これは私がまだ恋愛というものを何もしらなかったときの話

私の家には兄弟が多く、家計が苦しく親には頼れないので奨学金を借りて、アルバイトで生計を立てながら大学に通っていた。
当時は生活するので精一杯で恋愛なんて考えてもいなかった。考える余裕もなかった。
ただバイトと勉強で毎日が過ぎていく。そんな日々だった。
2年になって少しずつ生活が軌道に乗ってようやく気持ちに余裕ができてきた頃、そんな私に声をかけてきた人がいた。大学の同じ教室に通う人で1つ年上の人だった彼は1年病気で入学できなかったという。
彼は私に何気なく声をかけてきて、いつも真面目でみんなと遊ばない私にどうしてなのかを聞いてきた。
私は働かないと生活ができないと言うと、今時めずらしいねとびっくりしていた。

今度、俺とコーヒーでも飲みに行こうよと誘ってきた。
私はそれまでほとんど恋愛も男の人とお付き合いもしたことがない。
私は顔が真っ赤になり、どう返事をしていいかわからず、おどおどしてたら、ニッコリ笑って、たまには息抜きも必要だよと言った。
君みたいに若くて一生懸命な子はみんなと同じように楽しんだって罰は当たらないよと言われた。
そんな言葉をかけられたのが初めてで、くすぐったい気持ちで嬉しかった。
知り合ってからまだ日は浅く、教室で話したこともあまりない人なのになんで私に声をかけてきたのか不思議だったが、そんなことを、その時は知る由もなかった。

それから2週間後、私と彼は近くのショップでコーヒーをのんだ。
1時間ほどおしゃべりをして、彼の話を聞いて、サーフィンの好きなことが分かった。
私は友達もいるけどそんなに遊びに行かないと言うと、今度俺と遊びに行こうと言ってきた。そして君のことがもっと知りたいから付き合ってと言われた。
生まれて2回目のお付き合い、前は高校生の時、ほんの数か月、一緒に遊びにいった程度のお付き合いだったので、これが初めてのような感じだった。
ずっとドキドキしていた。何をするのも頭の中から彼が抜けない。体がいつも浮いていたようだった。その時の私は本当に何も知らないうぶな女の子だった。家と学校、バイト先に通うだけの何も知らない子だった。

そんな私に付き合ってくれと言ってくる彼は何者かをあまり知らないのに好きと言われて舞い上がっていた。毎日のように学校の帰りにコーヒーを飲んで私をバイト先まで送ってくれる。時々休みの日には遊びに連れて行ってくれて次第にどんどん彼色に染まるのがわかった。本当に幸せだった。
半年くらいたったある日、彼が私の誕生日に一緒にお祝いしてくれるという。嬉しかった。そしてその日は彼の家に誘われ、私はきっと彼に求められたら断れないだろうと感じていた。そしてその時が来た。彼の腕の中で私は女になった。

後悔はしてなかった。本当に好きだったから。それから彼は私の父親に会いに行くという。何故か尋ねると、結婚の承諾をもらいに行くと言う。私はとても嬉しくて泣いた。こんなにも愛してくれて、親にもきちんと挨拶をして真剣に私のことを考えてくれる、そんな人に巡り会えたことがうれしかった。
彼は父に許しを得に家に来た。私の母が亡くなって、半年後のことだった。父はまだ早いとは言ったものの付き合うことには反対しなかった。私が男の人を連れてきたことがうれしかったのだろう。それからの彼は毎日私と一緒にいた。そして毎日私を求めてきた。私も受け入れていた。
ただ私の生活が以前と違い乱れていった。バイトを休みがちになり、彼と遊びに行くのにお金使いも荒くなった。

とうとう私はバイトを辞めてしまった。そのうち彼と一緒になるんだ、奥さんになるんだからバイトしなくてもいいやと、辞めてしまった。それからは彼の家に行っては食事の用意をしたり、かいがいしく奥さんごっこをしていた。
そんな私とはうらはらに彼は段々と私を遠ざけるようになった。友達と遊びに行くとか、家族とでかけるとか、勉強で忙しいなどと一緒にいる時間が減っていった。彼のことを信じていた私は何も気にしないで待っていた。そのうち彼はしたこともないバイトをするようになり私は結婚資金をためるんだと思い込み一生懸命応援した。そして私のもとから去って行った。忙しいから会えない別れようその方がお互いの為だと言われその時になって私はバカだったと気付いた。
私は彼が戻ってくるように彼が行く居酒屋に行ったり、彼の子供を妊娠したと嘘ついたり必死だったが結局、彼は戻ってこなかった。
私は泣いた、体の中からなくなるまで泣いた。恋は盲目とは誰が言ったかわからないけれど、本当になんにも見えてなかった。情けなかった。信じて裏切られたことがショックだった。そしてタバコを吸うようになった。それからキャバクラ譲になってお金を貯めた。大学は退学した。
あとでわかったことだったが、彼は初めての女の子をしとめるのが上手いとうわさの処女キラーだったそうだ。
まんまと騙されたバカな女の話。
う463著









コメント
コメント一覧 (2件)
今回は、結婚の約束をした男性に裏切られたお話を書いていただきました。
家計が苦しく、奨学金を借りながらバイトをして大学に通っていた女性は、恋愛を気にかける余裕もなく忙しい毎日を過ごしていました。
ある日、同じ教室に通う男性にコーヒーを飲みに行こうと誘われ、おしゃべりを交わしていく内に男性のことを好きになり付き合い始めます。
親から付き合うことに反対されなかった女性は男性とより深く愛し合うようになりましたが、生活がだんだん乱れてバイトも辞めてしまいました。
女性とは裏腹に、男性は女性を遠ざけるようになっていきます。そして、結局理由をつけられて2人は別れてしまうことに。
恋愛経験の少なかった女性は、信用していた男性に裏切られる形になってしまいました。
純粋な女性が、優しく振舞う男性に翻弄されていく姿がリアルに表現されています。
その状況に置かれた女性の心情が鮮明に伝わってくるような表現力のある作品です。
検収者 kitsuneko22
⑳kitsuneko22-10
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