僕の名前はKと言います。この春中学校へ入学したばかりで、勉強や友人関係に不安を感ていた。

部活動も決まり毎日猛練習の中、同じ部活の女子部員2人、名前は1人がA子と言い、もう1人の子がO美と言います。
この日は、女子部員が行う部の仕事を担当する番の2人…その2人の姿を1つ上のT先輩が見かけ、何かを思いついたように、1人で練習している僕のところへニコニコしながら突然やってきて声をかけてきた。
『A子とO美どっち好きなんだ?』と、僕をからかうように、そして男子部員の間で笑いのネタにするために聞いてきたのだと思います。僕は先輩に言われた事なので、未だになんでか分かりませんが、運動部特有の体育会系指導!先輩に逆らうのはご法度とされていましたので、聞かれた手前、絶対答えないといけない状態でした。
僕は、少し頭の中で考えた。A子とO美は背丈方は同じ位、体型はA子の方が若干筋肉質で、髪は長く束ねて目がパッチリと大きい、一方O美の方は、小柄で髪はショート、目は、細目、A子の方が僕の好みに近かったので、聞いてきた先輩にA子の名前を伝えた。
それからは、A子とO美が組み合わせの時は、毎回先輩に『ほらA子いるぞ』とその先輩に言われ続けてたのです。言われた時は、そのつどA子を見る様にしていました。そんな部活の日常を過ごしていたある日、飽きたのかめんどくさくなったのか、そのやり取りもなくなり、練習に集中できるとその時は思っていましたが、自分では意識している事はなかったのですが、自然とA子の姿を目で追いかけている事に気づいてしまい、その瞬間からA子を意識し始めた僕がいました。

それからの毎日、ハードな練習の息抜きにはA子を見ることが楽しみになり、いつの日か恋する存在(突然の初恋)になっていたのです。
しかしA子は僕と違って、キツイ練習にもついていける運動神経と体力がある一方、僕は簡単な練習ですら遅れを取るありさま、自分に情けない気持ちでいっぱいでした。
そんな僕がA子に声をかけるなんて、声を掛ける資格がない?そんな自分の思い込みのせいで勇気もなくなり、現状維持を保ちつつ気づけば中学も3年生になり、5月最後の大会も終わり最後までA子とは何もなく、部活を引退しました。
引退後は、好きだ!と言う気持ちだけを毎日抱えて過ごす日々、そんな中卒業式を間近に控えてたある日、僕に1つの光が差し込んできたのです。なんと下校時間の昇降口でA子とばったり!それだけでも奇跡なのに、さらにもう1つの奇跡もおきました。
なんとA子の方から『一緒帰ろう』と声をかけてくれたのです。僕の心は終始ドキドキしっぱなし、初恋っていいなぁと改めて思い知らされた瞬間だった。
僕は、女の子と並んで歩くのはもちろん初めてで、通学路をA子に合わせて同じペースで歩く、その時のA子との会話は、お互いのクラスで話題になってる事や、きつかった部活の話とかよくある他愛もない会話でした。時間にしたら40分位だろう、そんな夢の時間はあっという間に過ぎていきました。
周りから見たらいい雰囲気と思われる程、いい感じで会話をしていましたが、あと少しで別々の帰り道に差し掛かる所まできた時、思い出したかのようにA子が言い出した。
『そういえば渡してなかったよね』と言ってAが取り出したのは、寄せ書きやメッセージなどを書く手帳より2回り大きいサイズのサイン帳と呼ばれていたものだった。
その中から一枚何も書かれていない白紙を手渡してきて『一言書いてね』そう言うとバイバイと帰ろうとしたので、『近くまで一緒に…送ってくよ?』この言葉!僕なりの精一杯勇気を出して言ったその一言…

