これは私の友人の話。
出会いは英会話教室。
出会った男は、コミュニケーション能力が高く、自分に自信がある男。
興味を持ったことはすぐに行動し、己の力を試したいと思っているような男。
【順風満帆な日々】

男は、自分に自信がありながらも周りの人には分け隔てなく接するいい男だった。
そんな男と過ごす日々は穏やかに流れていった。
何か悩みがあれば男は積極的に関わって解決に向かって行動してくれる。
そんな頼りになる男との生活は本当に穏やかで、これからも一緒にいたいと思わせる日々だった。
【転職】

男はある時転職した。
元々行動力のあった男は海外へ行ったり、英会話に通ったりと様々な国の文化に触れることを好んでいた。
しかし、それとは別に自分のお店を持ちたいという野望も持っていた。
最初は二足の草鞋で両方やっていたが、ある時、男は念願だった自分のお店を持ったのである。
これから男の新しい挑戦が始まる。
自分の成功を願って、忙しいながらも色々な会合に顔を出し、人脈をつくり、精一杯働く男の姿は大変そうではあるが充実した雰囲気を感じさせるものだった。
これからもそんな日々が続くと思っていた。
【違和感を感じた瞬間】

ある時、友人は男から商品を紹介された。
その商品は普通の物とは異なり、体にあてると体がぽかぽかしてくるという布のような物だっただという。
布が構成されている繊維がそう作用するものを使っているらしく、冷えやすい女性に最適だと男は言った。
いままでそんなとこは言ったことがなかった男だったので、不思議に思っていた。
それから数日たったある日、男はあるビジネスを行なっていると教えてくれた。
そのビジネスについて知識があるわけでもない友人は、少し詳しく聞いてみた。
男はある会合で出会った信頼できる人の下で働いてるとのこと。
そのビジネスはグループ化されているらしい。
知り合いの知り合いを誘い、同じグループで商品を売っていく、それが今回のビジネス。
ちなみに、商品はとても良いものだった。
たしかに包まれてみるとあったかく、ちょっと寝転がったら寝てしまいそうなほどだった。
普通に売れば、売れそうなものだと感じたが、悪かったのは売り方である。
上の位の人であると、詐欺師のような売り方はしない。
自分たちのグループが売り上げを上げられるように自分自身売り込みながらも、グループを見守るように動いていた。
しかし、末端はちがう。
物ではなく、いかに金を得るかと考え方がシフトしていたのである。
男も最初はいい物を売るべく、必死に頑張っていたが、ある時から変わってしまった。
【別れの日】

とうとう友人と男に別れる時がきた。
理由は色々あるが、友人が変わってしまった男についていけなくなってしまったのだ。
男は仕事と称し、毎晩飲み歩くようになった。
自分で立ち上げた仕事もあまり軌道にはのっていないらしい。
それでも商品を売りつけるビジネスはやり続けている。
別れてから友人と男が連絡を取ることもなく、数ヶ月が過ぎていった。
【あらわれた男】

友人が男と別れて数ヶ月経ったころ、突然男から連絡がくるようになった。
内容は「飲みに行こう」「会いたい」のような、復縁したいのかな?と思わせるようなものが多かった。
別れてから噂程度に自分の店も新しく始めたビジネスも上手くいってないと聞いてはいたが。。。
何度かの誘いを断り続けていたが、ある日遅くに仕事から帰った友人は家のインターホンが光っていることに気がついた。
インターホンが光っているということは、誰か訪問してきたということだ。
配達か何かかなーと思い、確認してみると、
そこには、別れた男が写っていた。
男と別れてからも友人は引っ越したわけでもないので、男が家を知っているのは当然。
しかし、連絡もなしに家に来るとは思っていなかった。
そして、インターホンの録画を見続けると、男の後ろに車と人影があるのに気づいた。
一応男に連絡を入れてみると、「ちょうどご飯行くところで、家にいたら一緒にどうかなと思って」と言われた。
携帯に連絡入れてくれたらいいものを。。。と思いつつ、「ごめん仕事だったから」と友人は男に伝えた。
そして、いきなり家に来られると困ると伝え、男との連絡を断った。
【恐怖】

男が突然家にきてから、数日経ったある日。
友人に恐怖が訪れる。
その日友人はいつも通り仕事から帰宅し、ご飯も食べ、お風呂にもはいり、寝る準備をして、寝ていた。
すると突然、インターホンが鳴らされた。
時刻は夜中の1時。
インターホンを確認すると、男が立っていた。
そして、男の後ろには年配の女性も一緒にいた。
まず、友人は居留守を使った。
すると男は扉を叩き、友人の名前を連呼する。
男は酔っ払っているのか声の大きさも制御できていない。
近所迷惑になると思った友人はインターホン越しに話をする。
男に何の用かと尋ねると、
「明日地球が滅びるから、俺と一緒にいて欲しい」
「俺と一緒に逃げよう」
と言われた。
意味のわからない友人は、一緒にいるのは無理だと伝え帰らせようとするが、男は全然帰ろうとしない。
それから2時間ほど、インターホン越しに男は友人に同じことを言い続けた。
最後、男は一緒にいた年配の女性に連れられて去っていったが、その後は不明である。
m595著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
今回の作品は、素敵な男性との出会いと男性の変化についての物語です。
男性と著者の友人の女性が出会ったのは英会話教室。
自身に満ち溢れながらも周りに分け隔てなく接する優しい彼との日々は本当に穏やかで、これからもずっと一緒にいたいと思わせるほどでした。
しかし、男性が転職したのをきっかけに、女性は男性の行動に違和感を覚えるようになります。
男性が参加しているビジネスは徐々に売り方が不誠実になってきて、男性もまたそれにのまれて変わっていったのです。
女性は男性の変化にとうとう我慢ができなくなり別れることに。それから数か月はお互いに連絡を取らない日々を送っていました。
ところが、ある日突然の連絡と家への訪問があり、奇怪な言動をする男性に恐怖を感じます。
そのしばらくすると男性はいなくなっており、その後男性がどうなったのかは分からないようです。
素敵な男性との穏やかな日々が一変、怪しいビジネスがきっかけで変わっていく男性の変化と、それに伴う女性の心情の変化がリアルに表現されています。
一緒に生活する中で徐々に変化していき違和感を感じる場面から、別れて久々の再会で恐怖を感じるまでの変化を目の当たりにするまでの流れは、女性と同じ恐怖や緊張感を読者に与えます。
冒頭からは予想できない展開が読者を惹きつける素晴らしい作品です。
検収者 kitsuneko22
㉘kitsuneko22-10