真面目な男が好きになった人とその最後

一人の男性が好きになった人は不倫をしていました。

私の友達はスナックのホステスでした。私がその店で彼女と知り合った時、お互いまだ20歳。彼女の大人びた口調とタバコの吸い方はとてもカッコよく女の私も見とれるくらいの子でした。彼女の勤めているスナックには時々来るおじさんがいて彼女はその人と不倫関係にありました。私は親子ほどの年の離れたおじさんと彼女がなんでそんな風になったのか?気にはなりましたが、その中に踏み入れてはいけない気がして聞いたことがありません。


ある日、若い大学生の男の人が4人で飲みに来た時のこと。私と彼女はその大学生たちと意気投合し、店が終わってからもう一軒飲みに行くことになり店を出た時、彼女の不倫相手のおじさんが車で待っていました。彼女はみんなと一緒に行くのをやめ、おじさんの車に乗って帰っていきました。それを見た大学生の一人が「おじさんと付き合って彼女は幸せなのだろうか?」と聞いてきたのですが何も言い返せない私でした。


その後、彼女とおじさんの関係は続き、旅行に行ったりマンションを買ってもらったりと、今までの生活が普通のことのように時が過ぎていきました。でもそのおじさんは彼女だけではなく、ほかにも女性があちこちにいて、要するに女好きだったんです。私にもちょっかいを出してきたんですから。その時こそ彼女は怒り心頭で、手にするものを次から次へとおじさんに投げて怒りをぶつけていました。でも別れることはなく、関係は続いていきました。


彼女は過去におじさんの子供を妊娠して中絶までしています。そんなになってもなぜ別れないのか不思議です。グダグダした関係は2年が経過しようとしていました。相変わらず女好きのおじさんは店に入った可愛い新人の子に手を出そうとしているのが彼女にばれ、壮絶なケンカが店の中で始まりました。そこへ何年かぶりに来た大学生が社会人になって店に来たのです。そのひとは2人の間に入って仲裁してくれました。おじさんは店のママに帰るように言われ、帰って行って彼女は飲んで荒れてます。仲裁に入った元大学生だった彼は彼女の幸せを気にしていた人でした。


酔っぱらった彼女のことを気にしていた彼は彼女にこう言います。

「俺は君のことが心配だよ、君は危なっかしい。楽しそうに見えない。本当にあいつのことがいいの?」

率直に彼女に聞きました。 彼女はこう答えます。

「私の人生なんてひらひらの紙きれと一緒、飛んでどこへ行くのかもわからない。誰にふみつけられるのかもわからないし、どこにとどまるのかもわからない。どうでもいいんだよ!」

すると彼は、「君には自分の意思がないの?自分でどこへ飛ぶかは決められるんだよ!」と。「こんなに心配してくれる友達がいるのに自分で自分を傷つけてる、あいつのための人生なんておかしいよ。君はあいつと別れて、自分の人生を生きるべきだ」

そう言われた彼女の目からは涙がこぼれていました。


彼はその後、何度も店に来て彼女とよく話をしていました。彼女の気取らない話やひょうきんな性格にひかれていったんでしょう、おじさんと別れるように彼女に何度も言っていましたが聞き入れてはくれない彼女にしびれを切らした彼は、彼女とおじさんのマンションに行ったのです。彼女とおじさんとの関係を解消して彼女を自由にさせてほしいとお願いに行ったそうです。でないと二人の関係をおじさんの会社や家族にばらすと言ったとたん、おじさんに殴られ、見るも無残にボコボコにされ、二度と二人の前に顔を出すなと言われ何もできずに帰って行ったそうです。

その後、彼は二度と店に顔を出すことなく、どうなったかはわかりません。でも彼女のことが好きで何とかしてあげたかったんでしょう。一途に彼女を思う正義感の強い人だったんだと思いますが、だれも知らずに突然の彼の行動にみなびっくりしたことは間違いありません。


彼女とおじさんの不倫関係は相も変わらず続いていました。それからの私は彼女と疎遠になり、風のうわさにおじさんの子供を産んで育てていると聞きました。あのとき、彼に言われて泣いていた彼女の涙はどういう意味の涙だったんだろうと、時々思い出します。彼女は本当に自由なりたかったのか?それともおじさんのことがやはり好きで離れられなかったのか?いまだにわからずにいます。でもそれも一つの愛のカタチなんだと思います。そしてそんな彼女のことを一途に愛しおじさんに殴られた彼を不憫に思いながら、彼の彼女に対する思いも違う愛カタチのなんでしょう。当時の私はわからなかったけど、今ならわかります。

う462著

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回は、不倫をしていたホステスと真面目な男性のお話を書いていただきました。

    スナックでホステスとして働いていた彼女は、親子ほどの年の差のあるおじさんと不倫関係にありました。その関係は、店で意気投合した大学生も心配するほどでした。
    不倫していたおじさんは女好きで他の女性にもちょっかいを出しており、女性と度々大喧嘩をしていましたが関係はずっと続いたままでした。
    喧嘩の最中、女性を心配していた大学生が社会人となり店にやってきて2人を仲裁します。
    自暴自棄な女性をなだめ、その後何度も女性に会いに訪れる男性。
    おじさんと女性のマンションを訪れ説得する男性でしたが、おじさんに返り討ちに会い店に来なくなってしまいました。
    心も体もボロボロになりながら恋愛を続ける女性と、一途に彼女を思う正義感の強い男性の恋心が交わることはありませんでした。

    当事者である女性が考えていることや男性が女性を思う気持ちは、読者にいろいろな視点で恋愛の形を見る機会を与えています。
    様々な形の恋愛が交差する深い内容の作品になっています。

    検収者 kitsuneko22

    ⑲kitsuneko22-10

コメントする

目次