出会いは”軽い男”
久しぶりに学生時代からの友人遥と夕食を共にし、懐かしいクラブに行ってみようと出かけた。まだ店の開店前と見え、人はいなかった。そこへ一人の男性が現れる。通りすがりに朋美の顔を見るなり「かっわいい!」。なんて軽い男なんだろうと朋美は思った。「ねえ、マスターが入っていいって。」と店の中から手招きをする。これが明人との出会いだった.
クラブの常連だった明人はスタッフや他の常連客とも親しい様子でノリ良くふるまっている。人気があるようだ。しばらくすると朋美たちのところへやって来て、スタッフよろしく飲み物の手配にまで気を配ってくれている。「ねえ、番号教えて。」朋美は軽く見られるのが嫌で断るが、明人は引き下がらない。根負けした朋美は「じゃあまた今度会えた時にね。」とかわす。
朋美は24歳、聡明で美しいが、心には複雑な感情を抱えていた。彼女には婚約者の祐介がいたが、近頃は祐介の浮気が原因で関係は冷え切っていた。明人もまた24歳、明るく温和な性格で誰とでもすぐに打ち解けられるタイプだった。親しくなるにつれ、彼は、朋美の表情から心の乱れを察し、自然と彼女に寄り添うようになる。いつしか二人の間には、互いの深い部分を理解し合える、不思議なつながりが生まれた。
-300x225.jpg)
切ない日々
明人の存在が気になったわけではないが、それからの朋美はクラブに頻繁に顔を出すようになった。もちろん携帯番号は明人に知らされた。自然と会話をすることが増え、客同士として親しい間柄となっていた。
朋美は明人と過ごす時間が増えるにつれ、彼への惹かれる気持ちを抑えきれなくなっていった。明人の優しさや理解に触れる度に、祐介との関係に対する疑問が深まる.一方で、彼女は「いけない」と思いつつも、明人の存在が自分にとってどれほど大きなものになりつつあるのかを感じるようになっていた。
やがて、店以外でも共に時間を過ごすことが多くなった。朋美と明人はお互いに惹かれ合い、気持ちを抑えきれず付き合うことになる。しかし、朋美は祐介との関係を清算することができずにいた。婚約者がいるという現実と、明人への強い感情との間で、朋美は深い葛藤に苦しんだ。一方、明人もまた、朋美が祐介との婚約を解消できないことに心を痛めていた。二人の関係に未来があるのか自問自答する日々を過ごす。

葛藤
明人のやさしさに触れ安堵感を覚えるたび、今の祐介は朋美に苦しみしか与えていないことを、その都度思い知らされる。そうまでして婚約をしている意味は何?私は明人が好き。朋美を見つめる少しはにかんだ微笑みも、ふと遠くを見る表情にも心がときめく。彼がいるから朋美は今、自分を保っていられる。朋美は自分自身と向き合い、祐介との関係に決着をつける決意を固めた。
明人もまた、朋美との関係について真剣に考えを巡らせる。彼は朋美が幸せになることを何よりも願っている。もし朋美が祐介との関係を続けることが彼女の幸せにつながるならば、自分は身を引くべきではないか。心苦しい決断ではあったが、明人は朋美への愛を胸に秘め、彼女との関係を終わらせることを決意する。

いとしさを胸に
ある週末の午後、海辺のカフェ。いつになく寡黙な明人。意を決したように口を開いた。「朋美、ごめん。僕たち別れよう。」思いがけない言葉に胸がつまる朋美。なぜと問いかけたいが、自分は婚約者のいる身。彼女の心は深い悲しみに包まれた。朋美は明人への愛情を改めて痛感すると同時に、彼が選んだ道を尊重するしかないと悟る。
明人は別れの後、自分の心を癒やすために旅に出る。朋美への断ちがたい想い。朋美を祐介から奪う力のなかった自分への失望。様々な心の葛藤を抱えていた。しかしもう、幕はおりたのだ。旅の後、新たな出会いが彼を待っていたが、朋美への深い感情は簡単には消えることはなかった。
朋美もまた、明人との時間を深く胸に秘めた。一度は明人のもとへと決断した身。心の苦しさは続いた。少し時が経ち、祐介との関係を見つめ直し、本当の自分自身の幸せを模索する旅を始めようとしている。明人、本当にありがとう。そしてごめんなさい。もっと早くに出会いたかった。私に自分と向き合う勇気をくれてありがとう。私自身のため、そして誰よりもあなたのために私は幸せになるわ。あなたがいてくれなかったら、きっと私の人生は成り立たなかったのでしょう。心から愛しています。そしてさようなら。
-300x200.jpg)
o648著


コメント
コメント一覧 (2件)
pr
今回の作品は、クラブで出会った男女の出会いについての物語です。
学生時代からの友人と久しぶりに出会い、懐かしいクラブに行くことになった朋美は、明人という男性に出会います。
明人はクラブの常連でノリがよく朋美にも積極的にアピールをしてきましたが、朋美は今複雑な感情の中にいました。
朋美には婚約者の祐介がおり、彼の浮気が原因で関係が冷めている最中だったのです。
そんな朋美の心情を察して明人は寄り添い、朋美もそんな彼に心が惹かれていきました。
しかしお互いに相手のことを考え、明人は朋美と別れることを決意したのです。
2人は悲しみの感情を感じながらも、明人は心を癒すための、朋美は自分を見つめ直すための旅に出るのでした。
複雑な人間関係の中、自分の気持ちと葛藤し相手を想う男女の関係が描かれています。
2人が本当に愛していながらも現実には難しい関係であるというところがとてもリアルで切なく、読者の共感を得ることができるでしょう。
最終的には相手を想い合いお互いに前へ進むという前向きな結末で、とても感動的な作品です。
検収者 kitsuneko22
⑰kitsuneko22-10