幼馴染を好きになった私。彼からもらった最初で最後の宝物

幼馴染

私は中学生の頃、好きな男の子がいました。

それは小さい頃から仲よく遊んでいた近所に住む幼馴染の男の子。

家が近所ということもあって、普段から一緒に登校したりふざけ合ったりして、親同士もよく知る大親友でした。

彼とは小学校中学校と学校は同じでしたが、何故かクラスだけは一度も同じになったことがなく、中学三年生の時に初めて同じクラスになり二人で騒いでいました。

彼だけの特別なピンク色のリボン

もうすぐ受験、そして卒業が迫る一月。

そろそろ私立受験を控える生徒がちらほら出始め、忙しくピリピリした空気になりつつありましたが、せっかくの中学最後の思い出にと今年のバレンタインデーはクラスの女子全員でチョコを交換しようということになりました。

私たちの学校は男女皆本当に仲が良く、女子同士はチョコレート、男子相手にはクッキーと中身は男女で違うものでしたが、毎年友人には男女関係なくチョコやクッキーを贈るのが普通になっていました。

バレンタイン前日、私は何時間もかけて作ったクッキーとチョコレートを一つ一つ丁寧に袋にラッピングしていました。

女子に贈るチョコレートの袋には赤色のリボンをつけて、男子に贈るクッキーの袋にはオレンジ色のリボン。

そして一つだけ、少し大きめの袋にピンク色のリボンをつけていました。

一つだけ違うその袋の中身は、男子にあげるためのクッキーが五枚、そしてミルクチョコとホワイトチョコで作ったハート型のチョコレートが一枚。

それは今まで仲良くしてくれ、恋心が芽生えてしまったお幼馴染の彼のためのもの。

私は今まで彼を友人として好きだと思っていましたが、思春期真っただ中の私は、次第に彼を男性として見ていることに気づいたのです。

本当はチョコレートだけを入れて、直接“好き”と伝えるつもりでいた私。

しかしとても照れくさくてそんな勇気は出ず、袋を閉じる寸前で一枚のチョコレートを残してクッキーに入れ替えたのでした。

中学最後のバレンタインデー

バレンタイン当日。

私の学校はお菓子を持ってくるのは禁止でしたが、とても優しい担任の先生が「先生にバレないようにね」という条件でバレンタインだけは特別にお菓子を持ってくることを許可してくれていました。

昼休みに入り先生が「ハッピーバレンタイン!」とニコニコしながら教室を出ていくと、クラスの女子達がチョコレートを鞄から取り出し配り始めたので、私も同じくクラスの皆にチョコレートとクッキーを配りに行きました。

幼馴染の彼は、彼の友人数人と自分の席で騒いでいて、私が近づくと皆「待ってましたー!」と言わんばかりのテンションで手を差し出してきました。

私が順番に男子たちにクッキーの袋を渡し、他の子たちにリボンの色の違いに気づかれないよう隠しながら、毎年あげているのと同じように彼にそのピンク色のリボンの袋を渡しました。

そして、「他の子たちにも渡しに行くから」とすぐにその場を離れる私。

実際にはすでに全員に配り終えていて彼の分が最後だったので、遠くのほうから気付かれないようにそっと彼のほうを見てみると……

彼は友人たちと話しながら袋を開け、しばらく袋の中をじっと見ていました。

そして、友人の一人が彼に声をかけると彼はクッキーを手に取り、また友人たちと会話を始めました。

(あれって気づいてくれたのかな?)

イマイチ手ごたえのないままその日は終わってしまいました。

その日を境に、彼が気まずいと思っているのか私が無意識に避けているのか、お互いの会話が少しだけ減ったような気がしました。

話しても少しぎこちない様な、なんだか変な場の空気。

せっかくの最後の一緒の中学生活なのに……。

最後の日、初めてのお返し

変な空気になったまま迎えてしまった、三月の卒業式。

卒業式はホワイトデーより前だったので、その年クラスの男子からお返しがもらえるとは私も誰も思っていませんでした。(もとから返してくれる子は少なかったですが……)

しかしその日、幼馴染の彼が私を校舎裏に呼び、小さな白い箱を渡してきたのです。

「あの、これバレンタインのお返し。……どんなのがいいか、よくわかんなくて。その、今までありがとうな!」

箱を開けると中には銀色に光るハートのブレスレットが入っていました。

宝物

それからお互いに自分の希望の高校に入学し、一緒に通学することもじゃれ合うこともなくなってしまいましたが、たまに近所で彼の後ろ姿を見ることはありました。

そしてふと、楽しかった中学時代を思い出します。

お互いに照れて“好き”の二文字が言えなかったあの時。

もしあの時ちゃんと“好き”と言っていたら、今頃彼と結ばれていたのでしょうか。

毎年ホワイトデーのお返しをしたことがなかった彼。

そんな彼が初めてくれたそのブレスレットは、お互いに話さなくなった今でも、私の大切な宝物です。

 

osako著

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