心惹かれた私
高校時代のある日、私は高瀬(仮名)の家に遊びに行きました。
高瀬は幼少のころからの友人で小・中を一緒に過ごしてきた友人でした。
そんな彼の家には通っている高校のクラスメイトから借りた中学時代の
卒業アルバムがあり、興味津々でめくっていると、
友人が通う高校の同じクラスの女子の写真を見つけました。
その女子がとても可愛らしく、心惹かれた私は、
高瀬に彼女を紹介してもらえないか頼んでみました。
彼女の名前は葛西かすみ(仮名)さん、
テニス部に入っていてスポーツが得意だと教えてくれました
勇気を振り絞って
高瀬は快く引き受けてくれ、その後私たちは手紙や写真を何度かやり取りするようになり
やがて私は勇気を振り絞って、葛西さんに告白しました。
それから一週間が経ち、高瀬から葛西さんから手紙を預かっているから渡したいと
言ってきたので、気は進みませんでしたが、学校からの帰宅途中に私の家で遊んでいた、
木田(仮名)と、高瀬に会いに行くことになりました。
手紙には、「こんな私でよろしければ、こちらこそお付き合いお願いいたします。」と
書かれ、電話番号も記載されていました。さらに、親が電話に出ないようにするために、
電話をかけてもいい日時も教えてくれていました。
当時はまだ、携帯電話もポケベルも、まったく普及していませんので厳しい親のいる
家庭では不思議には思わなかったみたいです。
喜びが勝っていた

そこで渡された手紙を読んで、なぜか私は友人達に「いやぁ、ダメだった」と
言ってしまいました。当時の自分が、なぜそんなことを言ってしまったのか
はっきりとはわかりませんが、おそらく恥ずかしかったのかもしれません。
友人たちは私を心配して、「デブって言われたのか?」
「俺も、まだ女いねえから大丈夫だよ。」などと慰めや、哀れみの言葉を
かけてくれましたが、私にとってはどうでもよかったのです。
ただ、お付き合いできる喜びが勝っていたのですから。

そして、一週間後の土曜日、夜7時30分が約束の電話の日時となりました。
私は緊張と興奮で心臓が飛び出しそうな感じと、舌に電気が走り
しびれるような感覚に包まれながら、受話器を取りました。
「はい、葛西です。」と向こうから、「川原(仮名)ですけど。」等と返した後
正直その後の会話内容はあまり覚えていません。
ただ、一ヶ月後に会う約束をして電話を切ったことだけは鮮明に覚えています。
彼女との初デート

それからの一ヶ月は、私にとっては待ち遠しい日々でした。
彼女との初デートを心待ちにしながら、デートの計画を立て一人でニヤニヤしながら
過ごしました。そして、待ちに待った日がやってきました。私たちは約束の場所で会い
初めて直接会話を交わすこととなりました。
最初のデートでは、お互いの興味や趣味について話しました。彼女は音楽が好きで
私も同じく音楽に興味がありました。その話題で盛り上がり、お互いのお気に入りの
アーティストや曲について語り合いました。また、趣味の一つであるアウトドアについても
話しました。彼女はディズニーが好きで、私は高校の遠足で言ったことがあるだけでした
葛西さんが行きたいところには一緒に行ってあげたいと思い、また共通の話題を一つでも
多く見つけ、親しくなろうと心がけるようになりました。
そして、次第に私たちはお互いのことを深く知っていく中で
信頼関係が築かれていきました。
会えなくても次第に

しかし、高校を卒業し就職し私は地元から車で1時間くらいの製造工場で
彼女は看護師の資格を取るため寮生活を送ることになり少しずつ会う時間が
無くなっていってしまいました。
私の趣味も車のドライブや車のチューニングといった金銭がかかるものに変化し
彼女と会えなくても次第に平気になってしまい彼女からの電話も居留守を
使い始めるようになってしまいまったく会うことがなくなってしまいました。
それから5年後くらいに私は全く別の女性と結婚し今も幸せな生活を追っています。
その女性を紹介してくれたのも高瀬で結婚式の友人代表の挨拶をしてくれたのは
木田でした。
結婚して何年かして、高瀬や木田と飲んでいるときに高瀬が女性をつれてきていて
仕事の話をしているときに聞き覚えのある病院の名前が出てきて、その病院に
葛西さんという女性がいないか聞いてみたところ、今は結婚して名前が変わっているが
まだその病院の看護師をやっているとのことでした。
s530著











コメント
コメント一覧 (2件)
pr
今回は、高校時代の初恋についてのお話を書いていただきました。
幼少の頃から仲の良かった友人と家で遊んでいた男性は、卒業アルバムから友人と同じクラスに通うある女子生徒に一目惚れしました。
勇気を振り絞って友人にその女子生徒を紹介してもらうよう頼み、何度か連絡を取り合い付き合うことに。
携帯電話もポケベルも普及していなかった時代、連絡してもいい時間帯を教えてもらい初デートの約束を交わしました。
初デートでは、お互いの趣味や興味について言葉を交わし、信頼関係はより一層深くなっていきました。
しかし高校卒業後はお互いに別々の道を歩み、次第に連絡することも会うことも全くなくなってしまいました。
それから別の女性と結婚した男性は、友人の繋がりで、かつての彼女も結婚し看護師として働いていることを知りました。
高校時代の初恋に心躍る男子生徒の姿が目に浮かびます。
お互いに別の道を歩むことで自然に消滅する初恋の切なさも上手く表現されています。
とても読みやすく素晴らしい作品です。
検収者 kitsuneko22
⑪kitsuneko22-10