地味なA子といたずら好きなT男

これは私の友人A子のお話です。
中学時代クラスが一緒になり、そこから仲良くなったA子。
彼女は控えめな性格でとても優しい子でしたが、お洒落などにはあまり興味がないらしく、少し地味な印象がありました。
そしてそんなA子を執拗にからかう男子が一人いました。
T男というその男子は、女子には誰にでもちょっかいを出すようなお調子者タイプ。しかし、A子相手にはその傾向が顕著に表れているように見えました。
普段から何かと絡んでくるT男にA子は日頃から不満を抱いており、事あるごとに私に「あいつウザイよねー」と愚痴を漏らしていました。
ある日のこと。私はT男とT男の友人が話しているのをふと耳にしました。
「A子さー、こうした時の反応すっげー面白いんだよ(笑)」
「A子って地味だよなー。そういうこといじると怒るんだよあいつ(笑)」
陰で自分の友人を笑っているのを聞いて私はとても不快でしたが、ずっとA子のことしか話していなかったので、「小学生みたい……本当は好きなんじゃん(笑)」と内心可笑しく思っていました。
美容の道へ

中学卒業後、私とA子は別々の高校へ進学しました。
「私、将来美容師になりたい!」
そう言って美容師の道へ進んだA子。
「そういうの興味あったんだ!」
「うん!中学は校則守ってただけで、家ではメイクとかファッションとか勉強してるよ!」
友人ながら何も知らなかった私ですが、「A子なら絶対なれるよ!」と友人の頑張りを応援しました。
それからはお互いに時間も合わず、携帯で連絡は取り合っていましたが、直接A子と会う機会はなくなってしまいました。
久々の再開

月日も流れて成人式。久々に同級生たちと顔を合わせることができる日。
中でもA子とはしばらく会っていなかったため、お互いに晴れ姿で会うのがとても楽しみでした。
成人式の会場は久しぶりに会う同級生たちが再会を喜び、とても賑やかな雰囲気でした。
そんな中、一人私のほうへ手を振って近づいてくる人がいました。
「おーい!久しぶりー!」
一瞬誰だ?と顔をよく見る私。
それは中学時代からは想像がつかないほど綺麗になったA子でした。
きっと誰が見ても、それがA子だとわからなかったと思います。同級生たちも声をかけ、初めて気づいた様子でした。
次第に皆驚いてA子を取り囲み「すごい!」「綺麗!」と場が盛り上がっていました。
そんな盛り上がった雰囲気を見に来たのか、派手な袴を着た集団が近づいてきました。
「君たち何やってんのー?俺たちも混ぜてよー(笑)」
いかにも場を茶化しに来ただけの感じの悪い集団。
そして、その集団の一人がA子を見て声をかけてきたのです。
「え?お前A子なの?俺のこと覚えてる?すげー可愛くなってるじゃん!これから遊び行かない?」
「T男ー!何ナンパしてんだよー(笑)」
T男の名前を聞いて周辺にいた同級生たちは驚いた表情をしていましたが、A子だけは表情一つ変えずT男にこう言い放ったのです。
「え、あなた誰ですか?」
一瞬キョトンとするT男。それでも話を続けようとしていました。
「T男だよ!俺のこと好きだったんだろ?あれだけ仲良くしてたじゃん!」
今度は周りがキョトンとした顔になりました。
それは昔からT男がA子にちょっかいを出しているのを皆知っていて、誰も仲がいい様には見えていなかったからです。
「私はあなたのこと全然知らないし、もう彼氏いるんで。ごめんね。」
大勢が見ている中そう言い放つA子。
あまりにスカッとする振り方に次第に周りからクスクスと笑い声が聞こえだし、T男の友人がT男に慰めの言葉を入れていました。
「ドンマイ!まあ、元気出せよ(笑)」
「うるせーよ!(笑)」
互いに笑いながらじゃれ合っていましたが、一瞬T男が悲しそうな顔でA子を見ていました。
最高の笑顔

しばらくした後、周りの女子達がA子に声をかけ、また賑やかな空気に戻っていきました。
「A子かっこいいー!」
「どんな彼氏?ちょっと写真見せてよー!」
大勢の前で爽快にT男を振ったA子はその日、女子達の注目の的になっていました。
(本当に好きだったんだなぁ。でもさすがにあれは告白下手すぎる(笑))
昔聞いたT男たちの会話を思い出しクスッと笑う私。
しばらくしてからこっそりとA子に聞いてみました。
「T男のこと、本当に覚えてないの?」
するとにっこり笑いながらこう言いました。
「ぜーんぜん知らない(笑)そんなことより、今度また久々に遊びに行こうよー!」
その時に見た彼女の笑顔は、今までで一番輝いて見えました。
aoyama著









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