長くて短かった一年、、彼の気持ちはどうだったのだろう。

出会い

中学三年の新学期、ドキドキの新クラス発表。

前の日からずっとソワソワして、寝つきが良くなかった。

寝不足気味。でもクラス発表当日は緊張して目が冴えていた。

(またあの子と同じクラスがいいな。。またあいつも同じだったら最悪!)

などと、中学最後のクラス替えだったから、緊張と不安は去年より一層だった。

クラス発表当日、中庭に張り出された掲示板に、新しいクラス名簿が掲示されていた。

仲の良かった友達の名前があって、とりあえず一安心。

知らない名前もたくさんあったが、その中に前から気になっていたKの名前があった。

自己紹介

Kは成績優秀、部活動でも活躍していて、学校でも表彰されていたから、名前は知っていた。

いわゆる爽やか系男子でKに憧れている子は多かった事も知っていた。

新クラスになってから、一人ずつ順番に自己紹介をした。

各一人持ち時間最低2分。

引っ込み思案で大勢の前で話をすることが大の苦手だった私は顔をほてらしながら

頑張って話した。

それから、皆が自己紹介をしていくうちにKの番がやってきた。

Kは明るくハキハキとした喋りで自身の特技や趣味など面白可笑しく

話していた。

私自身も笑わせえもらって、Kの第一印象はとても良かった。

席順が初めは出席番号順であったので、出席番号が近い私とKは偶然にも

隣の席になったのだ。

忘れ物

 

 

 

 

 

はじめ一週間は何も話さなかった。

ある日の二時間目の国語の授業。

授業の予鈴がなった。

いつもの様に教科書やノートを机の隅に寄せて、

先生が来るのを待っていた。

するとKが「やばっ!教科書忘れた・・」と呟いた。

けれど独り言っぽかったし、だからと言って自分から貸してあげるよ。

とは言えなかった。

授業が始まって少ししてから、現代文の内容を段落ごとに一人ずつ順に読むことになった。

Kの番が回ってきた。

先生:はい、次。

k :教科書忘れました・・

先生:じゃあ、○○さん(私)席くっつけて見せてあげて。

そういわれ、互いに机を寄せ合うとKがごめんねとつぶやいた。

まだ好き。とまではいかない感情だったけれど、ちょっぴりうれしかったのを覚えている。

授業が終わって元の位置に机を戻すとき、

「ありがとね。さっきめっちゃくちゃ焦った笑」と言われた。

それがきっかけでKとは隣の席ということもあり、割とよく話すようになった。

でもKは女子に人気。人に噂されたり、嫉妬されたりすることが嫌だった私は積極的には

話しかけることはできなっかった。

いつもKが話題を振ってくれて、それに答えるくらいだったけれど、

とても楽しい日々だった。

その頃から私はKの事が好きだったけれど、自信もなっかったし、人に妬まれたり

することが嫌だったから何も行動することもなかった。

暫く経って席替えをしてからKと話す機会も減っていった。

準備

何の発展もないまま半年が過ぎようとした。

秋にある文化祭でクラスごとに発表する展示物等の作成に

連日追われた。

文化祭まであと少しだったが思うように作業が進まなかったので、

放課後も使い作業した。

放課後残って作業するのは文化祭役員や部活動などに所属してない数人ほどだった。

原稿用紙に発表する記事を一人で書いているときに

Kが机に来たのだ。

Kはいつも部活動で忙しく、放課後準備には参加してなかったのだが、

この日は居たのだ。

「どんな感じ?」

作成途中の原稿用紙を見せて感想やアドバイスをもらった。

久しぶりに話したので緊張してずっとドキドキしていた。

告白?

久しぶりだったので嬉しくてテンションが上がってしまい、原稿そっちのけで

いろいろ話をした。

話していくうちに何故か恋愛の話を振られ、Kに好きな人はいないのか?と尋ねられた。

まさかKとそんな話をするとは思ってもみなくて、内心驚いた。

(いるよ、好きな人。目の前に・・)そう言いたかったけれど内気な性格から

そんなこと言えるはずもなかった。

「いるわけないじゃん。いそうに見える?笑」と答えた。

Kは小さく、そっか。と言うと、

「俺ずっと周りに好きな人居ないって言ってきたんだけど、そうじゃないんだよね。」

と小さくつぶやいた。

教室には数人しかいなかったし、他の人との距離もあったから、小声で話さなくとも

誰にも聞こえなかったと思う。

自分自身好きな人は居ないと言ってしまったし、聞いて自分じゃなかったらショックだったから、

「へえ、そうなんだ。じゃあ早く告白しないと卒業しちゃうよ」と

素っ気なく返してしまった。

それ以降の会話はあまり覚えていない。

それから彼からも話しかけてくれることはなくなった。

卒業

春。

卒業間近、いつもの様に下校しようと下駄箱を開けると、

紙切れが入っていた。

メッセージはKからで式が終わって○○ごろに指定した場所に来てほしいという内容だった。

当日。

友達との記念撮影や雑談で1時間ほど約束の時間に遅れてしまった。

もう居ないだろうと思いながら、着くとKがまだ待っていてくれた・・。

「ごめんね、遅くなって。」

Kは

「もう来ないかなと思ったけど、待っててよかったわ笑」と苦笑いを浮かべながら言った。

そして渡したいものがあると言うと、制服につけていたボタンを渡した。

待ってくれている間に取っていたのだろうか。

良く見るとそれは第二ボタンではなく、第三ボタン。

受け取ってすぐ何て言ったらよいかわからず、黙っていた私に

彼は

「俺もうすぐ引っ越すから、貰ってほしい」といった。

その時になってやっと両思いだと確信はしたが、まだ中学生。

彼は4月から遠く引っ越す事が決まっていた。

中学生が遠距離恋愛だなんて。

そう思ってしまったのが伝わってしまったのか、彼もはじめからそう思っていたのか

「じゃあ、またどこかで会ったら!」と言って帰ってしまった。

あれ以来もう彼とは会っていない。

暫くは、何故ずっと素っ気ない態度だったのかと後悔していた。

けれど十数年たち、大人になった今、あの時の思い出はとても大切なものとなっている。

その後上京したという話を聞いたがそれ以降の事は何も知らない。

彼が最後に言った

またどこかで会ったら、

あの時の気持ちを正直に話したいと思う。

そしてなぜ第二ボタンではなく第三ボタンだったのか

その真意も聞いてみたい。

 

kyouko著

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