ナンパから動き出した2つの運命

始めはゲームだった

社会人生活を始めた頃、仲のいい友達とよく飲みに行っていた。

その時は、私と友人Aと友人Bの3人で、駅前の小じゃれた居酒屋で飲んでいた。

店内は電球色の薄暗い照明で、出てくる料理も旬の魚や新鮮な野菜、熟成肉を焼いたステーキなどで、ついお酒が進み、話は次第に盛り上がっていった。当然異性の話にもなってきて、少しぽっちゃりしてる方がいいとか、やっぱりスラッとしている方がいいなど、みんな言いたい放題。周りを見渡すと、客はそれほど多くはないが、たまたま近くの席で飲んでいた若い女性3人組に目が行った。

そこで私は、友人たちにある提案をした。

私:「ジャンケンで負けたやつが、あの3人組に声を掛けて一緒に飲もうと誘おう」

A:「いいね!やろうやろう!」

B:「それじゃ、早速ジャンケンだ!」

酒の勢いもあってか、みんなやる気満々だった。

それじゃ、

「じゃんけんぽん!」

「おー俺か!」

と言って、負けたのは私だった。

いい出したのは私だったが、少し緊張気味に残っていたグラスの酒を一気に飲み干すと、

早速私は彼女たちのところへ行き、声を掛けた。

「こんばんは!」

楽しそうに話をしていた彼女たちは一斉に私の顔を見た。

私は、3人の雰囲気をサッと見て、少し太めのボスキャラと思われる彼女(A子)に向かって、

「今、じゃんけんで負けたら声をかけてくるゲームをしてて、良かったら一緒に飲みませんか?」

と、笑顔で話しかけた。

A子は、細めで色白なB子と、浅黒く笑顔が可愛いC子と何やら話をして、どうするか相談していたようだったが、

「いいよ!」

と言って、割とあっさり合流できたのでした。

これが始まりで、それぞれの運命が動き出すことになるのでした。

 

付き合いの始まり

私が狙っていたのは、実はB子だったのだけど、3人の中では大人しそうな印象をうけたので、気の強そうな印象のA子に声を掛けたのだった。それが良かったのか悪かったのか、私はA子に気に入られてしまったらしい。

これはまずいと思いつつも、うまくB子にも話を振りつつ、その場は楽しく盛り上がり、2次会のカラオケまで行ったのでした。

話によると、C子は既に彼氏がおり、A子とB子はまだいない様子。私と友人Aは彼女がおらず、友人Bには彼女がいたので、その後は私と友人A&A子とB子で一緒に遊ぶようになったのです。

それからはこの4人で、ドライブしたり、ゴルフの打ちっぱなしに行ったり、ディズニーランドやあちこちの遊園地に行ったりして、楽しい時間を過ごすようになった。そうしているうちにも、私はなるべくB子と話をするようにして、気を引くようにしながら、友人AとA子をくっつけるようにしていった。そして、私は段々B子と仲良くなって、B子と付き合う事ができた。A子もB子に気を使ったのかもしれないけど、友人Aと上手くやっていた。

最初はどうなるかと思ったけど、上手く運命の軌道修正が出来たようだった。

 

ついに仲間割れ

私がB子と付き合い始めてから、B子のいろんな事に気付いた。最初は大人し目だと思っていたら、結構派手好きで、赤いミニスカートとか体形の分かる服を結構着ていた。それでいて意外とヤキモチやきで、独占欲が強い。見た目は、背も高く細身で色白、顔は童顔で美人では無いけど不細工でもない和風な顔立ち。人見知りをするから、慣れてくると本性が出てくる感じに思えた。

ある日、いつも通り4人で会って遊んでいた時の事。その時は、よく行くゴルフ練習場で打ちっぱなしをしていて、私がA子の打ち方についてアドバイスをしていたら、B子が突然不機嫌になった。何事かと思ってB子に

「どうした?」

と訊くと、B子はA子に向かって怒鳴り始めた。

B子:「○○君(私)と仲良くしないで!!」

A子:「別に仲良くしてないじゃん!」

B子:「そんなにくっつかないで!」

A子:「今打ち方教わってるんだから仕方無いでしょ!」

といった内容の会話がしばらく続き、険悪な雰囲気になって来た。

私はB子がそんなに怒るとは思わず、とりあえず謝りその場は終わったけど、ちょっと怖さを感じたのでした。

それからは、ほとんど4人で遊ばなくなり、私はB子と2人で行動するようになっていったのでした。

 

B子の本性

先の一件があってから、B子の怖い面が目につくようになってきた。

普段は本当に大人しく、穏やかな感じだけど、時折鋭い眼差しで見つめられていたり、まだその気は無いのに結婚の話をしてきたりすることもあった。

電話で話をしていると、電話の向こうから彼女の母親が大きな声で

「何時間しゃべってんだ!さっさと切りなさい!」(実際は5分位しか話していない)

という声が聞こえ、それに対してB子が負けない位大きな声で暴言を吐いていた。

遊んだ帰りに、車で家まで送ると母親が出て来て、

「どんな男と付き合ってるんだ!」

と言って、助手席の窓越しに私の顔を覗いてきて、一瞬何かされるかと思ったりしたこともあったし、親には友達の家に泊まると嘘をついて、私の家に泊りに来ることも多々あった。

どうやら、彼女の家庭環境にもいろいろと問題がありそうだ。

そう思うと、彼女とは長く付き合っていけないだろうと思うようになってきたのでした。

 

2つの運命の結果

私とB子は、結局1年くらい付きあっただろうか。私の気持ちが段々と離れていった気がします。会う回数も減っていき、私はB子に相談することもなく町を離れることにしました。当時は携帯電話が普及していない時代だったので、町を離れてしまえば連絡の取りようもなく、そのまま消滅するようにB子との関係は終わったのでした。その後、彼女がどうなったのか知る由もありません。

私の友人AとA子については、友人Aと電話で連絡をしていたので、上手くやっていることは知っていました。数年後、私の元に1通の封書が届き、中には友人AとA子の「結婚式の招待状」が入っていました。ついに生涯のパートナーとして歩むことにしたんだなと、2人の末永い幸せを願うばかりでした。

最初はゲームから始まった2つの運命は、見事に明暗が分かれ、生涯を左右する結果となりました。男女の出会いには、やはり運命的なものがあるのでしょうね。

niki著

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