2人を巡り合わせた出来事

2011年3月11日。日本を襲い未曾有の被害を引き起こした東日本大震災。
多くの人が悲しみ、なんとなく日本国内でも暗い雰囲気が流れていたのを未だに覚えている。しかし、そんな最悪な被害を引き起こした東日本大震災だったが、それが繋いだ1つの縁がある。

これは、俺の小学生の頃からの友達Rと2歳年上のKさんのお話。

転校生がやってくる!

2011年4月。震災から1か月が経ったが、日本中は未だ暗い雰囲気。テレビで流れるCMも、軽快な音楽に合わせて踊っているあのCMばかり。

そんな中、春休みを終え新しい学年に上がる1学期の始業式の直前に、Rを含めた俺らは学校の一室に集められた。そこには、1人の女の子がいた。転校生のNちゃんだ。被災した地域から家族全員で避難をしてきたそうだ。

そう、このNちゃんの姉がKさんである。

当時Rは小学生。Kさんは中学生。この2人が出会うのは、もう少し後。

RとKさんの出会い

それから、時間は経ち転校してきたNちゃんはすっかり学校にも友達にも新しい街にも慣れ、晴れて小学校を卒業し中学生になった。

そこで、RとNちゃんは小学生の頃を合わせて初めてクラスが一緒になった。2人は仲良くなり、しばしばLINEで連絡を取り合っていた。

そんな、ある日NちゃんからRに驚きの提案があった。

「うちの姉(Kさん)とLINEしない?」

突然だった。
当時Rは中学2年生、Kさんは高校1年生だ。Kさんとは同じ中学校に通っていたから、中学1年生の頃に、しばしば目撃はしていた。Kさんは穏やかな雰囲気で先輩ではあるが、Rや俺らの中でも可愛い。そう噂になるほどだった。

Rはカッコ良いし、スポーツも万能、学年の中でもひときわ目立っていた。言わば、モテる男だった。そんなRだが、女性は苦手で奥手なタイプだったし、特別Kさんに対して好意があった訳ではなかった。

しかし、友達の姉だし少しなら。と言うことで、RとKさん2人のLINEが始まった。

後から聞いた話だが、Nちゃんは軽いイタズラで自分の姉のLINEをRに教えたらしい。Nちゃんもまさか本当に連絡を取り始めるとは思っていなかったようだ。

寂しい。

そうして、Nちゃんの軽いイタズラから始まった2人のLINE。お互い特に好意があった訳ではなかったが、何故か2人のLINEは1年ほど続いた。同じ街に暮らしていたが会うことは無かった。ただ、LINEの辞め時気が見当たらず気が付いたら1年が経っていたらしい。

しかし、そんなある日Kさん達は一家で地元に戻ることになった。東日本大震災から約4年が経った時のことだった。

被災した地域の復興が進み、新しく土地開発もされた。生まれ育った街で生活がしたい。そう言った家族の希望もあった。そして、Kさんが高校を卒業するのに合わせて戻ることになった。

地元に戻ると聞いたときに、Rは今までに無かった感情が沸いたそうだ。

「寂しい。」

ここで気が付いた。RにとってKさんは無くてはならない存在だ、と。

今までは会うこともなかったが、同じ街で暮らしているからか特別な感情は抱かなかった。

遠距離恋愛

ほどなくして、Kさんは高校を卒業。Kさん達一家は震災前に暮らしていた街に戻った。そして、Kさんは地元の短大に進学した。

Kさんが地元に戻った後も連絡は取り続けていたが、Rは気持ちを伝えられていなかった。

Rは中学を卒業後、小学生の頃から続けていたサッカーで地元の強豪校から推薦を受け、そこに進学。始発で通学し終電で帰る様な生活。Kさんに会いに行ける時間も体力もなかった。ただ、Kさんへの想いは持ち続けていた。

そうして、またLINEの連絡を取り合う期間が1年間続き、Rは高校3年生になり、Kさんは短大を卒業して地元で就職をした。

高校3年生になって、部活を卒業したRはKさんにLINEで想いを伝えた。

「俺と付き合ってください。」

連絡を取り合うようになってから、3年が経っていた。もちろん、Kさんの返事は「OK」
Rからの告白をずっと待ていたらしい。

ここから、2人の遠距離恋愛が始まった。

会いたい

Rは高校3年生の頃に運転免許を取得し、高校卒業後に地元で就職した。

付き合った。とは言っても、2人が暮らしていた場所はバラバラだったから、Rは1,2か月に1度、Kさんの住む街まで車で会いに行った。片道で4時間以上掛かる場所だったが、それでも愛のパワーは凄い。疲れた顔1つ見せずに日帰りで帰ってくることもあった。

会いに行って何かするわけではない。ただ、会いたい。その気持ちが彼を動かしていたんだと思う。
会いに行くためには、お金ももちろん掛かる。その会いに行くためのお金を稼ぐために、彼は会社に断ってアルバイトも始めた。とにかく彼女に会いたい。それが彼を突き動かしていた。

震災から10年後

そんな彼女のために、仕事を掛け持ちして会いに行くという生活が3年続いた。付き合って3年が経ちRも仕事に慣れ、いよいよ2人は結婚をした。
Kさんが、あの東日本大震災で一家で非難してきた街に、嫁いできた。

震災からちょうど10年目の年だった。

あの、日本を襲い未曾有の被害を引き起こした東日本大震災。多くの人が悲しみに暮れ、あんなことが起きなければ良かった。誰しもがそう思っているはずだ。
しかし、あの震災があったからこそ、2人は出会い、今では新たな命も生まれた。裏を返せば、あの震災が無かったら絶対に交わらない2人だった。

震災というショッキングな出来事や、Kさん妹のイタズラ等、多くの偶然が重なって結ばれた2人。しかし、それ以上に2人の想いあう気持ちが、悲しみや遠距離恋愛等の多くの壁を乗り越えられた要因だと思う。

さ471著

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回の作品は、あの東日本大震災がめぐり合わせた2人の男女の恋愛のお話です。

    日本を襲った東日本大震災から1か月。著者と友人Rの学校に、被災地から避難してきた転校生NちゃんがやってきてRと仲良くなります。
    ある時突然NちゃんがRに、自身の姉であるKさんと連絡を取ってみないかと提案します。それはNちゃんの軽いイタズラでした。
    特に好意のなかったRとKさんはNちゃんのイタズラに乗せられ連絡を取りますが、お互いに辞め時が分からず1年間も関係が続きました。
    震災から4年が経ち、Kさん一家が地元に帰ることになった時、Rの中で今までになかった「寂しい」という感情が沸き上がります。
    Kさんが地元に戻り、それぞれ地元の学校へ進学。その後も連絡を続けた2人でしたが、RはKさんに気持ちを伝えられずにいました。
    そしてRが高校の部活を卒業した後Kさんに気持ちを伝え、2人は遠距離恋愛の関係になります。
    Rはkさんに会うために、月に数回長い時間をかけて車で会いに行き、仕事を掛け持ちして会いに行くためのお金を稼いでいました。
    震災から10年が経ち、Rとkさんは結婚。新しい命も誕生しました。

    日本全体に暗い影を落とした大震災。しかし、それによって新たな出会いが各地で生まれたこともまた事実です。
    今回は学生だった男女の出会いを通して、複数の偶然が重なった奇跡と2人の思い合う気持ちを表現していただきました。
    読者に感動を与える素晴らしい作品です。

    検収者 kitsuneko22

    ⑭kitsuneko22

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