに起こしに行った。本人は寝ていなかったフリをしていたが、バレバレである。

基礎研修が終わる日、休憩中に後輩と隣の席になった。休憩だから仕事の話はしたくないけど、心配すぎて仕事の話ばかりしてしまった。話の途中でLINEを開いて欲しいと言われ、開くと羅列した数字を言われた。意味が分からなくハテナを浮かべていると、番号を検索して登録してと言い仕事に戻っていった。理解出来ずその通りにすると、後輩のアカウントらしきものが表示された。連絡先の交換をしたかったらしい。まぁ連絡するかしないかは置いといて、登録はしておいた。

だがしかし、この日から鬼のように毎日連絡が来るようになる。最初は無視する事も多かったけど、くだらない会話が面白くて気付くと毎日電話に出るようになっていた。プライベートは楽しく会話をしていたけど、仕事は散々だった。人には向き不向きがある。恐らく彼は不向きの方だ。私の部署は研修期間が終わり本雇用になる前にこのまま続けるか辞めるかを選ぶ事が出来る。彼は辞める方を選んだ。

そして最後の日、たった3ヶ月で送別会と言うのも変だけど、ご飯に行く事になった。たくさん食べ、呑んで、ほろ酔い状態でいい雰囲気になり、一夜を共にしてしまった。やらかした。私はこういう一夜限りの関係は持たないと決めていたのに。このまま体だけの関係で付き合っていくつもりは全くない。関係はハッキリさせないと私生活に支障がでる。そう思い帰る前に聞いてみた。「私たちの関係って何?」すると彼は「じゃあ付き合う?」軽い。軽すぎる。最近の恋愛はこうなの?2年程、愛や恋から遠ざかってたから私が変なのか?でも前の恋は、彼に嫌われたくないって気持ちを1番にしていたから、まぁいっかって思える関係ぐらいがちょうどいいのかな。「いいよ。付き合おう。」そう返事をすると彼は目を丸くして「まじで!?今日から彼女?俺のって言っていいの?」想像と違うリアクションで驚いた。数日後、彼はあっさり再就職先も決まり、仕事終わりにご飯にいったり、休日には映画を見に行ったりした。たまに泊まってから次に日仕事にも行くようになり、週3日は彼の家から仕事に行っていた。

半年程たったお互い休日の日、彼が午前中だけ会社のレクレーションの参加があった。BBQをするだけだから、午後から遊びに行く約束をしていた。彼の家で待っていると帰宅した彼はとんでもなく酔っていた。「ちょっと飲みすぎた!少し休憩してから遊びに行こう!」と言うので、待っていたら結局夕方まで寝ていた。何を言っても起きないのでこの日は自宅に帰った。楽しみだった約束を破られた事が悲しいのに、夜に連絡をしてきた彼は何も思っていない様子だった。私はこの日から相手に期待をする事を辞めた。そしてどんどん好きな気持ちが離れてしまって、彼に触られるのが嫌になっていった。

そんな気持ちが続く中、体調を崩してしまい、病院に行こうか悩んでいた。もし治療が必要なら地元に戻る事も考えなければならない。その事を彼に伝えると「俺、遠距離は無理だよ。」私の中でサーっと言う音を立てて何かが去っていった。あ、これが人に冷める瞬間か。人に冷める経験をしたのは後にも先にもこの一回しかない。私は結果がどうあれこれ以上関係を続けるのは無理だと思い「分かった。別れよう。」この時の会話は彼にとっては冗談のつもりだったらしく、しばらく復縁を求められたけど断り続け、次第に連絡が来なくなった。私はあの時こう言って欲しかった。「大丈夫?心配だね。」別れ話は今する話じゃないでしょ。人に冷める事って本当にあるんだね。良い経験になりました。
w557著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
今回の作品は、仕事の後輩と付き合い冷めてしまった出来事についてです。
彼女が仕事をして半年経った頃に後輩ができますが、彼は仕事の能力が低く長くは続きそうもありませんでした。
研修中に寝ている彼に心配と不満の感情を抱きながらサポートする彼女。
プライベートでは楽しい会話ができる一方、仕事面では問題がある彼。
自分には合わないと悟った彼は仕事を辞めますが、最後の日に二人は一夜を共にしてしまい付き合うことになります。
半年ほどは付き合っていましたが、彼の言動に期待ができなくなる出来事が起こり、彼女の気持ちは離れていきます。
彼女が体調を崩し病院に行くことを悩んでいた時、彼からの言葉は彼女への心配ではなく「遠距離は無理」という自分本位なものでした。
彼は冗談のつもりだったようですが、彼女の気持ちは一気に冷めてしまい別れを決断しました。
最初は直感的に仲良くなれる気がしたものの、仕事面から垣間見えた彼の性格や考えの不一致から、徐々に関係に亀裂が入っていく様子が描かれています。
彼との関係に違和感を感じながら付き合う彼女が、いざ苦しい時に優しい言葉をかけてくれなかった彼に一気に冷めてしまう様子は、読者も共感するでしょう。
感情の描写がとてもリアルで素晴らしい作品です。
検収者 kitsuneko22
㉖kitsuneko22-10