同じサークルの先輩に片想いをする。
探せばすぐ見つけられるぐらいの定番な恋愛シチュエーション。
だけど今回はちょっと特別な片想い。
涙を流し、自分に怒り、誰かを愛する苦しさを教えてくれた。
あの時を振り返ろうと思う。
冷たい夏
さとみさん!タイムお願いします!
え、嫌、、
なんでですか!お願いしますよ~~
走り終えた後、いつもいじわるされてたことを覚えてる。
同じ陸上サークルの1個上の先輩。僕が選手で、さとみさんはマネージャー。
ノリもよく、みんなといつも笑い合ってる明るい人。
多少のことには動じず、みんなを支えるしっかりした一面もある。
眠い時は不機嫌で、お酒の飲み方は少し汚い。
ほんとにこの人女性かってたまに思う。
これ聞かれたらたぶん怒られる。
仲良くなった時から雑なパシリ扱いしかされたなかったけど、
いつしかそうやって絡んでくれる彼女に嬉しくなってる自分がいた。

さとみさんに僕は一度もう振られてる。
夏合宿。サークルの合宿は本当に自由だ。
ある夜にコンビニ行きたいと誘った。
さとみさんは抹茶アイス。
僕はマンゴーアイス。
二人で夏を満喫しながら、思いっきり笑顔で伝えた。
さとみさん、大好きです。
先輩としてではなく、一人の女性として。
だからあの、、付き合ってください!
彼女は少し目を丸くした後、
うん、ごめん。あつしに怒られるよ?
そうですよね。知ってます。
当たり前だ。
さとみさんには彼氏がいる。あつしさんがいる。
まあそんなもんだよな。
スッと諦められたら、幸せだったんだと思う。
けどすんなりと無くなってくれないもんだ。
苛立つ冬
後期の授業が始まった。
あれからさとみさんとは電話する仲へとなった。
お互いのお悩み相談という名目だけど、ほんとはただ諦めきれなかっただけ。
普段話してこなかったことをたくさん話した。
フランス語のレポートが気が狂うほど厳しいこと、アルバイトの店長にムカついたこと、実はお互いインドアだったこと、意外とロマンチックなサプライズが好きなこと。
15分だけのときもあれば、深夜2時まで話すこともあった。
電話をするときは、まるでさとみさんを独占できている気分だった。
その場限りの幸せを感じた。何も現実は変わってないのに。
肌寒さが深まった頃、なんとなくさとみさんの元気がない気がした。
曖昧な返事ばかりで、いっさいおれをいじってこない。
何かあったんですか?
ううん。何もないよ
何もないわけないじゃん。イラっとした。
嘘つかないでください。できることなら話聞きますから。
ありがとう。
あのね、あつしのこと好きかわかんなくなっちゃったの。
ぶっちゃけチャンスだと思った。
別れ話にもっていけるかも。
さとみさんが自分に向いてくれると思った。
けどそんな恋愛は求めてない。さとみさんは求めてない。
正しいのかわからないちっぽけな正義感が働いた。
溢れそうな想いを抑えて、ゆっくり何があったのか話を聞いた。
涙を流しながら、話してくれた。
あつしさんへの愛の強さとそれが崩れるそうな不安をずっとずっと話してくれた。
あぁ、こういう真っすぐなさとみさんを好きになったんだな。
話は正直全く入ってこなかった。
ただぶつけようのないストレスが溜まり、それは憤りへと変わっていた。
一通りさとみさんが話し終えた後、自分が発した言葉に驚いた。
だったら僕が幸せにします。
さとみさんのこと幸せにします。おれまだ諦めてません。
なんでここでもう一度想いを伝えちゃったんだろう。
後悔した。怒られる。嫌われる。
すぐに思った。
けど返ってきた言葉に、僕はもっと驚かされる。
もっと早く出会いたかったよ。ぶっちゃけね。
なんで。なんで、いまなんだろう。
どうして。どうして、、
さとみさん、ダメですよ。
また連絡しますね。今日はゆっくり寝てください。
半ば半分、電話を切った。
つけていたイヤホンを外し、ケータイを置いた。
そして泣いた。
わけもわからず泣いた。
声をあらげて、泣いた。

あれからさとみさんとの電話は一度もしてない。
サークルでも必要最低限の会話だけ。
さとみさん、タイムお願いします
うん、ベスト近いじゃん。調子出てきたんじゃない?
いつものいじわるも無くなった。
お互い笑顔で会話する。けど心は思いっきりひもで縛られるばかり。
偽りなく話したいと何度も思った。
別れの春
卒業式。
例年より早く咲いた桜が、卒業生の心を洗う。
まだ慣れてないスーツを着た僕に対して、深く鮮やかな緑と牡丹の袴姿を来たさとみさんは、笑みがこぼれるほど綺麗だった。
さとみさん、きれいですね。めちゃめちゃ似合ってますよ
本当に?お世辞でしょ。
久しぶりにいじわるされた。
少しの安心と別れの寂しさを感じた。
もう最後ぐらい信じてくださいよ!ほら、写真撮りましょ。
一生もう会えないわけではないけど、さとみさんがいないサークルはまだ信じられない。だからこそ最後は笑顔で終わりたくて、満面の笑みでツーショットを撮ろうと思った。
私も大好きだったよ。約束する。
びっくりした。
隣を見ると、彼女は優しくほほえんでいた。
気づいたときには涙が流れていた。
僕も大好きでした。幸せな時間を過ごせて嬉しかったです。
さとみさん、幸せになってください。

これは忘れることのない大切なひと時。
必ず幸せになれる愛なんてない。ただ愛は人の幸せを生む。
nokpopo著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
nanashirodesuさん
初めての投稿記事を作成して頂きまして有難う御座います。
それでは検収をさせて頂きます。
作品はロマンティックな雰囲気で作者の個性が溢れています。
大学のサークルで先輩の女子学生に恋する男子学生の思いを謳った作品ですね!
彼氏のことで悩みながらも彼女は、後輩思いの優しい先輩です。
そんな彼女に惹かれて行く後輩の男子は、切ない思いを募らせながら卒業を迎えます。
2人にとって掛け替えのない一時が過ぎようとしています。
学生時代の爽やかで切ない思いを魅力的な作品にして頂きました。
有難うございます。
それでは今回の検収をこれにて完了と致します。
次の2記事目も全く同じ様に投稿して頂く事に成ります。
契約はこのまま続行致します。
また投稿記事の連絡メッセージと同時にクラウドワークス側の納品書記入チェックをして頂くとシステムがスムーズに進行致します。
最後に双方の評価の記入もお忘れの無いよう宜しくお願いします。
次回の投稿記事も楽しみにお待ち致します。
井上保夫