帰ってきた返事が僕にとっては衝撃的だった。『いや、ここでいい』その言葉を聞いて引き下がっては僕の初恋が…偶然にも一緒に帰えれるようになった瞬間、卒業近いこの時期に…別れ際告白する!そう決心することが出来たこの時間を無駄にできません。
そんな思いから食い下がる訳にはいかない!僕はまたこう言った『いいよ、近くまで行くよ?』しかし帰ってきた返事は『ちょうど友達帰ってきてそこで待っているから、一緒に帰る』と言い残しA子はそそくさと友達の方へ足早に近寄り友達と行ってしまいました。

そんなことを言われたあげく、そそくさと逃げる様に帰られたら、これ以上何もできなくなってしまい、【告白が】と頭の中でリピートしている中、A子とその友達が並んで帰る後ろ姿を、眺めていることしかできない自分がいた。
終わった…告白するタイミングを逃し僕の2年半も思い続けてきた初恋がこの瞬間終わったと1人帰る中、今度は【終わった】が頭の中でリピートをくりかえしていた。
次の日、渡されたサイン帳の白紙に一言書いて、昼休みにA子に渡す時も、『書いてきたよ』の一言だけ声をかけて、今度は僕の方がその場をそそくさと離れてしまいました。その後数日経っても、何も進展はなくハッキリとした思い(片思い)を残したまま卒業してしまいました。

その後は公立高校に入学した僕は、初恋のモヤモヤした気持ちのままでした。高校に入学して2週間がたった頃、電車通学の僕は偶然にもA子と同じ電車に乗り合わせる事になりました。
A子が僕に気づいたみたいで、『おはよう』とまたまたA子の方から先に声をかけてきてくれました。その再会が再び恋心をよみがえらせてしまったのは、言うまでもないでしょう。
再会からさらに2週間が過ぎた頃、どうしても告白しなければ、そう思いA子を呼び出すことにした。電話機の前で、中学の卒業アルバムに載っている連絡先から、思い切ってA子に電話をかけてみることにした。

『もしもしA子?こんにちは、元気にしてた?』わざとらしい言い方をしてしまったかなと内心思った。
そのことは、気にしてないよう感じで『なに?どうしたの?』A子の声を聞いた瞬間、気分は最高潮に達し2年半の思いをとうとう、言葉にする時がきた!
『あのね、中学の時からずっと好きでした。よかったら友達からでいいので付き合ってくれますか?』この時は、結果よりも好きとやっと言えたことに満足して自分に酔っていた。
A子の答え『ありがとう、少し考えさせて』と、一言だけで、A子が『今忙しから』と言い残して、電話を切った。
それ以来、A子から告白の返事もなく、僕からもA子にしつこい!と思われ嫌われたくないので、僕からも連絡はせず、毎日A子からの返事連絡待ちが続いてた。
この時の告白の結果を知るのに、ここから2年もかかるとはその時の僕は思ってもいなかった。

k533著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
今回は、突然の初恋をした男子学生のお話を書いていただきました。
中学に入学し毎日部活に明け暮れている中、彼は先輩に「2人の女性部員のどっちが好きか?」と聞かれます。
先輩に逆らうことができなかった彼は、正直に好みのタイプに近かったA子の名前をあげました。
その日から事あるごとに先輩にそそのかされて、いつの間にか自分の中でA子のことを意識するようになっていました。
A子に直接思いを伝えることができず部活も引退。そんな中、奇跡にもA子の方から一緒に帰ろうと誘われる日がありました。
しかし結局想いを伝えるタイミングを逃し、高校に入学してから再度チャンスが訪れます。
自分の思いを伝え、「少し考えさせて」という彼女の返事を待っていましたが、その結果を知るのは2年も先のことでした。
初恋を経験した男子学生の感情の表現がとてもリアルに表現されています。
好きになった期待や不安が文章から伝わってきて、同じような経験のある読者は共感できる内容です。
最後に結果を書かないことで物語の結末を読者に想像させるようになっており、とても面白い作品になっています。
検収者 kitsuneko22
㉑kitsuneko22-10