東京本社勤務

2,010年に福島から東京に引越して来ました。家族は私を入れて4人家族、長男と保育園に通っていた娘といつも世話しなくあちこち片付けしながら子供達に文句を言ってる奥さんです。
空調機メーカー東京本社に応援での配属です。
本社業務が暇になればまた福島に戻される予定でした。
職場まで社宅から電車に乗って40分、東京に出て来て半年になります。
さすがに朝の満員電車にも慣れては来ましたが、人混みが苦手なわたしは「あ~ァいつ戻れるのかな!」と独り言を!
寝言

そんな私より先に1人で本社の営業部に来ている男がいました。
彼もまた業務の応援と言う事で配属されたのですが、上司から可愛がられるタイプなのか、既に5年も本社におります。
親友でもある彼は、無口で大人しい30才の色白の好青年ですが、仕事は唯黙々とこなしていく男です。
同僚に対しても気配りが利く彼は、何となく女子から好意を持たれているのが分かります。
そんな彼ですから女子から自然とデートに誘われて、関係を持つことに!
そんな彼女たちもある事を期に彼のことを話したがらなくなってしまいます。
何人かの女性が彼の寝顔を見ながら、「えッ!どうしたの・・。」
どうしようも無く「うるさい」と言うんです。
何がって聞くと「わたしに話しかけているのかな!」と思っていたら
「寝言を言うのよ!」「そのうち寝たかなー!」と思い私もウトウトするとボソボソとまた始まるの!
こんどは「怒ったり、笑ったり!」
「寝言がはじまるのよ!」
黙って、わたし部屋から出てじぶんチにかえったわ!
普段から物静かで優しくニコッとする彼からは想像も付かないのでしょう。
その後も何人かの女子が彼の寝言で退散したそうです。
幼馴染み

親友の彼とは小学1年の時に席がとなりだったことから一緒に帰るようになりました。
そんな彼とは小学校から中学まで一緒でしたが、もうひとり一緒の女の子がいました。
クラスは別でしたが、帰り道が同じだったことから、よく3人で川沿いの歩道を一緒に歩いて帰りました。
福島の春は桜がそこら中に咲き乱れて、満開の時期には近郊から多くの観光客が観に来るほどです。
川沿いの桜の花びらで敷き詰められた道をじゃれながら歩くと、そこは桃色の夢の国のようでした。
季節に拠って色んな花や虫達が私たちを楽しませてくれました。
麦茶の入った水筒

最初に声を掛けたてきたのは彼女でした。
小学校の2年生の時遠足があり2年生みんなで近くの野原を自然観察みたいな理科の課外授業です。
3クラスのそれぞれ担任の先生と教頭先生が付き添って、風景画を描いたり虫や野草の標本を採ったりして教室に戻るとそれぞれ集めた物を調べてノートにまとめるのです。
お昼になったので近くの広場でお弁当を食べることになり、みんなお母さんに作って貰ったのでしょう、色とりどりのお弁当箱に色んなおかずが入って美味しそうです。
私は水筒を忘れてしまい、「あー!水筒忘れた!」といってモグモグ
おにぎりを食べていると近くにいた彼女が「飲んでいいよー!」って私に水筒を差し出すのです。
チョット驚いた私でしたが、嬉しくてキャップに中身を注いで飲みました。
それはほんのりと甘い麦茶で、すごく美味しかったです。
どんなふうに水筒を返したか、覚えて居ないのですが、
彼女のニコッと笑った口元に、何とも言えない可愛らしさが忘れられません。
さすがにその時は、恋するとかは無かったのですが、優しいな!と思いました。
学校の帰り道では、どちらかと言うと彼女と私がよくお喋りをして、親友の彼は二人の話を聞いてよく笑っていました。
突然の別れ

月日は経ち、中学までは僕達は一緒の学校だったのですが、
高校生となって彼女が親友の恋人だと知った時は以外に思いました。
それまでは何にも彼女の話はしていなかったのに、突然「なっちゃん(奈津)と同じ大学に受かったんだ!」と嬉しそうに言うのです。
そう言えば私は自分の彼女についてばかり話して、彼のことは聞いていなかったんですよね。
そう、彼は自分の事より先に相手の事を考えるタイプなんです。
事故
「大型トラックが2人乗りのオートバイを巻き込んで男女とも重体!」
忘れられません。地元の新聞記事で知ったわたしは、心臓が停まるかと思えるほどのショックで呆然としたことを!
直ぐに病院に駆けつけましたが、手術直後だったせいかその時は面会出来なかったのです。
2日目にようやく会えるとのことで病院に行ったのですが、先生に彼女が亡くなった事を聞かされてただ、ただ涙が止まらなくて、力が抜けて!
私は、彼の顔をまともに見ることが出来ず、看護婦さんに会に来たことを伝えて貰ってその日は帰りました。
事故現場は大騒ぎだったようです。
大型トラックの運転手は信号待ちで止まっていましたが、青になったのでしばらく走ったようです。
後ろからでかいダンプカーがクラックションを鳴らしながら追っかけて来たので驚いて停止したようです。
ダンプの運転手が「テメー!何で逃げるんだ!」って怒鳴ったら、トラックの運転手は「何があったの!」って顔をしていたようです。
大型トラックには色んな鉄製の材料や工具が入れられてガタガタうるさかったせいか、オートバイと折衝した事も分からなかったようです。
親友は止まっているトラックの左側横をすり抜けて先に出ようとしたようですが、
左に緩くカーブしてコンクリートの壁沿いだった事もあり2人とも挟まれたまま引きずられてしまったのです。
その年二人は東京の大学に在学中でしたが、2人で帰省したときの事故でした。
再会
高校卒業して私は地元の企業に就職していました。
自分の希望する大学に入れそうも無かったし、母子家庭だったので母親に負担をかけたくなかったのです。
親友とメールでやり取りはしていましたが、直前まで地元のしかも私と同じ会社に就職が決まったことは知りませんでした。
彼の中では地元に居たいと言う想いが強かったようです。
しかし、今では親友と一緒に東京の本社勤務となって、「東京も悪くないな!」なんて言い合っているんです。
桜の花のジュウタン

あるとき、親友に寝言の件を尋ねたら「そうらしんだよ!自分では分かんないけど!」
「いつから寝言を言うようなったんだよ!」と尋ねると・・・・彼はしばらく遠くを見て
自分のことは余り話さない男が「なっちゃんのお母さんが、あれから会ってくれないんだ!」
わたしは「そうか!」とせか言えなかったです。
東京のビジネス街を歩きながら
「4月に一度実家に帰るんだけど、一緒にこないか!」
と誘うと「そう言えば、ここ何年もご無沙汰だ!つきあうよ!」
と言ってくれました。
桜の絨毯をまた一緒に歩けるなと、ふと思いました。
yasuo著

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