日曜日の休日
彼女と付き合いだして約2年
今までに浮気などといったもつれごともなく交際は順調に進んでいる
日曜日のデート。彼女が所望したイタリアンを食べ
それなりに美味しく腹も満たされご満悦の彼女。
食後の軽い運動がてらそのへんをぶらぶら歩いてると大きな公園を発見。
ベンチで一休みすることにした。

周りの風景に目を移しながら他愛もない会話を交わす。
視界の先には休日とあってか幼い子を連れた若い夫婦が目立つ。
子ども好きの彼女はヨチヨチ歩きの幼子を見ては微笑ましそうに笑っている。
僕も同様に微笑ましく見ていたが
彼女と一緒にいるからこんな風に眺めていられるけど
ひとりの時ならばそこまで興味を示さなかったことだろう。
子どもを見ていると自然と会話の内容もそうなった。
子ども頃の夢ってなんだった?
幼稚園の先生と答える彼女。
実際その夢は果たせていないが彼女らしい答えだと思った。
僕は野球選手と答えた。
まぎれもない憧れだけの夢に終わっている。
日曜日のおだやかなこんな天気のいい日にはそんな会話がぴったりはまっていた。
彼女の言葉にドキッ
会話のつながりというのは恐ろしい。
子どもが成長するかのように会話も成長を遂げる。
子どもの頃の話から学生時代、仕事の話そして将来の話・・
彼女は一定のペースで話を続けている。
ねえ。
と発した後に続いたセリフも同様だった。

「ワタシと結婚する気ある?」
何気なく口にしたように聞こえる
しかしその言葉に僕のペースは乱れ始めた。
彼女の表情に変化はみられないが
目の奥には真剣さが感じ取れた。
彼女の言葉にさらにドキッ
彼女の口から結婚についての話を振られたのはこれで二度目。
一度目は旅行先でだ。
あんなにはしゃいでいて楽しんでいたのにお酒が入ったせいか
彼女からその質問が出て僕はその質問に不機嫌になって
言い合いになって
そのまま翌日まで持ち越してしまい
旅行先での楽しい思い出を見事に塗り替えたのだった。
僕としては言われたくないキーワード堂々の1位。
なぜ言われたくないかと言われると
お金の問題が一番に頭に浮かぶ。
自分が派遣社員で経済力の低さに負い目を感じてしまうし
結婚すれば自分の人生がもう自由じゃなくなったような気がする
彼女のことは好きだけど人生をかけるとなると気が重い。
そうなると恋愛というのは人生がかかっていないからできるのかもしれない。
彼女もそれを言うと僕が機嫌が悪くなるのはわかっているだろうに
なぜ蒸し返すかなと言い返そうとしたところに
「実はさあ叔母さんからお見合いすすめられてんだよね」
思いがけない重いキーワードが彼女の口から飛び出した。
縁談話

お見合いなんて今どきする人はいないと思っていた。
一昔前のドラマのワンシーン。
そのワンシーンにまさか自分が登場するとは。
「その話はもう決まってんの?」
僕は動揺を隠して彼女に訪ねた。
はあ~!?なに言ってんの?そんなもん断るに決まってんだろうが!!
とこういう時こそオラオラ強く主張できない自分が情けなく思えてくる。
「まだはっきりと決まってるわけじゃないよ。私の返答次第だから。
あんたももうすぐ30なんだからそろそろ身を固めた方がいいよって言われてさ」
言っていることはわかる。
彼女とは同い年だが
女性の30って男の30とは訳が違うとなんとなくわかる。
「ちなみに相手はどんな人?」
興味本意で聞いてしまう。
「34歳の公務委員だって」
公務員。
将来安定の職業。
「どう思う?」
どう思うって・・・
「、いい話だよな」
「それで?」
「それで、」
「それでいいのかって聞いてんの」
彼女の目が僕を貫くように見据えている。
僕はなんと答えたらいいのか言葉が出てこない。
「もういい」
その後彼女は徐々に機嫌を直していったのだが僕にはわだかまりとなって
心にこびりついていた。
幸せを願う

彼女からのお見合い発言から2ヶ月以上経とうとするが
その後どうなったのかは彼女の口からは語られていない。
なので聞いてみることにした。
一応行ったことは行ったらしい。
しかし断ったという。
理由を訪ねてみると顔がタイプじゃなかったからとかなんとか。
なんだそれと僕は笑った。
ほっとした笑いだったと思う。
でも彼女の幸せを願うならば・・・。
「安心した?」
彼女は明るい表情を向け僕に答えを求めてきた
「もったいないことしたな」
僕は笑って返した。
「心配した?」
「心配した。心配しすぎて腹が立ったから合コンに行ったし」
「は?なにそれ」
彼女から一気に表情が消える。
「どういうこと?」
「いやそういうことよ」
「マジで言ってんの?」
うんともああともとれない返事を返した。
「信じられない」
「信じられないって見合いに言っといてよく言うよな」
彼女はキッと僕をにらんでいる。
そんな怒りがこもった眼差しで見つめられるのは苦しいものがあるが
僕は余裕の表情をかますことにつとめた。
ウソをつくのは得意じゃないから。
わがままだろうか
僕では幸せにできないけど彼女が幸せになってほしいと願うのは。
fromu著



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