天然を通り越しておバカな同級生に心惹かれて!?

昔と変わらない

これは自慢なのだが、私は昔からかなりモテる。

そして同窓会に参加している今も、周りは男子たちでいっぱいでまさに女王様気分。

基本的に集まって来る人たちにあんまり興味はないのだが、

実はこの中で一人だけ気になっている存在がいる。

昔っから抜けてておバカさんだけど、なぜか憎めない可愛いあいつ。

ーそういえば、クラスで目立っていた奴とつるんでヤンキーぶってたなぁ。

彼をじっと見ながら中学時代を思い出す。

高卒で働き出した彼は立派な社会人へと成長していたが、

あの頃と変わらない柔らかい笑顔と、チラッと見える八重歯がそのままでキュンとする。

一度恋愛モードのスイッチが入るとなかなか止まれない私は、

お酒の力を借りてわざと暴走し、猫のように甘えた。

「昔と変わってないね。あんたのそういうとこが可愛くて好きだな…」

ゴクリと唾を飲む音が聞こえ、彼の顔は真っ赤になっていた。

 

実は・・・

あの後、おもしろいくらい簡単に、私に落ちて交際がスタートした。

毎回、車で送り迎えをしてくれる彼に、なんて素敵なのと惚れ惚れしていた。

夜道を運転するきれいな横顔をうっとりしながら見ていると、赤信号になり車が止まる。

「あのさ」

眉間にしわを寄せた顔でこちらを向いたので怒っているのかと思ったが、

信号のライトで薄く照らされた顔をよく見てみると、緊張して表情がこわばっているようだった。

「実は中学の時、君の事好きだったから、今こうやって付き合えてるのが嬉しいんだ」

そう早口で告げるとタイミングよく信号が変わり、車が発車する。

ハンドルを握る彼の手にふと目をやると、高級アクセサリーが身につけられていて

こういうとこは大人になったんだなと、グッとくる。

運転する彼の手を優しく触って「私も嬉しいよ」と、そっと言葉を返した。

 

知らないコト

祝日だったこの日、他県までドライブデートに行く予定だったが

あいにくの雨で仕方なくカラオケに行くことに。

テンション高めで歌い始めたので10曲もしないうちにバテてしまい、

マイクを置いて休憩していると急に誕生日を尋ねられた。

「今月の8日だよ」

彼は目をぱちくりとさせて頭の上には「?」マークが浮いていたので、

周りの音で聞こえなかったのかと思いもう一度答える。

すると困った表情をしてこう聞いてきたのだ。

「ようかって、いつ?」

ーは?

私の時が一瞬止まる。

「え?ようかだよ。はちにち」

「そう言ってくれないと分からないよ。1~10日って言い方違うから分からなくてさ」

「え?じゃあ仕事の時はどうしてるの?」

「後輩にいつも教えてもらってるよ」

私は完全に動揺して心の中で叫んでいた。

ー意味が分からない。そんなんで社会人やっていけるんだ…。

ていうか、こいつやっぱりバカじゃん!

 

ついに・・・?

あのカラオケ以来、彼の好感度は下がっていたが

それ以外の良いところを見ようと何度もデートを重ねて

ついに妖しいネオンを放つホテル街へと足を踏み入れた。

とうとう彼と一線を越えるのだと、ドキドキする。

部屋に入って初めは緊張していたが、話しているうちにだんだん良いムードに。

そして彼がキスをしてきたので、そっと目を閉じる。

でも、次第に私の眉間にしわが寄っていく。

歯がカチカチと当たるのが気になってしまって、良い気分になれないのだ。

少し困っていると、部屋のインターホンが鳴り注文した料理がきたのでホッとする。

先に食事を終えた彼は「おいしかったね~」と言いながらベッドに横になり、

しばらくするとスヤスヤと気持ちよさそうに寝息を立て始めた。

仮眠程度かと思いその後も待っていたが、結局朝まで起きなかったので

勝負下着で気合を入れてきた自分がバカみたいに思え、

黙ってホテルを出て始発で家に帰ったのだった。

 

恋は盲目

恋心はもう完全に冷めてきっていて、

彼が身に着けていた高級アクセサリーは、実は彼には似合っていないことに気づいたり、

連絡がくるのがうっとうしく思うようになり、別れを切り出した。

彼は泣きながら私を引き止めたが、もう一度付き合うつもりは一ミリもなかった。

おバカなのはまだ許せたけど、ホテルに行ってキスだけとは…しかも下手だし…。

それと先に寝てしまうなんてのは本当にありえなかった。

私の初めてを捧げようと思っていた相手は、

悪い意味で昔と変わっておらずガッカリしてしまったが、

そんな彼にアタックしてしまったのは自分なのだ。

この交際のことは誰にも知られたくないので友人にも話しておらず、

『恋は盲目』という言葉を、自身をもってひっそりと経験したのだった。

t112著

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (1件)

コメントする

目次