学生時代の恋は、些細なことがきっかけになることが多いと思います。
消しゴムを拾ってもらった、委員会が一緒だった、同じクラスになった。
そんな些細な出会いでも、その出会いから何も始まらなくても、たまに思い出して胸が切なくなることがあると思います。
中学生になった私

私はとても地味な中学生でした。
小学校の頃は、意識せずとも自分から人に話しかけ、友達も多くいました。
小さな小学校だったこともあり、みんな顔を知った中で、活発に過ごしていました。
しかし、中学校が小学校から離れたところだったため、ほとんど知り合いがいない場所へ一人投げ込まれてしまい、一気に人見知りになってしまいました。
自分から人に声をかけることができず、話しかけられるのを待つばかりで、数少ない友人とだけ付き合っていました。
そこに問題はなかったし、友人とお喋りする時間が大好きでした。
はじめての気持ち

人見知りの私は、もちろん男子と話すことも苦手でした。
中学校になると、みんな一気に大人っぽく見えて、小学校とはまるで違いました。
一気に背が伸びて、声も低くなり、制服を着て大人びて見える姿に、男子として意識してしまうのです。
教室の席は男子と女子が隣合わせになっていました。
プリントを渡す時、グループで授業を行う時。
どうしても男子と話さなければならない場面ではとても緊張してしまうのでした。
そんな毎日が続いていた中、期末テストがありました。
数学のテストはとても難しく、テスト中もうんうん唸りながら何とか解答しました。
やっと終わった・・・。
テストの緊張から解き放たれ、ほっと胸を撫で下ろしました。
その時でした、
「テスト難しかったね。」
へらっと笑いながら、隣に座る彼が声をかけてきました。
必要事項以外の会話をするのは初めてです。
私に話しかけたのか、どうして私に話しかけるのか、何か理由があるのか、誰かに言わせられている?
色々な考えが一気に頭を駆け巡りましたが、胸はずっとどきどきしたままです。
何か返事を返さなければ!
そう思っても、手の平にはいつの間にか手汗が滲み、何も考えられません。
「うん、難しかったね。」
あはは、と笑ってごまかし、その場は終わりました。
彼は話し終わると、後ろの席の男子とまたテストの話を始めました。
どきどきどきどき。
ちゃんと返事を返せただろうか、笑顔は引き攣ってはいなかっただろうか・・・。
急にさっきの会話の反省点がいくつも浮かんできて、ついでに、やはりなぜ私に話しかけてきたのか謎は深まるばかりで、その日はあっという間に一日が終わりました。
その日からです。
隣の彼が気になって仕方なくなりました。
よく見たら背が高いな。
髪もサラサラだ。
笑った声にどきどきする。
目が大きくてかっこいい人なのかも。
考えれば考えるほど、とても素敵な人に思えてしまうのです。
その後も、彼はたまに話しかけてきました。
おはようと挨拶をしてくれたり、授業で先生が面白いことを言った時に偶然目が合って笑い合ったり、落とした消しゴムを拾ってくれたこともありました。
とても些細なことです。
誰にでも起こり得ること。
それでも、私はその一つ一つが嬉しかったのです。
クラス替え

中学2年生になり、クラス替えがありました。
彼とは違うクラスになりました。
分かった時は少し寂しかったけれど、クラス替え後の緊張の波に飲まれて、あっという間にそれどころではなくなりました。
新しい友人との関係、部活動、難しくなる勉強に追われ、彼に対するほんのりとした恋心は徐々に消えていきました。
クラス替え以降接点は全くなくなり、結局何も始まることはありませんでした。
彼は誰にでも分け隔てなく話しかけられるタイプで、私に話しかけてくれたのも気まぐれだったのだと思います。
あの時はいっぱいいっぱいで気付けなかったけれど、私だけでなく色々な女子にも男子にも話しかけていたのでしょう。
でも、男子と話したことがなかった私に、話す自信を付けてくれたのは紛れもなく彼でした。
あれは恋だったのか、今思い返すと分かりません。
初めて男子に声をかけられて、浮かれていたのかもしれません。
慣れない男子との会話に、緊張してどきどきしていたのかもしれません。
けれど、話しかけてくれるのが嬉しかったのは確かで、毎日彼に会うのを少し楽しみに思っていたのも本当でした。
その日々はきらきらと輝いていて、ふとした時に思い出しては懐かしくなります。
terpaj著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
高橋さん
初めての投稿をして頂きまして有難う御座います。
それでは検収をさせて頂きます。
今回の作品は、田舎の小学校から広い地域の中学校へ進学した女子中学生の淡い恋心を作品にして頂きました。
身近な子供達と過ごす小さな小学校での楽しい日々は終わります。
中学生となった彼女は、大きな街の中学校へと通うことになりました。
明るかった彼女からは楽しい気持ちは消えて不安に押しつぶされそうな日々へと変わります。
そんな教室でたまたま隣になった男子から思わぬ一言で芽生えた想いに彼女自身も驚いています。
その日から彼女の中に変化が起こります。
少女が感じる心の動揺や喜びを見事に作品にして頂きました。
そして元々明るい性格の彼女が、これから活き活きと青春を駆け抜けて行くことを予想させてくれます。
分かり易い文章と読み易い構成で読者が嬉しくなる作品です。
有り難う御座います。
これにて今回の検収は完了とさせて頂きます。
次回の投稿記事も楽しみにお待ちします。
井上保夫