バレンタイン、14年分のお返し。彼女の返事は・・・?

いつもと違うバレンタインデー

僕には幼なじみの女の子がいる。

同じ高校に通うカナちゃんだ。

カナちゃんは、目がクリクリしてて幼い印象がある。ショートカットで、真っ直ぐに切りそろえられた前髪と相まって、2人で歩いていると妹と間違えられる。

カナちゃんはその度に頬を膨らませて腹を立てていた。僕と同い年なのに!と。

僕達は今年で高校3年。卒業までもう少しだ。

 

カナちゃんは幼稚園のころから、毎年バレンタインにチョコをくれた。

市販のもあれば手作りのチョコの年もあった。

モテない僕は義理チョコだと分かっていても嬉しかった。

カナちゃんのおかげで、友達にはチョコを貰ったと自慢できる。高校生にもなって母さんからしか貰ってないなんて情けないことは言わなくて済む。

 

でも、僕は今までお返しをしてこなかった。

恥ずかしくて何もプレゼントを渡せなかった。

渡そうと準備したこともあったけど、渡す前に友達にバレてからかわれて渡すのを辞めてしまった。

 

高校最後のバレンタイン。

今年こそはお返しをしようと決めていた。

高校を卒業したら、僕達は別々の大学に進学するので、カナちゃんから貰えるのは今年で最後かもしれない。

今までの分をお返ししようと思っていた。

 

2月14日

毎年この日は一緒に帰っていた。

今日も一緒に帰るんだろうと思っていた。

だから、校門でカナちゃんを待っていた。

しかし、いつまで経ってもカナちゃんは来なかった。先に帰ってしまったのだろうか?

いつもとは違うバレンタインに僕は戸惑ってしまった。

 

翌日、カナちゃんに会えたので、昨日校門で待っていたこと、なかなか来なかったので心配したことを伝えた。

カナちゃんは、少し困った様子を見せて口を開いた。

今年は忙しくて準備が出来なかった、ごめん。

 

そう言って、カナちゃんは走り去った。

 

僕はいつもと違う様子のカナちゃんが心配になり、追いかけようとしたが、カナちゃんの女友達に引き止められた。

 

「1人にしてあげてよ」

 

どうして?と聞くと、いろいろあるんだよ、と誤魔化され、納得のいく答えは教えて貰えなかった。

 

それから、僕とカナちゃんはなんとなく気まずさをかかえたまま卒業した。

 

 

再会

20歳。

成人式に出席するため、地元に帰ってきた。

会場に着くと、鮮やかな振袖姿、スーツ姿、袴が目を引いた。

僕はカナちゃんを探した。

気まずいまま卒業してしまい、あまり連絡をとることも無かった。

 

すると、1人の女性が目を止った。

赤い振袖で、長い髪を綺麗に結っている。

とても上品な女性だった。

 

印象は違っていたが、僕は彼女がカナちゃんだとすぐに分かった。

僕はタイミングをみて、カナちゃんに声をかけた。

 

「ひ、久しぶり」

 

カナちゃんは大きな目を細めて嬉しそうに笑った!

 

「わあ!久しぶり!元気だった?」

その元気な声と話し方は全然変わってない。

なんだか僕は安心した。

 

高校の時と比べ、ずいぶん大人っぽくなったカナちゃんにドキドキした。

その後も話は盛り上がり、今度デートに行くことになった。

 

約束は2月14日。

僕はカナちゃんに告白しようと決めていた。

 

カナちゃんに会えなかった2年間。

僕はずっとカナちゃんのことを考えていた。

会いたいなぁ。

この話、カナちゃんにしたいな。聞いて欲しいな。

この雑貨、カナちゃん好きそうだな。

実際にカナちゃんに会わなくても、僕の日常にカナちゃんが現れて、僕はカナちゃんがずっと好きだったんだと気付かされた。

 

約束の日。

僕は朝から緊張していた。

昔ならカナちゃんに会うだけで、こんなに緊張しなかったのに。

 

待ち合わせの時間。

駅の改札前で待っていると、遠くから手を振りながら走ってくる女性。

 

「待った?」

 

息を弾ませながら、今日をとっても楽しみにしてたよ、と話す彼女がとても可愛らしかった。

 

動物好きな彼女の提案で、動物園に行くことになった。

彼女が動物を見てはしゃいでいるなか、僕はずっとドキドキしていた。

告白しなきゃ・・・

 

想いを伝えようと声をかけようとするけど、どうしても言えない。

喉に声が引っかかってしまっているようだ。

 

僕はずっとそうだ。

高校の時も、ホワイトデーのお返しを渡せなかった。

今回も同じことをしていいのか?

 

それだけは絶対に嫌だ!

それに今回ちゃんと言わなかったら絶対に後悔してしまう気がする。

 

そう思うと、自然と口が動いた。

 

「カナちゃん、僕ずっと君が好きだったよ。小さい頃から、バレンタインにチョコくれたよね。これお返し。遅くなってごめん」

カナちゃんの大きな瞳がさらに大きくなった。

 

そして、目を細めて笑った。

「嬉しい・・・ありがとう!」

 

ずっと返事を待ってたよ、と彼女は言った。

 

しかし、彼女は可愛らしい笑顔から、少しいじわるそうな顔になって、

「返事は来月のホワイトデーまで待ってね!」

そう言って、僕に軽くデコピンをした。

 

これはやられた。

カナちゃんが味わった待つ苦しみを僕も味わえということか。

でも、カナちゃんは14年も待っていてくれたのだ。

1か月なんてどうってことない!

・・・というのは強がりだ。

 

いい返事をくれるだろうか・・・?

 

僕はふと思い出した。

高校3年の時はどうしてチョコをくれなかっただろう?

彼女に聞いてみた。

 

彼女は恥ずかしそうに言った。

隣のクラスの大橋君のことが気になっていて、思いきってチョコをあげたそうだ。

その時は振られちゃったけどね、と。

なんと、成人式の時に大橋君と再会して、話をしたらしい。

僕はちょっとヤキモチを焼いた。

 

彼女はいい返事をくれるだろうか・・・?

1か月がとても長く感じる。

gonta著

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