高校で好きになった先生は、数学の先生でした。

私はもともと数学が好きで、よく勉強していました。授業中に、先生が私のところで足を止めて、ちゃんとできているのか見てくれるようになり、それがだんだんうれしくなってきたのです。
先生は、若くてカッコイイとは程遠い、中年の妻子もちの先生で、そして優しく楽しい包容力があるような、そんな先生でした。
親友からは
「先生に気に入られてるじゃん。」
と冷やかされましたが、ただ、自分が頑張っているところを見てもらいたかっただけでした。
だんだん好きになっていく

授業中に問題を解いていると、私の回答が合っているのか、席の横に立って毎回見てくれるようになりました。ただ、だからといってむやみに話かけたりはせずに、黙ってみているだけです。その空間に緊張感が湧き出てくる感じでした。
私は、こんなに近くで見てくれている!と思うとドキドキしてきました。
私を見てくれているのではなく、回答を見ているだけなのに。
親友は、そんな様子をよく見てわかっていたので、隠さずに
「何か、好きになったかも・・・。」
と告げました。
「よかったねー!応援してるよ!」
と言ってくれて、もっと頑張ろうと思うようになりました。
親友も嬉しそうに先生の話をしたり、妄想話をしたりするので、好きな気持ちが盛り上がっていきました。
でも・・・先生と生徒の関係だから、今できることは、勉強をもっと頑張って先生に注目してもらうことだと思いました。
もっと頑張るように

もともと好きな数学なだけに、どんなに勉強しても嫌になることはありません。家でも数学の勉強ばかりやっていて、その成果が出て、数学だけどんどん成績が上がっていきました。
だからといって、先生に何を言われるわけではなかったけど、頑張っているということを認めてくれていればそれだけでいいという思いでいました。
数学が良くできていることは、周りの友達も見ていてわかってくれていたので、休み時間になると、私に聞きに来てくれて、教えてあげていました。
毎日、数学の時間が楽しくて待ちきれませんでした。
バレンタインデーに

バレンタインデーが近づくと、親友が
「私は片思いの彼に手作りチョコつくるけど、どうするの?」
と聞かれ、悩んだ末、私も手作りチョコをあげようと決心しました。
今まで、チョコはあげたことはあっても、手作りは初めてだったので、かなり気合いが入りました。
「作ったのはいいけど、どうやって渡せばいいの?一人じゃできないし。」
すぐに顔が真っ赤になって、恥ずかしくなってしまう私に、親友が
「大丈夫!一緒にいくから。」
と言って一緒に職員室までついてきてくれました。
「周りの友達も、いろいろな先生に義理チョコを渡したりしているんだから、私があげても違和感ないもんね。怪しまれないよね。」
と、自分に言い聞かせながら、ドキドキしながら先生に渡しました。先生にドキドキが伝わらないように冷静を装って。
先生は
「お!ありがとう!」
といって嬉しそうに受け取ってくれました。まずは、渡せてよかった。
「先生、箱をあけたらどう思うだろう。でも、手作りであってもまさか本気とは思わないよね。うん、それで良い。」
それ以上のことを期待していないのに、何か自分に言い聞かせていました。
これ以上は…

それからは、またいつも通りの授業が続きました。
チョコをあげたことで、私の気持ちが見破られていたらどうしよう、としばらくはそんな緊張感がありましたが、そんな気持ちもすぐに消えました。
もうすぐ卒業、先生に会えなくなるから勉強を一生懸命やりました。近くで見ていてほしかったから。
もうこれ以上のことは望んでいません。毎日先生に会えて、近くで見てくれて、思い切ってチョコをあげた。それだけでもう十分。
親友と私しか知らない恋。本当は先生なんだからこれ以上のことがあったら禁断の恋になっちゃう、だから告白なんかして困らせたりしたらいけない。
良い思い出に

先生にとっては、生徒の一人としてしか映っていない。だけど、これだけ頑張って数学は誰にも負けないぐらいの成績を残した、そういえばこんな生徒がいたよって、頭の片隅に残っていてくれてればいいな。
この気持ちを良い思い出として、胸の中にしまっておきます。
そして卒業と一緒に先生への気持ちも卒業しました。
今、どうしているのかな。
先生を好きになったことで、得たものはたくさんあります。そして今でも数学が好きです。
ochiai著









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