ある女性は、これまでに本気で好きになった人が2人います。 惚れやすい性格なのか、初恋は幼稚園生の頃で、その後も毎年のように好きな人が変わるほどでした。
そんな彼女が中学3年生のとき、特に好きではなかったAくんに告白されました。 最初は、付き合う気持ちはありませんでしたが、何度もアプローチをされるうちに、気になっていき、交際することになりました。
Aくんは、野球少年で、明るく気さくな性格で、女友達も沢山いました。 重い物を運んでいると無言でスッと持ってくれたり、寒い日に冷たくなった手をカイロで温めてくれたり、そんなさり気ない優しさに彼女はAくんを大好きになっていきました。
中学生ということもあり、交際とはいえ、下校後に会って話をしたり、メールや電話でやりとりをしたりしたくらいで、デートというデートはほとんどしていません。 それにも関わらず、Aくんに惹かれていく彼女がいました。

そんなAくんが変わったのは、高校に入学してからでした。高校は、元々お互いに同じ高校を目指しており、無事、同じ高校に入学しました。
高校生になると野球部のAくんは、毎日遅い時間まで練習で、会う時間もほとんどなくなりました。 彼女の誕生日も忘れてしまい謝るAくんに、彼に夢中だった彼女は、「大丈夫。何もいらないよ。ただ、これからもずっと一緒にいようね。」とだけ伝え、彼を咎めることはしませんでした。 その時にはもう彼女への気持ちは離れていたのかもしれません。
彼女が会いたいときには会ってくれないのに、自分が会いたいときに呼び出すAくんに、不安はありながらも会える喜びが溢れて、会いに行ってしまう彼女。
徐々に冷たくなっていくAくんに、彼女は絶対離れたくない、と強く思っていましたが、強く思えば思うほど、Aくんは離れていきました。
それほど長い期間を一緒にいたわけでもないのに、Aくんとの楽しい思い出ばかり思い出して、いつも会っていた場所に一人で何度も行っては、泣きました。 毎日、毎日、泣いて、こんなに涙が出るのかと思うほど、泣きました。
学校に行っても抜け殻のようで、食欲もなくなり、辛くて辛くてたまりませんでした。 学生時代で一番辛かった経験でした。

そんなに辛い思いをして学校に来ていた彼女を陰ながらずっと好きでいてくれた人がいました。 彼女はそんなことも知らず、ただAくんばかりを追っては傷つく日々を送っていました。
傷が癒えることはないと思っていましたが、時間が少しずつ彼女の傷を癒してくれました。
そして、彼女をずっと好きでいてくれたBくんと学校行事をきっかけに連絡先を交換しました。 その頃から徐々にBくんとの関りが増えていきました。
Bくんは優しく温かい人で、彼女の傷を少しずつ癒してくれました。
そんなBくんから思いを告げられた彼女。 彼女の頭と心は、今もまだAくんを占めていたので、Bくんと交際して良いものなのか悩みました。 Bくんは優しく、彼女を想ってくれていて、彼女も気になる存在でありましたが、いい人だからこそ彼女は悩みました。
そこで、Bくんに、Aくんとのこと、今の素直な気持ちをすべて伝えました。 彼女は、Bくんとはそこで終わると思いました。
ですが、Bくんの反応は全く予想とは異なるものでした。
「辛かったんだね。Aくんのことも辛かった思いも忘れさせてあげられるよう頑張るね!」 Bくんは彼女に優しく伝えました。
涙があふれる彼女。
Bくんへの申し訳なさとBくんの優しさが嬉しかったのとで、胸がいっぱいになりました。
真剣に想ってくれているBくんの想いに答えたい、と思った彼女は、Bくんと交際することになりました。

Aくんとは異なり、何日経っても、何週間経っても、何か月経っても、変わらない優しさと愛情で接してくれるBくん。 そんなBくんに彼女は、徐々に惹かれていきました。
Bくんとの交際を知ったAくんは、自分をずっと好きでいてくれるはずだと思っていた彼女の気持ちが離れたからなのか、彼女に接近するようになりました。
Aくんのことも忘れられていなかった彼女は、とても困惑しました。
Aくんは、会いたいと連絡してきます。 彼女が一人でいると、これまでのことがなかったかのように、交際していた頃の屈託のない笑顔で声をかけてきます。 彼女は、都合のいい人だと思いながらも、気持ちが揺らいでしまう自分がいました。
彼女は、ついにAくんへの気持ちが溢れてしまい会いに行ってしまいます。 Aくんは、「来てくれた。」と満足げです。
Aくんと別れたあと、罪悪感でいっぱいの彼女は、Bくんに電話をし、Aくんと会ったこと、こんな情けない自分と別れてほしいことを伝えました。 Bくんは、彼女の話を怒ることなく最後まで真剣に聞き、また彼女の想像とは異なる反応が待っていました。
Bくんは、「俺は大丈夫だよ。辛かったね。正直に話してくれてありがとう。」と。
彼女は、「怒らないの?別れないの?」と聞きました。 Bくんは、「怒らないよ。全部分かっていて付き合った。そうさせたのは、自分がまだ忘れさせてあげられていないからだよ。」と優しく彼女に伝えました。
彼女は、Bくんの広すぎる心の広さと深い愛情を強く感じ、この人をもう傷つけてはいけないと強く感じました。

それから、Bくんと過ごす毎日は、本当に楽しくて、Bくんのことを心から大好きになりました。 文化祭も体育祭も修学旅行も、何気ない学校生活の毎日も、いつも隣にいるのは、Bくんでした。
もうAくんが入ることは頭も心も少しも隙間がないほどになりました。 Bくんは、そこから何年経っても、変わらず彼女を大切にしてくれています。
彼女が辛い思いをしていると、学生の頃と変わらず、彼女の気持ちに寄り添って、温かく受け止めてくれます。
ただ変わったことは、Bくんは彼女の旦那さんになったことです。

高校生の頃から10年間、大切に育んだ2人の愛情は、今、夫婦として新しいスタートをきりました。
y546著









コメント
コメント一覧 (2件)
pr
今回の作品は、学生時代のもどかしい恋愛の思い出のお話です。
中学時代、彼女は特に好きでもなかったAに告白され、アプローチを重ねられるうちに気になり交際を始めました。
明るく気さくな彼が見せるさりげない優しさに惚れる彼女。しかし、同じ高校に入学した時から彼は変わってしまいます。
野球部だった彼は遅い時間まで部活に励み、彼女と会う機会も減ってしまいます。
徐々に冷たい態度になる彼のことを、彼女はそれでも好きでいようと涙を流す日々を送っていました。
そんな彼女を影ながら応援するBという男子がいました。
優しく温かい彼は、彼女の状況を理解しながら、彼女の傷をいやしていきます。
徐々にBに思いを寄せていき、10年経った今は夫婦として新しいスタートを迎えています。
ある女学生が本当の愛を知る物語が描かれています。
初恋から様々な試練を乗り超え、次のステップに進む彼女の勇気や強さが、読者に感銘を与えます。
辛い時にお互いに愛し合い支え合うことがいかに大切かが分かる、感動的なストーリーです。
検収者 kitsuneko22
㉕kitsuneko22-10