ショウコちゃん

中学生の時、同じ学年だった、ショウコという女の子。
入学当初から、僕の周りでは、「かわいい」という友達の声があった。
確かに、かわいかった。
ぱっちりした目、整った顔。
明るくて、愛想が良い。そして、よく笑う。
中学校に入学して、5月くらいには、誰かと付き合ってた。
すごくモテた。当然だった。
僕はといえば

人気があるわけでも、モテるわけでもなかったけど、中学3年生になって、彼女ができた。
たしか、4月から、10月くらいまでの間。
その子は、2年生の時に同じクラスだった子で、3年生になってクラスが別々になったことをきっかけに、僕に告白してきたのだった。
告白されたのは意外だった。そんな風に思われているとは、思いもしなかった。
友達としてしか見ていなかったが、会話のノリも合うし、付き合うことになった。
でも結局、思い出せないくらいの理由で、別れることになった。
冬の事件

中学3年生の冬。すごく雪の積もった、ある日の掃除の時間。
僕と友達は校庭の掃除を担当していたのだけど、少しさぼって、かまくらでも作ろうということになった。
雪はたくさんあったものの、少ない時間ではあまり大きくすることはできず、かまくらというより、崩れた雪だるまという表現がぴったりな、ただの雪のかたまりみたいになった。
「う、うん!まぁ、こんなもんかな!」
なんて、友達と話し合っていると。
女の子が、走って近づいてくる。
え?
まさか!?
と思った瞬間。
グシャッッ!!!
僕らの作ったかまくらに向かってジャンプして、両足で着地。僕らが作ったかまくらは一瞬で大破した。
それは、ユキという子だった。
ユキは、踏んだ瞬間、気づいたのだろう。
ユキ:「あれ?ごめん!これって、雪だるまか何かだった?」
僕:「う、うん、一応、かまくらなんだけど。」
ユキ:「やっぱりー!ごめーん!雪のかたまりに見えたから、ただ踏んでみたくなっちゃって・・・。」
僕:「・・・。いや、もういいよ。そんなに大した出来でもなかったし。」
という、会話をしている横で、そのかまくらを、スコップでざくざくとさらに壊している女の子がいる。
・・・。
ショウコだった。
そうだった。誰かから聞いたことがある。
ショウコは、少し天然だった。
僕:「ちょっと。ショウコちゃん。君、話聞いてる?」
それがショウコとの初めての会話だった。
ショウコは、自分のしたことの意味に気づいて、照れ笑いしながら、謝ってくれた。
かわいかった。みんながかわいいと言っていたのが、すぐわかった。
話をしてみると、ユキとショウコは、僕たちとクラスは違うものの、校庭の掃除担当だということがわかった。
恋心

かまくら大破事件以降、僕はショウコと会話するきっかけを作ろうと、掃除の時間、友達を巻き込んで、適当な理由をつけてはユキとショウコと会話をした。何かおもしろいことはないかと、クイズを出し合ったりもした。ショウコとの距離もどんどん近くなった。
僕は、紛れもなく、ショウコに恋をしていた。
掃除の時間は、かけがえのない、幸福な時間になった。
本当に好きだったから、このかけがえのない掃除の時間がずっと続いてほしかったから、気持ちを悟られたりして、気まずい雰囲気になるのが怖かった。気持ちを伝えて付き合いたいとかよりも、ただ、この幸福な時間が、ずっと続いてほしいと思った。
卒業が近づいて、高校進学を決める時期になった。
僕が住んでいたのは田舎で、ほとんどの同級生が公立高校に進学する中、僕は部活を真剣にやりたくて私立高校に進学することを決めた。同級生で私立高校に進学すると決めた子は、10人もいなかった。
ただ、その中に、ショウコがいた。
これはさらに近づくチャンスだった。
運命も味方してくれているとさえ思った。
それでも、僕は結局、告白する勇気を持てず、卒業式を迎えることになった。

卒業式
式が終わって、校舎の外に出てみる。
ショウコとユキが近づいてきて言った。
ショウコ:「ねえ、一緒に写真撮ってくれない?」
僕はもちろんいいよと言って、一緒に写真を撮ることになった。
ショウコとユキの間に入って。
ショウコ:「ありがとう。そうだ、高校も一緒だよね。よろしくね。」
まだ桜が完全に咲ききってはいない3月の終わり。でも、僕の心は、満開だった。
春休み
一通の手紙が届いた。
ユキからだった。
その手紙は、春休みにショウコとディズニーランドに行ったよー、みたいな文章で始まり、最後は衝撃の締めくくりとなる。
『高校は別々になっちゃうけど、また遊べたらいいな。卒業式に一緒に撮った写真も同封するね。』
ここで全てを理解した。
僕のかけがえのなかった、掃除の時間。
ショウコと距離が縮まっていると感じた、あの素晴らしき時間。
それは、ユキが僕との距離を縮めようとした時間だった。
卒業式の写真も、カメラはユキのもので、ユキが僕と撮りたかったのだった。
ショウコは、ユキのために、僕に話しかけ、悟られないように、一緒に写真に写ってくれたのだ。

僕は窓の外を見た。
そこには、温かい風が吹いていて、桜の花びらが、飛んでいた。
konaka著









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